デザイナーは、一言でいうと「図案や設計をデザインする職業」を指します。IT関連におけるデザイナーの領域は年々広がっており、今後ますます需要が高まることが予想されています。
また、自分の好きなものをデザインできるという点で、新卒の就活においても人気の高い職種です。デザイナーには業務委託の求人も非常に多いため、フリーランスとして自由度の高い働き方を実現している人もいます。
上記の理由で新卒採用でも中途採用でも人気が高いデザイナーですが、デザイナーになるために必ず取得しなければならない資格や免許などはありません。
つまり、スキルを身に付けたり信頼性を高めたりするには、実務経験を重ねるしかありません。しかし、多くの方が「そもそもどのように実績を積めば良いか分からない」と悩まれると思います。
そこで今回は、「デザイナーとは」「デザイナーになるための方法」「デザインの勉強方法」の3点についてご紹介します。この記事を読めば、未経験からデザイナーになるための方法が分かります。ぜひ最後までお読みください。
デザイナーとは
そもそもデザイナーとは、どのような職業を指すのでしょうか?
視覚的な設計を行う職業
デザイナーは、視覚的な設計を行う職業です。よくデザイナーとアーティストは混同されますが、自身の感性や思いを表現するアーティストに対し、デザイナーは依頼者の要求に応じたデザインを考えることも重要です。そのため、「いかに大衆の心を揺さぶるデザインができるか」だけではなく、「いかに依頼者の伝えたいことが的確に伝わるデザインができるか」が良いデザインの条件とされています。
幅広い分野でさまざまなデザイナーが存在する
デザイナーと一口に言っても、分野は多岐に渡ります。以下では、代表的な4つの分野におけるデザイナーをご紹介します。
ファッションデザイナー
1つ目はファッションデザイナーです。こちらは文字通り洋服やバッグ、靴といった服飾品をデザインします。
単にオシャレな服をデザインすれば良いというわけではなく、シーズンやブランドイメージ、商品コンセプトに合わせた材質・模様など、さまざまなことを考慮してデザインする必要があります。
ファッションデザイナーの仕事としては、展示会やファッションショーの企画、マーケティング調査、製造会社と販売をつなぐ役割などもあります。
また、働き方も多様です。ブランドや企業から委託を受けてデザインを行うフリーランスや、アパレルメーカーに勤務する社員やアルバイト、独立して自らブランドを立ち上げる実業家などがいます。
グラフィックデザイナー
2つ目は、グラフィックデザイナーです。こちらは商品パッケージ、看板、新聞、雑誌など印刷物に関するデザインを行います。普段から目にする「モノ」のデザインを多く手掛ける職業のため、新卒・中途を問わず人気が高いのが特徴です。
具体的な仕事内容としては、
- 依頼主から概要(目的・予算・媒体・納期)をヒアリングする
- 依頼主の希望に沿ったデザインを作る
- アイデアをラフ(原案)に落とし込む
- 完成したら校正をして印刷する
といった流れでデザインを完成させます。
広告として利用するデザインを依頼されることが多いため、人々の関心を惹く色合いや文字の配置、構図などを考え、訴求力の高い表現が求められます。
「このデザインで依頼先の企業の業績が大きく変わる」といったように、プレッシャーが重くのしかかる職業であると言えるかもしれません。
またカメラマンやイラストレーターなど、協働するパートナーが多いのもグラフィックデザイナーの特徴です。そうした関係各所とうまくコミュニケーションを取りながら、納期までに希望するデザインを仕上げる能力が求められます。
コンピューターデザイナー
3つ目はコンピューター・Webデザイナーです。
2つ目のグラフィックデザイナーが印刷物や雑誌といったものをデザインする仕事なのに対し、こちらはWebページや3DのCGなど、主に「バーチャル空間上のもの」をデザインする職業です。
まず、コンピューターデザイナーについてご紹介します。
コンピューターデザイナーは、主にCG(コンピューターグラフィック)技術を用いてアニメ、漫画、模型などをデザインします。それだけでなく、3D技術を活用してCGならではのリアルなデザインを行い、医療現場や建築設計などでも活躍します。
具体的な仕事内容としては、以下が挙げられます。
- ゲームやアニメの登場人物を立体的に形作る「モデリング」
- 映像内における人々の自然な動作を演出できるよう、関節や衣類などの動き方を調整する「リギング」
- 実際にCGに動きをつける「CGアニメーション」
どれも専門的な技術を要するため、志望する方は専門学校や企業でスキルを身に付けなければなりません。
Webデザイナー
こちらは、インターネット上にあるWebページをデザインする職業です。Webページは今日の広告宣伝戦略において非常に重要な役割を果たすため、Webデザイナーの需要も高いと言えるでしょう。
具体的な仕事内容は以下の通りです。
- 依頼者から制作するWebページのレイアウトをもらう
- 文章や画像などを構成してWebサイトを作成する
- 必要に応じてイラストレーターやカメラマンとも協働する
WebサイトはHTMLやCSS、JavaScriptといったプログラミング言語で構成されています。これらの言語を理解していることは、優位性にもつながります。
工業デザイナー
次は工業デザイナーについてです。
工業デザイナーとは、家電製品や自動車、文房具などに至るまで、さまざまな製品の開発、デザインの選定まで行う職業です。
「最近世間では何がブームになっているか」「どのような思いでこの製品を開発したいのか」などを、企画担当者や生産ラインのスタッフと話し合います。時には模型や図面も作成し、お客様の望むデザインに仕上げることが求められます。
工業デザイナーはWebデザイナーやコンピューターデザイナーとは異なり、デザイン性だけでなく安全性や機能性も強く求められます。いくら魅力的なデザインに仕上げても、安全性に問題があれば製品化できません。こうした理由から、工業デザイナーになるためには専門的な知識が必要とされています。
空間デザイナー
空間デザイナーとは文字通り、その場所・空間をデザインする職業です。美術館、ホテルのロビー、空港、カフェなどあらゆる場所で活躍します。
混同されることも多いインテリアデザイナーは、主に住宅や商業施設のインテリアをデザインする職業。これに対し、空間デザイナーはイベントブースからイルミネーションまで、屋外空間もデザインします。
空間デザイナーになるために取得すべき資格はありませんが、美術大学の空間デザイン科などを卒業すると知識面で有利と言えます。
未経験でも建物の設計図を読む力やインテリアに関する知識などを身に付けることで、採用されやすくなるでしょう。
デザイナーになるための方法
ここからは、デザイナーになるための具体的な方法をご紹介します。
方法1:新卒でデザイナー職として採用される
一番の近道は、デザイナー職として採用されることです。もちろん中途採用でもデザイナーになることはできますが、未経験の場合は独学でかなりの時間を費やす必要があるでしょう。
新卒でデザイナー職として採用されれば、必要なスキルを研修段階から学ぶことができます。ある意味、給料をもらいながらデザイナーの勉強ができるので、最も理想的であると言えます。
将来的にデザイナーを目指している学生の方は、デザイナー職として採用されることを目指しましょう。
方法2:デザイン関係の会社に就職する
たとえデザイナー職として採用されなくても、諦める必要はありません。デザイン関係の会社であれば、将来的にデザイナーにジョブチェンジできる可能性があります。
デザイナーにジョブチェンジを図れる可能性が高いのは、広告代理店、出版業界、ゲーム会社、アパレル業界など。また、メーカーの広報部もデザイン業界に近いと言えるでしょう。このような業界・会社に就職すれば、キャリアの一環としてデザイナー職も現実的になります。
そもそも新卒でデザイナー職として採用されるには、関連する専門学校を卒業したり大学在学中にある程度デザインに関する実績を作ったりすることが求められます。そうした知識や実績がまったくない場合は、一度関連する会社に就職することが近道です。
方法3:フリーランスのデザイナーになる
3つ目の方法は、フリーランスのデザイナーになることです。
デザイナーには取得必須の資格がないので、いきなりフリーランスのデザイナーとして働くこともできます。YouTubeやオンラインスクールを活用すれば、費用を抑えつつ基礎的な能力を身に付けることも可能です。
ただし、実務経験が乏しいデザイナーは経験者と比べてスキルの差が一目瞭然です。実際に副業紹介サイトでもデザイナー向けの案件は多数存在しますが、未経験でも応募できるものは限られています。
従って、未経験の方はまずクラウドソーシングなどで簡単な案件から受けていき、少しずつ実績を作っていく必要があります。実務経験を重ねれば、独学でも効率的にスキルを身に付けることができます。
方法4:起業してデザインを担当する
最後は、起業してデザインを担当するという選択肢です。
起業する際はWebサイトのレイアウトや自社製品のデザインなど、さまざまな場面でデザイナーが活躍します。身近に起業する人がいるなら、自身をデザイナーとして売り込むことも一つの手です。
デザインの勉強方法
ここからは、デザインの勉強方法についてご紹介します。
大学のデザイン関連講義を受講する
理想は、自身が通う大学にデザイン関係の講義があることです。
基本的にデザイン関係の講義は美術大学に集約されていますが、総合大学でも探せばデザイン関係の講義はあります。情報システムデザイン学科がある東京電機大学などはその一例で、理系の学科にデザイン関連の講義がある大学も存在します。
一度、自身が通う大学でデザイン関連の講義がないか確認してみて、もしあれば積極的に講義を受けてみましょう。
デザイン講座のあるスクールに通う
未経験でデザイナーを志す多くの方が選択するのが、デザイン講座のあるスクールです。
前述した通り、デザイナーには取得必須の資格がないので、未経験でもすぐにデザイナーを名乗ることはできます。ただし、未経験で受けられる案件は非常に限られており、単価も極めて低くなります。
このようにスキルが必要な職業のため、未経験の場合はスクールに通って学習するのが効率的です。実際に、デザイン講座のあるスクールは多数存在します。
今日ではすべてオンライン上で修了できるスクールも登場しており、気軽に始めることができます。ただし、デザイナーといっても幅が広いので、今一度自分がどの分野で働きたいのかをじっくり考えてから受講しましょう。
独学でデザインを学ぶ
「スクールなどで高額な授業料を払うのはちょっと……」という方は、独学でデザインを学ぶのも手です。
例えば、YouTubeでデザインに関する動画を見たり、書籍を購入して勉強したりといった方法です。最近は情報発信に積極的なデザイナーも増えているため、自分の興味のあるジャンルの情報を収集してみましょう。
また、実際にデザインに使うツールを活用して、デザイナー業務を実践してみるのも良いかもしれません。
まとめ
今回は「デザイナーになる方法」というテーマのもと、代表的なデザイナーの種類やデザインの勉強方法についてご紹介しました。
デザイナーといっても幅が広いので、今一度自分が何をしたいのか、そのためにどんなスキルを身に付ければ良いのかをじっくり検討することが大切です。
この記事で紹介した勉強方法を踏まえて、デザイナーになる一歩を踏み出してください。
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