教育学部は、未来の教育者や教育に関わる専門家を育成するための学部として知られています。
本記事では、教育学部の概要から始まり、主要な就職先、そして卒業生のさまざまなキャリアパスについて詳しく解説していきます。教育学部への進学を考えている方はもちろん、すでに教育学部に在籍している学生の方々にとっても、有益な情報となるでしょう。
教育学部について
教育学部とは?
教育学部は、教育者や教育に関わる専門家を育成する学部です。ここでは、教育の理論と実践を学び、子どもたちの成長と学びを支える力を身につけていきます。
教育学部の特徴は、その幅広い学びにあります。教育の基礎理論はもちろん、心理学、社会学、哲学など、多岐にわたる分野を横断的に学習します。これは、教育が人間の成長と深く関わる複合的な営みであるためです。
教育学部は、人を育て、社会を作る重要な役割を担う人材を輩出する学部です。ここで学ぶことは、自身の成長はもちろん、他者の成長に寄り添い支援する力を養うことにつながります。
教育学部の主要学科
初等教育学科
初等教育学科は、小学校教員を目指す学生のための学科です。ここでは、小学校で教えるすべての教科について学びます。国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育など、幅広い分野の知識と指導法を身につけていきます。
この学科の特徴は、子どもの発達段階に合わせた教育方法を学ぶ点です。小学生は成長が著しい時期であり、学年によって理解力や興味関心が大きく異なります。そのため、各学年の特性を理解し、適切な教育方法を選択する力が求められます。
初等教育学科の卒業生は、主に小学校教員として活躍しますが、児童館や学童保育の指導員、教育関連企業での仕事など、子どもに関わる幅広い分野で活躍するケースもあります。
中等教育学科
中等教育学科は、中学校や高等学校の教員を目指す学生のための学科です。ここでは、特定の教科に関する専門的な知識と指導法を深く学びます。例えば、国語、数学、英語、理科、社会などの教科ごとに専攻を選び、その分野を学習します。
この学科の特徴は、教科の専門性が高いことです。中学生や高校生は、より深い学問的内容を学ぶ時期にあたるため、教員には高度な専門知識が求められます。そのため、大学での学びも、選択した教科の内容を大学レベルで深く掘り下げていきます。
中等教育学科の卒業生は、主に中学校や高等学校の教員として活躍しますが、学習塾の講師や教育関連企業での仕事など、幅広い進路選択が可能です。
心理学科
心理学科は、心理学の視点から教育にアプローチする学科です。ここでは、人間の学習メカニズムや発達過程、教育評価の方法など、教育に関わる心理学的な側面を学びます。
この学科の特徴は、科学的な視点で教育を捉える点です。心理学の研究手法を用いて、効果的な学習方法や指導法を探求します。また、教育現場で生じるさまざまな問題を心理学的に分析し、解決策を見出す力を養います。
発達心理学、学習心理学、社会心理学、臨床心理学など、さまざまな心理学の分野を学べるのも特徴です。これらの知識は、子どもの成長と学びを多角的に理解し、支援するための基礎となります。
教育心理学科の卒業生は、学校心理士やスクールカウンセラーとして教育現場で活躍するほか、教育関連企業での教材開発や、研究機関での教育研究など、幅広い分野で その専門性を活かしています。また、一般企業の人事部門で、社員教育や人材育成に携わるケースも増えています。
教育学部の主な就職先
教育機関
教育学部卒業生の最も一般的な就職先は教育機関です。ここでは、主な教育機関について説明します。
小学校
小学校教員は、子どもたちの基礎学力と社会性を育む重要な役割を担います。全科目を教えることが求められるため、幅広い知識と指導力が必要です。また、保護者との連携や学級運営など、教科指導以外の業務も行う必要があります。小学校教員の魅力は、子どもたちの成長を間近で見守り、支援できる点にあるでしょう。
中学校
中学校教員は、専門教科の指導を中心に、生徒の学力向上と人格形成を支援します。思春期の生徒たちと向き合うため、教科の専門知識だけでなく、生徒指導や進路指導のスキルも求められます。部活動の指導など、授業以外での生徒との関わりも重要な役割となります。
高等学校
高校教員は、より専門的な教科指導と、生徒の進路選択の支援を行います。大学受験や就職など、生徒の将来に直結する指導が求められるため、教科の専門性に加えて、キャリア教育の視点も重要になるでしょう。また、生徒の個性や才能を伸ばす指導力も必要とされます。
特別支援学校
特別支援学校の教員は、障害のある児童生徒の教育を担当します。個々の障害特性に応じた指導法や支援技術の知識が求められます。また、医療や福祉の専門家との連携も重要な業務となります。障害のある子どもたちの自立と社会参加を支援する、やりがいのある仕事です。
教育関連企業
教育学部で培った知識やスキルは、教育関連企業でも大いに活かせます。
教材・教具開発企業
教材や教具を開発する企業では、教育現場のニーズを理解し、効果的な学習ツールを生み出す仕事に携わります。教育の専門知識を活かしながら、ビジネスの視点も必要とされる、創造的な仕事です。デジタル教材の開発など、最新のテクノロジーを活用する機会も増えています。
学習塾・予備校
学習塾や予備校では、講師や教務職員として働くことができます。個別指導や少人数制の授業など、きめ細かな指導が求められます。また、カリキュラム開発や教材作成など、教育のノウハウを活かした仕事にも携われます。
公務員
社会福祉や地域振興の分野では、人材育成や住民教育の知識が役立ちます。また、広報や市民相談など、コミュニケーション能力を活かせる部署も多くあります。
社会教育施設
図書館
資格を取得すれば司書として働けます。資料の管理や利用者サービスだけでなく、読書推進活動や情報リテラシー教育など、教育的な役割も担います。教育学部で学んだ知識を活かし、生涯学習の支援者としても活躍できるでしょう。
博物館
博物館では、学芸員として展示の企画や教育プログラムの開発に携われます。ここでは、専門知識を分かりやすく伝える力や、来館者の興味を引き出す教育的手法が求められるでしょう。教育学部での学びは、博物館で働く上で必要なスキルの基礎となります。
教育系NPO・NGO
教育系のNPOやNGOでは、さまざまな教育支援活動に携わることができます。例えば、不登校児童生徒の支援、外国にルーツを持つ子どもたちへの学習支援、環境教育や国際理解教育のプログラム開発など、多様な分野があります。教育の専門性を社会貢献に直接結びつけられる、やりがいのある仕事です。
一般企業
人事・教育研修部門
企業の人事部門や教育研修部門では、社員教育や人材育成に携わることになります。教育学部で学んだ学習理論や指導法は、こうしたビジネスの場面でも活かせるでしょう。また、新入社員研修や階層別研修の企画運営など、教育のノウハウを直接活用できる業務も多くあります。
営業職
営業職では、顧客のニーズを理解し、適切な提案を行う能力が求められます。教育学部で培ったコミュニケーション能力や説明力は、この職種で活かすことができます。
出版・メディア関連
教育関連出版社
教育関連の出版社では、教科書や参考書、教育雑誌などの編集に携われます。教育現場のニーズを理解し、効果的な学習教材を作成する能力が求められます。教育学部での学びが直接活かせる仕事と言えるでしょう。
番組制作会社
番組制作会社では、テレビやWeb向けの教育コンテンツの企画・制作に携わります。教育系番組などでは、教育的な観点から、魅力的で効果的な番組を作り出す仕事にも関われるでしょう。
IT・テクノロジー企業
教育系アプリ開発
教育系アプリの開発企業では、学習アプリや教育支援ツールの企画・開発に携わります。ユーザーニーズをもとに教育的な知見とIT技術を組み合わせ、革新的な学習ソリューションを生み出す仕事です。
福祉・医療関連
児童福祉施設
児童養護施設や障害児施設などの児童福祉施設では、子どもたちの生活支援と教育的支援を行います。教育学部で学んだ子どもの発達理解や支援方法が直接活かせる職場です。困難な背景を持つ子どもたちの成長を支える、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
病院の院内学級
病院の院内学級では、長期入院中の子どもたちの学習支援を行います。病気と闘いながら学ぶ子どもたちに寄り添い、個々の状況に応じた教育を提供する重要な役割を担います。
教育学部を卒業した人のキャリア
教育現場でのキャリア
教育現場でのキャリアは、多くの教育学部卒業生が選択する王道ルートです。
教育学部では一般的に教職科目を履修します。これらを履修した上で教育実習を経て、教員採用試験に合格すると晴れて教員としてのキャリアがスタートします。
教育関連企業でのキャリア
教育関連企業でも、教育学部で学んだ知識を活用することができるでしょう。例えば、教材開発会社では、教科書や参考書の編集者としてスタートし、やがては編集長や部門責任者として、教育コンテンツの方向性を決定する立場になることもあります。
学習塾や予備校では、講師からスタートし、やがては教室長や地域統括マネージャーとして、教育ビジネスの運営に携わるキャリアパスがあります。ここでは、教育のスキルとビジネスの知識を併せ持つことが求められます。
教育行政でのキャリア
教育行政の分野でも、教育学部卒業生の活躍の場は広がっています。地方自治体の教育委員会で働く場合、教育政策の立案や実施、学校支援などに携わります。キャリアを積むにつれ、教育長や教育次長といった幹部職員として、地域全体の教育行政をリードする立場に就くこともあります。
文部科学省などの中央省庁では、国の教育政策の策定や実施に関わるキャリアを歩めます。ここでは、教育現場での経験を活かしながら、より広い視野で日本の教育のあり方を考え、形作っていく仕事に携われます。
また、国際機関で働くキャリアパスもあります。UNESCOやUNICEFなどの国際機関で、グローバルな教育課題に取り組むことも可能です。このようなキャリアでは、日本の教育システムについての知識と、国際的な視野が求められます。
一般企業での人材育成キャリア
教育系の機関やカテゴリではなくとも、一般企業の人事部門や人材開発部門でのキャリアも、教育学部卒業生にとって魅力的な選択肢です。ここでは、社員教育や研修プログラムの企画・運営、人材育成戦略の立案などに携わります。
まとめ
ここまで、教育学部の概要、主要な就職先、そして卒業生のキャリアパスについて見てきました。教育学部は、単に教員を養成するだけの学部ではありません。そこで学ぶ知識やスキルは、教育現場はもちろん、ビジネス、行政、国際機関など、さまざまな分野で活かせるのです。
教育学部で学ぶ「人を育てる力」は、どのような職場でも求められる普遍的なスキルです。人材育成、コミュニケーション、問題解決など、教育学部で培われるこれらの能力は、社会のあらゆる場面で重要な役割を果たします。本記事が皆さんの参考になれば幸いです。
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