SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の発達で、誰でも・いつでも・どこでもサービスの販売が可能になり、学生が起業して成功するケースが増えてきました。
さまざまな成功事例を見て、「自分も学生起業に挑戦してみたい」という方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、大学1年生の時から起業するメリット・デメリットや、成功する学生起業の方法、成功例などをご紹介します。
大学1年生で起業するメリット・デメリット
起業するメリット
- 失敗しても就職・再起業の道がある
大学生による起業は、社会人の起業に比べて、リスクが非常に小さいことが特徴です。そもそも起業は、「事業の失敗で収入がゼロになる」「一時的に収入を失う」など、多くのリスクを伴います。
社会人が起業する場合には、本業を退職しなければならないことが多いようです。つまり、会社員やビジネスパーソンとして得ている現在の安定した収入を捨てることになります。
しかし、大学生は就職しておらず、安定した収入がないケースがほとんどです。さらに起業に失敗しても、大学に在籍している限り、新卒で企業に就職することもできるでしょう。
また、もし企業への就職が自分のライフスタイルに合わないと感じるのなら、起業の失敗経験から学び、業界・ビジネスモデルを変えて再び起業に挑戦するという選択肢もあります。
「失敗してもやり直しがきく」という点が、学生起業の大きなメリットです。
- 同級生と比べて大きなアドバンテージになる
起業を経験することで、「売り上げを増やす工夫は何か」など経営者目線の思考力が身につき、他の大学生とは違う視点で物事を考えることができます。
例えば、アルバイトとして飲食店で働くとき。一般の大学生であれば、お店のマニュアルに沿って働くことが多いのではないでしょうか。
一方で、起業を経験した学生は「メニュー表を改善すれば客単価が上がるのではないか」「オペレーションを改善し、サービスを提供するスピードを速くできないか」など、売り上げや顧客満足度の向上につながる工夫・アイデアを自然と考える癖がつきます。
「大学生・起業家」という2つの視点を持つことで、インプットや思考の幅も倍増し、他の学生に大きな差をつけることができるでしょう。
- 起業したという実績が残る
学生起業家の数は、全国的に見てもまだ非常に少ないため、起業したという経験自体が、独自の強みとなります。
社会人の起業家もまだまだ少なく、会社員やビジネスパーソンになった際に過去の起業経験を評価され、新規事業の立ち上げに参画できる場合もあります。
起業を早期に経験することで、さまざまなチャンスが舞い込んでくる可能性があります。
加えて起業には、会計・法律・マーケティングなど、網羅的な知識が必要。起業を経験すれば、その過程で人材価値が高まることは言うまでもありません。
- 学生が身近で接点を持ちやすい
4つ目のメリットは、学生ターゲットのビジネスモデルを展開できること。
学生であるがゆえに、市場・顧客のニーズ調査で学生からの意見を収集しやすく、大学構内だけで調査が完了する場合も。
また、自身が日ごろ学生生活で感じている不満や課題を解決する取り組みの延長で、そのままビジネスとして展開することもできます。大学生にアプローチしやすいのが、学生起業の強みです。
- 大学を活用できる
起業には、会計・法律・マーケティングなどのさまざまな知識が必要で、分からないことも数多く出てくるでしょう。時には、本やネットの情報だけでは解決できない課題に、ぶつかってしまう可能性もあります。
しかし大学には、経済や経営などの各分野に精通した教授・専門家が在籍しています。学生という立場を活用することで、彼らに話を聞いてもらったり、アドバイスしてもらったりすることもできるでしょう。
また、起業に関する内容の授業に出席したり、図書館を活用したりするなど、知識のインプットという観点からも、大学という場は起業に適しているともいえます。
起業するデメリット
- 社会経験が少ないために失敗する
社会人が持つビジネス経験の豊富さに比べて、大学生はどうしても不利になります。その結果、思わぬトラブルを引き起こし、廃業に直結することもあり得るでしょう。
例えば、請求書の誤った書き方が原因で売り上げを確保できないことや、食中毒による業務上の過失、画像の著作権侵害などがあるかもしれません。
起業すれば、自分の知識であらゆる問題を判断・解決する必要があります。積極的に専門家に相談したり、同業仲間との情報交換を定期的に行ったりするなど、さまざまな方法から廃業リスクをなくすように努めましょう。
- 学業との両立が難しい
大学生の本分は「授業を受けて学ぶこと」ですが、事業が軌道に乗って業務が増えると、学業との両立が難しくなります。
ビジネスモデルによっては、仕事の連絡が24時間スマホに届く場合もあるでしょう。その対応に追われて、最悪の場合、単位が足りずに卒業できなくなることも考えられます。
しかしその一方で、学業と起業を両立している学生起業家が、数多く存在するのも事実です。
業務を外注することで自分の時間を増やしたり、働いていないときも売り上げが増えるストック型のビジネスを展開したりするなど、工夫次第で、学業との両立は決して不可能ではありません。
両立が難しくなったタイミングで、事業を優先するのか、学業を優先するのかを改めて考えましょう。
- 友達と過ごす時間が少なくなる
事業を軌道に乗せるまでは、時間も体力も必要です。自分の働きで売り上げが決まるため、事業に集中すると、授業やサークルで出会った友達と過ごす時間は、おのずと少なくなってしまいます。
しかし同級生との交流が少なくなる一方で、共同起業した仲間や学生起業家との交流は増加します。「起業」という経験を共有し、密度の高い時間を過ごすことができるでしょう。
- 初期投資が必要なビジネスを始めにくい
実績を持たない、あるいは少ない大学生は信用度が低いため、銀行から多額の資金を借りることは困難です。大規模な飲食店開業やコインランドリー経営など、多額の初期費用がかかるビジネスは避けたほうがよいでしょう。
一方、学生限定のビジネスコンテストでは、賞金が設定されている場合があり、起業アイデア次第では、借り入れなしで起業資金が手に入ることもあります。
また、インターネットの発達によりさまざまな顧客にアプローチ可能になった今、50万円以下で始められる事業も増えてきました。まずはスモールビジネスから始めてみるのもよいでしょう。
成功する学生起業の方法|4つのステップを踏む
1. 起業する目的を考える
最も大切なのは、起業する目的を考えること。目的が明確であれば、それが判断軸となり、経営の指針となります。
例えば、売り上げが低迷して事業転換を余儀なくされた場合。起業目的があいまいだと、すぐにもうけが出るようなビジネスだけに注目してしまうでしょう。
しかし「学費を自分で稼ぐ学生のためのインフラをつくる」という起業目的があれば、新しい事業では学生向けに低価格で提供するなど、最適なピボット判断を下すことができます。
「なぜ起業するのか」「なぜこの事業を行うのか」「社会をどう改善したいのか」の3点を徹底的に深掘りしましょう。深く検討することで、「起業しない」など、新たな選択肢の発見にもつながります。
2. 誰に何を売るかを決める
次に、誰をターゲットにして、どんな商品を販売するのかを決めましょう。
「この起業アイデアで勝負したい」と思っても、購入してくれるお客さんがいなければビジネスは成り立ちません。ターゲットと商品は、必ずセットで考える必要があります。
例えば、大学生をターゲットに旅行プランを提案する場合も、「入学してすぐの1年生なのか、卒業間近の4年生なのか」で、売れる商品は変わってきます。
4年生であれば、比較的お金と時間に余裕があるため、連泊プランや卒論パッケージが売れるでしょう。
狙うターゲットをあらかじめ定義することで、それ以外の人物にアプローチする必要がなくなり、無駄なく売り上げを伸ばすことができます。
3. 1人でやるのか・誰とやるのかを決める
1人で起業するのと、友人や知り合いと起業するのでは、事業の立ち上げ方が大きく異なり、それぞれにメリット・デメリットも存在します。
複数人で起業した場合、マーケティング・法務・営業など、それぞれの得意分野を分担し、効率よく事業を展開できます。
しかし人数が多いことで、意見が食い違って仲間割れをしたり、仲間の人生を背負うことにプレッシャーを感じてしまったりするなど、デメリットも存在するでしょう。
一方、1人で起業する場合は自分のペースやスタイルで事業を展開することができます。
1人でやるのか、誰かとやるのか。それぞれのメリット・デメリットを比較して、何人で事業を開始するのかを決定しましょう。迷ったときは、まず1人で始めてみるもおすすめです。
4. 開業する・会社を設立する
起業には、「個人事業主として開業」「会社を設立」という、大きく分けて2種類の方法があります。事業規模や内容に応じて、どちらかの方法を選びましょう。
個人事業主として開業する方法
個人事業主として開業する方法は、開業から1カ月以内に税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけで済み、費用も無料です。
簡単に起業できる代わりに、会社の設立と比べて社会的信用が低く、融資も受けにくい傾向にあります。
ブログ運営やECなど、BtoC(消費者直接取引)のビジネスであれば、個人事業主から開始してもよいでしょう。
会社を設立する方法
株式会社を設立する場合、設立費用約25万円に加え、さまざまな書類の提出が必要です。その代わり、信用度を確実にアップでき、法人税の適用で税金面の優遇も受けられます。
以下が、株式会社の設立のために必要な手続きです。「登記後5日以内」という厳しい提出期限のものもあるので、専門家に相談するのも一つの方法です。
- 電子定款の認証
- 印鑑証明の取得
- 登記書類の提出
- 法人設立届出書の提出
- 社会保険の新規適用手続き
学生起業の成功例
教育関係の起業例
- 学習塾の経営
学習塾の経営は、「大学生という立場」を強みにしたビジネスモデルであり、成功事例も多数あります。
権威のある大学名を借りて営業したり、地域密着型にしたりするなど、効果的な戦略で事業を立ち上げましょう。
- 英会話のコーチ
いまだに根強い需要のある英会話。オンラインとの相性がよく、「いつでも、だれでも、どこでも」サービスを提供できます。
また、英会話の知識は無形資産であり、事業に必要なコストは、ほぼ自身やスタッフの英語力向上のみ。
大学生でもマネタイズしやすい起業例です。
- 外国語翻訳
外国語が得意な方であれば、翻訳作業がおすすめ。さまざまな翻訳サービスが出てきていますが、本1冊を丸々翻訳するのは今もなお難しい状況です。
日本では外国語を習得している人はまだまだ少ないので、需要は多いといえるでしょう。
また、YouTube動画に英語字幕をつけ、海外向けに販売するといったビジネスも登場しており、ビジネスチャンスは広がっています。
飲食の起業例
- ラーメン店
ラーメン店は飲食店の中でも回転率が高いため、客足が伸びれば高い利益率を出すことができるでしょう。
一方、ずんどう鍋など設備投資が必要で、一般的には数百万円の初期費用がかかるといわれています。
そのため、起業資金を用意できない大学生が開業するには、知り合いから空き店舗を借りるなど、初期費用を削る工夫が必要になります。
- カフェ
カフェ経営の労働量はそこまで多くありませんので、学生でも十分実現できる可能性はあります。
とはいえ、カフェにも数百万円の初期費用がかかるため、そう簡単ではないことも事実。
そんな場合は、中古の移動販売車を使用して、テイクアウトのカフェスタイルから始めるなど、工夫が必要です。これなら、100万円前後でカフェをオープンできます。
お酒メインのお店は、通常の飲食店に比べ、利益率が高い傾向にあります。大学生だけで立ち上げて、すぐに黒字経営化した居酒屋も実際にありました。
その分、競合店舗も多数存在するため、「お客さまに選ばれる自店の強みは何なのか」を常に考え、店舗経営に反映させましょう。
昨今は、情勢の変化などにより、飲食店が厳しい経営状況に置かれています。初期費用がそれなりにかかる業態なので、参入する際はリスク含めてしっかり検討しましょう。
飲食製造の起業例
- 農家
農業法人を設立し、自身で農作物を作って販売するというビジネスモデル。
新品種の開発に成功すれば、価格競争を避けられ、大幅な売り上げアップにつながります。
農作物の育て方はもちろん、農地の購入、農地法の許可取得などの知識も必要になるため、農家に一度弟子入りするケースが多いようです。
ファッションの起業例
- 洋服販売
アパレルブランドを立ち上げ、洋服販売で成功した大学生は多くいます。
服製造を依頼する工場選び・値段交渉などは非常に手間がかかりますが、販路を確立できれば安定的に売り上げが確保できます。
現在はBASEやShopifyなど、低コストでオンライン販売ができるプラットフォームが登場しているため、学生でも売り上げを伸ばしやすいでしょう。
- ランジェリー販売
商品をランジェリーに限定。体格などのターゲットを明確化した上で販売し、成功に至ったケースがあります。
ターゲット層を絞ることで、SNSなどでのマーケティング活動を効率的に行ったことがポイントです。 SNSから利用者の意見を商品開発に取り入れるなど、コミュニケーションを積極的に図れば、顧客のリピート率や単価の向上にもつながるでしょう。
- アクセサリー販売
イヤリングなどのアクセサリーを、ハンドメードで製作し販売するビジネスモデル。
服の製造販売に比べて製作費が安く、大学生でも事業として立ち上げやすいことが特徴です。
一見キラキラした事業に思えますが、材料の仕入れ、梱包、経理、SNS運用など、地道な作業も伴います。事前にイメージとのギャップを解消しておきましょう。
- ファッションレンタル
衣服を郵送でレンタルする、月額会費制のサービス。
服の仕入れやクリーニング、在庫管理費用を低コスト化できれば、十分に黒字化を狙えます。 30着程度であれば自宅での在庫管理もできるので、小さく始めるなら店舗を借りる必要もありません
Webサービスの企業例
- Webメディア運営・制作
大学生の起業で人気なのが、Webメディアの運営・制作です。
自分でWebサイトを立ち上げ、好きなこと・得意なことをうまく発信すれば、広告収入や商品紹介料で月100万円以上を稼げる場合もあります。
ある程度、Web関連の知識や技能は必須ですが、初期費用が抑えられる上に利益率が高いビジネスなので、大学生でも無理なく始められるでしょう。
- ECサイト運営
ECサイトでは、「製品を仕入れる」「オリジナル商品を作る」という2つの方法でマネタイズができます。
大学生の場合、古物を仕入れて販売するほうが、参入障壁も低く、取りかかりやすいかもしれません。必要な許可の手続きも、古物商許可申請のみ。販売商品に悩む場合は、まず古物商の起業から始めてみましょう。 また、他人のECサイトを代理運営するビジネスモデルも増えてきています。ECを経験した後は、代理店事業を展開するのもよいでしょう。
- アプリ開発
プログラミングを習得することで、ゲーム・アプリなど、皆さんが普段利用しているものを作ることができます。
マネタイズポイントも自身で設定・作成できるので、収益化は難しくありません。
ただしアプリ規模が大きくなるほど、開発コストやバグ修正に費用がかかるので、まずは1人で対応できる範囲での起業を推奨します。
クリエイターの企業例
- YouTuber
今大学生の起業で最も人気なのは、YouTuberではないでしょうか。広告収益で、時には数百万円の利益を出すことができます。
ジャンルは多岐にわたり、大学生活の切り取り、釣り、ゲーム、企画系などの動画投稿で、成功しているようです。
市場は飽和状態になりつつありますが、独自のポジションを築くことで、今からでも十分に成功を目指せる分野だといえるでしょう。
- ネット漫画家
SNSで自身のデジタルイラストを発信・販売し、ネット漫画家として生計を立てている人がいます。
1枚の絵の販売から、アイコンやヘッダー制作受託まで、幅広いマネタイズ手段があるでしょう。
最近では絵の情報量の多さに注目し、法人企業が良質なイラストを購入するケースもあります。
マッチング代行の企業
- 就活生と人事
就活生と接点を持ちたい企業は多く、マッチング需要はいまだに多いといえます。
大学生にも、企業の人事と接点を持ちたいという人は多いでしょう。
学生と人事をつなぐイベントを企画したり、マッチング用のSNSを制作したりすることで、マネタイズ化につなげることができます。
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まとめ
今回は大学1年生で起業するメリット・デメリット、起業の方法についてご紹介しました。
学生起業はハードで難易度も高い一方、成功すれば大きなリターンを得られます。仮に失敗してしまっても再出発できるだけの余裕もあります。また、成功・失敗にかかわらず、起業した経験はかけがえのないものになるでしょう。
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