農学部の就職先について解説!就職上位のジャンルや職業、キャリアについて


農学部を卒業した後のキャリアパスについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 多くの人は農業関連や食品会社などを思い浮かべるかもしれません。確かに、それらも重要な進路の一つですが、実際の農学部卒業生の就職先は多岐にわたります。

本記事では、農学部卒業生の主要な就職先について詳しく解説していきます。各業界でどのような仕事があり、どのようにして農学の知識が活かされるのか、具体的に見ていきましょう。これから農学部への進学を考えている方はもちろん、農学部で学んでいる学生の皆さんにとっても、将来のキャリアプランを考える上で参考になるはずです。

農学部について

農学部とは?

農学部は大学の学部の一つで、農業や食品、環境に関する幅広い分野を学ぶ場所です。植物や動物の生産から、食品の加工、環境保全まで、私たちの生活に密接に関わるさまざまな分野に関する研究や教育が行われています。

農業技術の向上や生産性の改善はもちろん、現代の農学部では食の安全、環境問題、バイオテクノロジーなど、より広範な課題に取り組んでいます。

農学部の学生は、座学だけでなく、実験や実習を通じて実践的な知識や技術を身につけます。例えば、実験室での遺伝子解析や、大学が所有する農場での作物栽培実習、食品加工実験など、多岐にわたる体験型の学習に触れます。

農学部の主要学科

農学部には、農業や食品、環境に関するさまざまな専門分野があり、大学によって学科の名称や構成は異なります。ここでは、一般的に設置されている主要学科について見ていきましょう。

農学科

農学科は、農学部の中核を成す学科です。ここでは、作物の栽培や育種、土壌学、植物病理学など、農業生産に直結する分野を幅広く学びます。近年では、遺伝子組み換え技術や精密農業など、最新の科学技術を活用した農業生産についても研究が進められています。

農学科の学生は、作物の生育メカニズムや環境との相互作用について深く学びます。例えば、植物の生理学や生態学、農業気象学などの基礎科目を通じて、作物の成長に影響を与えるさまざまな要因を理解するなどです。また、土壌肥料学では、作物の生育に適した土壌環境の管理方法を学びます。

畜産学科

畜産学科では、家畜の飼育や繁殖、畜産物の生産に関する専門知識を学びます。主対象となる主な家畜は牛、豚、鶏などで、近年では養殖魚や蜜蜂なども研究対象となっています。

畜産学科の特徴的な科目として、家畜衛生学や畜産物利用学があります。家畜衛生学では、家畜の疾病予防や治療について学び、安全な畜産物生産の基礎を身につけます。畜産物利用学では、肉や乳、卵などの畜産物の加工技術や品質管理について学びます。

食品科学科

食品科学科では、食品の加工、保存、安全性に関する幅広い知識を学びます。この学科の学生は、化学や生物学の基礎知識をベースに、食品の成分分析、加工技術、微生物制御など、食品に関する総合的な理解を深めます。

食品科学科の主要な科目には、食品化学、食品微生物学、食品工学などがあります。食品化学では、食品の栄養成分や機能性成分について学び、それらの性質や変化のメカニズムを理解します。発酵食品の製造や食中毒の予防など、微生物と食品の関わりについて学ぶのも、食品微生物学の特徴です。なお、食品工学では食品の製造プロセスや保存技術について学びます。

森林科学科

森林科学科では、森林の生態系や管理、利用に関する幅広い知識を学びます。この学科では、樹木の生理学や生態学、森林の保全と管理、木材科学などを中心に学び、持続可能な森林資源の利用と環境保全の両立を目指します。

森林科学科の学生が最初に学ぶのは、森林生態系の基本的な構造と機能についてです。ここで、樹木の成長過程や、森林内の生物多様性、森林が果たす環境保全機能(水源涵養、二酸化炭素吸収など)について深く理解します。また、リモートセンシング技術やGIS(地理情報システム)を用いた森林資源の把握や管理手法も学習範囲に含まれます。

木材科学の分野では、木材の構造や性質、加工技術について学びます。近年では、木質バイオマスエネルギーの利用や、新しい木質材料の開発なども重要なテーマとなっており、森林政策や林業経済学なども学びながら社会科学的な視点も含めて森林管理のあり方を考察します。

農学部の主要就職先

食品・飲料メーカー

研究開発部門

研究開発部門では、新しい食品や飲料の開発、既存製品の改良などに携わります。食品科学や栄養学の知識を活かし、消費者ニーズに合った製品開発を行う領域です。主な業務例としては、機能性食品の開発や、食感や風味の改良、賞味期限を延ばす技術の研究などが挙げられるでしょう。また、植物性タンパク質を使用した代替肉の開発など、最新のトレンドに対応した製品開発にも取り組むのも、この部門の特徴です。

品質管理部門

品質管理部門は、製品の安全性と品質を確保することが主な仕事です。原材料の検査から製造工程の管理、最終製品のチェックまで、食品の安全性に関わるすべての段階で重要な役割を果たします。食品微生物学や食品衛生学の知識を活かし、HACCP(ハサップ)などの食品安全管理システムの運用や、アレルゲン管理、品質保証などに取り組むのも、品質管理部門の役割です。

農業関連企業

種苗会社

種苗会社では、新しい品種の開発や種子の生産・販売を行います。ここでは、植物育種学や遺伝学の知識を活かし、収量が多い品種や病害虫に強い品種、栄養価の高い品種などの開発に取り組むことになります。近年では、気候変動に適応できる品種の開発も重要なテーマとなっており、種苗会社で働く意義は高まっています。

農業機械メーカー

農業機械メーカーは、トラクターや収穫機、播種機など、さまざまな農業機械の開発・製造を行う業種です。農学の知識と機械工学の知識を組み合わせ、効率的で使いやすい農業機械の開発に取り組みます。近年では、GPS技術やAIを活用したスマート農業機械の開発も盛んに行われており、農学部卒業生の知識が大いに活かされています。

環境・バイオテクノロジー関連企業

環境問題への関心の高まりや、バイオテクノロジーの発展に伴い、これらの分野も農学部卒業生の重要な就職先となっています。環境関連企業では、土壌や水質の浄化技術の開発、生物多様性の保全、再生可能エネルギーの研究などに携わります。主な業務例としては、バイオマスエネルギーの開発や、環境に優しい農薬・肥料の研究などが挙げられます。

農協・農業団体

農協(農業協同組合)や各種農業団体も、農学部卒業生の主な就職先の一つです。これらの組織では、農業生産者へのサポートや、農産物の流通・販売など、幅広い業務に携わります。農学部で学んだ専門知識を活かすことで、農業経営のアドバイスや新技術の普及、農産物のブランド化や販路開拓などに取り組めるでしょう。

公務員(農林水産省、地方自治体)

公務員として農林水産省や地方自治体で働くことも、農学部卒業生の重要なキャリアパスの一つ。農林水産省で働く場合は、国の農業政策の立案や実施、国際的な農業交渉などに携わります。一方、地方自治体で働く際は、地域の農業振興策の立案や実施、農家への支援、地産地消の推進などが主な業務となるでしょう。いずれの場合も、農学の専門知識と行政的な視点を組み合わせ、持続可能な農業と農村の発展に貢献することが可能です。

商社(農産物取引)

商社、特に総合商社や専門商社の農産物部門も、農学部卒業生の就職先として注目されています。ここでは、国内外の農産物の取引や、食品関連ビジネスの開発などに携わります。農産物の品質評価や市場動向の分析、新しい農産物の発掘や輸入、農業関連プロジェクトの立案・実施など、幅広い業務に従事できるでしょう。

製薬会社

農学とは関係が薄いように思える製薬会社も、農学部卒業生の主要な就職先の一つです。特に植物由来の医薬品開発や、バイオテクノロジーを活用した創薬研究などの分野で、農学部で学んだ知識を活かせます。主な業務としては、薬用植物の研究や栽培、植物成分を利用した新薬の開発、遺伝子組み換え技術を用いたタンパク質医薬品の生産などが挙げられるでしょう。

農学部を卒業した人のキャリア

食品安全や品質管理のスペシャリストとして活躍

この分野では、食品科学や微生物学、衛生学などの知識を活かし、安全で品質の高い食品を消費者に届けるための重要な役割を果たします。

具体的な仕事内容としては、食品製造工程の管理、原材料の品質チェック、最終製品の検査、衛生管理システムの構築と運用などがあります。食品安全管理システムの導入や運用を担当したり、アレルゲン管理や食品表示の適正化に取り組んだりすることもあるでしょう。

環境保全や持続可能な農業の推進者として貢献

有機農業や環境保全型農業の技術開発と普及、生物多様性の保全活動、土壌や水質の改善プロジェクトの立案と実施なども、農学部卒業生の知見が活用できる事業です。農薬や化学肥料の使用を最小限に抑えた栽培方法の研究や、地域の生態系を考慮した農業システムの設計などに携われるでしょう。

近年では気候変動が農業に与える影響も大きな課題となっています。そのため、気候変動に適応した農業技術の開発や、農業分野における温室効果ガス削減策の研究なども重要な仕事として、ニーズが高まっています。

農業技術や品種改良の研究者としてのキャリア

農業技術や品種改良の研究者は、農学部卒業生のキャリアとして重要な位置を占めています。この分野では、植物育種学や遺伝学、作物学などの知識を活かし、より優れた作物品種の開発や、効率的な栽培技術の確立に取り組むことになります。

具体的な仕事内容としては、新しい品種の開発、病害虫に強い作物の育成、栄養価の高い品種の作出、収量を増やす栽培技術の研究などがあります。遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術を用いた品種改良や、AIやIoTを活用したスマート農業技術の開発などに携わることもあるでしょう。

まとめ

ここまで、農学部卒業生の主要な就職先について見てきました。農学部卒業生は食品・飲料メーカーや農業関連企業をはじめ、環境・バイオテクノロジー関連企業、農協・農業団体、公務員、商社、製薬会社など、実に多様な分野で活躍していることが分かります。

これらの就職先に共通しているのは、「食」「環境」「生命」に関わる仕事であるということです。農学部で学ぶ幅広い知識と技術は、これらの分野で大いに活かせるでしょう。

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