海外では当たり前?「オンボーディング」を日本の常識に。

海外では当たり前?「オンボーディング」を日本の常識に。

2020.11.11 PROJECT

2019年9月、オンボーディング支援サービス「HR Spanner(エイチアール スパナー)」のβ版がリリース。現在はさらに進化したサービスを目指し、日々開発メンバーが試行錯誤を重ねているところだ。 パーソルキャリアが目指すのは、転職や採用をゴールとせず、転職者それぞれが組織に定着し活躍するための支援を、「HR Spanner」により実現すること。そんな未来へ向けた、新規サービス開発に携わる中での苦労や、これから目指すチャレンジについて、プロジェクトを担う3人に語ってもらった。


幕田 博之 (まくた ひろゆき/写真右)

2020年 中途入社
サービス企画開発本部 サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー

新卒で証券会社入社後、インターネット事業会社、流通系企業のデジタル戦略を担う子会社等でサービス企画、事業開発を経験後、2020年1月にパーソルキャリアに入社。2020年5月より、「HR Spanner」のサービスオーナー。


徳田 千尋 (とくだ ちひろ/写真左)

2019年 中途入社
サービス企画開発本部 サービス企画統括部 サービス企画部

SEとしてキャリアをスタートし、結婚情報メディアでの企画職経験、アパレル企業へのCRMツール導入コンサルタント等の経験を経て2019年8月にパーソルキャリアに入社。


早坂 悠 (はやさか はるか/写真中央)

2018年 中途入社
サービス企画開発本部 サービス開発統括部 エンジニアリング部 第1グループ リードエンジニア

2013年未経験からWebのエンジニアへ。フロントエンドを中心にサービス開発に携わり、2018年7月パーソルキャリア入社。現在は「HR Spanner」をはじめとする、Nuxt.js, Firebaseなどを利用したサービス開発に携わっている。


入社後のギャップをなくして、活躍の支援をしよう。

― オンボーディングとは、「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉で、企業へ入社した人が定着・活躍するまでに行う受け入れプロセスのこと。日本では未だ取り入れている企業の少ない、新しい概念だ。新たな概念を浸透させるために生まれた新たなサービスには、どのような狙いがあったのだろう。

幕田 「HR Spanner」は、パーソルキャリアが新たに開始した法人向けオンボーディング支援サービス。2019年9月にβ版がリリースされ、現在は、本格的なサービスにするために開発を進めているところです。

徳田 オンボーディングという考え方自体、日本ではあまり浸透していないですよね。しかし入社したらあとは自力で、となると組織に馴染むまでなかなか力を発揮しにくい。入社後の支援をきちんと行うことで、入社した人にとっても組織にとっても、メリットが生み出せると考えています。

幕田 そうですね。その支援を行うために、企業が使用できるツールとして開発したのが「HR Spanner」です。具体的に行っていることは、入社後のアンケート実施。そこから入社後にギャップを感じている人をキャッチしたり、過去に同じ悩みを抱えていた先輩との面談につなげたりすることで、その人の抱える課題を発見することができるんです。

徳田 今はあくまでβ版ですが、これからもっと機能を拡張し、よりよいサービスにしていこうとしているところです。

― プロジェクトが立ち上がったのが、2019年6月。スタートは5名。構想から3ヶ月でのサービスリリースが目指されていたという。

早坂 私は、サービス立ち上げの最初から携わっています。当時は、少数精鋭・スピード感重視のチームでした。開発チームでシェアオフィスを借りて一気に制作しましたね。

徳田 合宿みたいですね。

早坂 そうなんです。大変なこともたくさんありましたが、みんなで集まって集中してやるぶん、スピードが早いんです。すぐ相談、即意思決定。これが意識として徹底されているチームでしたね。

徳田 プロジェクトの途中から企画職として参画したので、プロジェクト初期の話を聞けるのは嬉しいです。私は、パーソルキャリアへの入社とプロジェクトへのジョインが同時だったので、まずは組織に慣れていきたい、一方で実務をドンドン進めていきたい。その両立が、振り返ると結構大変な時期だったかもしれません。

幕田 私も転職してきて、プロジェクトの途中から関わることになりましたね。2020年1月に入社し、5月にはサービスオーナーへ。いまはサービスの成長全体に関わっている立場で、徳田さんと2人で企画を分担している形です。

早坂 企画職が幕田さんと徳田さんの2人、それからエンジニア職が私を含め3人、というチーム編成ですね。


日本らしいオンボーディング、どうつくる?

― サービスの構想から、3カ月後にはβ版リリース。もっとも過酷であった立ち上げ期を経験している早坂は続ける。

早坂 私がとくに印象的だったのは、β版のリリース直前ですね。どのブラウザに合わせたサービスにするかを決めるのは、正直大変でした。通常はGoogle Chromeを想定するのですが、サービスを主に使用するのが企業の人事であることを考えると、Internet Explorer(IE)を使っている人がとても多いだろうと。で、開発したものをIE環境でテストすると「どうしよう!画面が真っ白だ!」みたいになるわけですよ。

徳田 納期が迫る中、真っ白な画面を見たら、物理的にも精神的にも追い詰められそうですね…!

早坂 はい。しかし結局は、ひとつずつ対処するしかないので。つくって、試して、修正して、また試して、というのを繰り返していきました。

徳田 私は、オンボーディングの正解がないなかでどのような機能をつくっていけばいいかが悩ましかったし、いまも試行錯誤しているところです。オンボーディングって、比較的新しい概念なので“型”のような、こうすればうまくいくというのがわかっていないんですよね。

幕田 海外ともまた違いますしね。

徳田 そうなんです。アメリカの例を参考にしてみたのですが、そこで重要視されているのは、総務・労務の仕組みや書類など。オンボーディングといえば、比較的ハード面の支援を指すんです。一方、日本でいう定着は、人間関係がとても重視されている。既存社員にいかに馴染むか、という視点が重要なので、独自のサービス機能が求められますが、まだ模索中です。

幕田 企画職としては、どこにヒントを見出すのがいいんでしょう?

徳田 私自身に転職の経験があるので、当時の自分だったら何が必要だったかなと考えるようにしています。

― 短期間での開発、使ったことのない技術、正解がない中での企画。メンバー一人ひとりがそれぞれの困難を感じる中で、プロジェクトの途中からサービスオーナーに就任した幕田には、幕田にしか経験できない苦悩があったようだ。

幕田 私個人としては、サービスオーナーとなった直後が、壁を感じたときでしたね。入社後半年も経たないうちに、いきなり責任者ですから。サービスは試行錯誤でつくっている上に、社内で関わったことのない人も多く、サービスオーナーとしての下地づくりのようなことが必要でした。

徳田 幕田さんは多くの方と対話を重ねていたのが印象的です。

幕田 単純ですが、できるだけ多くの人と話をするのは大事ですね。とにかく話して、自分の考えを知ってもらう。あるいは、相談して知見を借りる。同じ会社で同じ目標を持った人にも、お客さまにも、パーソルグループの全然知らない人にコンタクトとってアドバイスを求めたこともありました。あとは、シンクタンク。専門家を探したり。

早坂 ああ、そうですね。グループ内でアセットやノウハウを借りられるのは、パーソルの強みのひとつだと思いました。たとえば「定着・活躍する人材ってどんな人?」っていうシンプルな質問も、多くの人に聞くとさまざまな視点からの回答が得られますからね。

幕田 そういった点はまさに、チームだからこそできる、力を発揮する方法ですよね。私の前職は個人がかなり独立した動きをする組織だったので、いまみたいにチームワークを発揮して何かを成し遂げようとするのは楽しいです。

早坂 関わる人が多いと工夫も必要になりますが、得られるものが本当に大きいですね。


サービスはお客様と一緒に育てていくもの。

― 大きな壁が続きながらも、プロジェクトは進んでいく。メンバーにとって、プロジェクトを主体的に進めていく、そのモチベーションはどんなところにあるのだろうか。

幕田 シンプルに、「HR Spannerβ版」を使っている人の声を聞けるのがいいですね。サービスは、自分の考えだけでつくるものじゃなく、あくまでお客さまである企業の人事のためのものです。だから、人事の方から話を聞けて、それをサービスの進化に活かしていけることはモチベーションにつながります。

徳田 そうですね。私もお客さまの声が直接聞けるととても嬉しいです。

幕田 いい点に関してでも、不満点に関してでも、フィードバックって嬉しいですよね。発見がある。それらを踏まえて、分析しながら、次はどうすべきかを考えていく時間もまた楽しいなと。

徳田 そうですね。サービスって、お客さまの声を聞きながらつくっていくものなんだなと実感できます。今だと、お客さまである人事担当者がどうしたいか、サービスに求めているものがなにかを、考えることを大事にしていきたいですね。人事担当者の意思がないと本質的な解決策は生まれませんから。その意思をしっかりくみ取り、尊重し、お互いにいい影響を与え合いながら、採用の成功とサービスの成長を考えていきたいですね。

幕田 人事担当者が決裁者である場合とそうでない場合とで、話の内容や伝え方を変えてみたり、経営陣に提案しにいくときは、資料をつくりかえてみたり。そういったコミュニケーションの大切さも、改めて感じるきっかけになったと思います。


転職だけでなく、
定着・活躍のサポートまでできるパーソルキャリアになろう。

― β版リリースを経て、さらなる進化をしようとする「HR Spanner」。製品として、プロジェクトとして、今後目指すのは、どのようなところなのだろうか。

幕田 目の前のことでいうと、技術的なアップデートは行っていきたいですよね。

早坂 そうですね。β版は、短期間でつくることを重視していたので、比較的簡単な技術を用いていました。今後必要な要件を満たしていくためには、どうすべきかは検討していきたいですね。

幕田 もう少し大きい展望で言うと、「HR Spanner」の活用をもっと適切にサポートしていきたいです。現在はまだ、オンボーディングそのものの啓蒙段階だと思います。

徳田 本当にそうですね。「オンボーディングって大切なんですよ。」ということは、β版を活用し、理解し始めていただいている気がする。「オンボーディングが大事なのはわかったけど、そのためにはどうすれば?」というのが、次の段階ですね。

幕田 そう。ツールの活用は課題の発見に留まるんですよ。あくまで大事なのは、その先。課題を解決して、人の定着や活躍についての支援をパーソルキャリアが考えなければなりません。点と点をつないでいくような作業ですね。

早坂 うん。いまはまだ、「HR Spanner」は後発のサービスです。正直、似たようなことができるサービスは他にもある。でもオンボーディングといえば、パーソルキャリアって、世の中で言われるようになりたいです。

徳田 ただ転職や採用をゴールにするんじゃなくて、活躍ができることをもっと重視できるように。定着・活躍がもっとできるようになれば、ひとつの会社内で大きなキャリアチェンジも可能になっていくんじゃないかと期待してるんですよね。例えば、美容系の企業で、販売職から企画職へキャリアチェンジができる、といったような、転職せずともやりたいことをもっと選べる社会になっていくと思います。

幕田 そうなればパーソルキャリアの掲げる、-人々に「はたらく」を自分のものにする力を-というミッションの推進にも、つながっていきますよね。

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