就活に向けて準備を始めると、「OBOG訪問」という言葉を耳にする機会が増えるのではないでしょうか。
しかし「何となく意味は知っているけれど、OBOG訪問の具体的なやり方は分からない」というケースが多いようです。
そこでこの記事では、OBOG訪問のやり方からおすすめの時期、聞くべき質問・NG質問までをまとめてご紹介します。
OBOG訪問とは
OBOGの実体験を通じて、企業をより深く知ること
OBOG訪問とは、企業ではたらく社会人を訪問し、リアルな実体験を聞くことで仕事やはたらき方への理解を深めることです。
多くの企業は説明会を行いますが、説明を聞いただけでは「はたらいているイメージが湧かない」と感じる就活生が多いようです。そのようなときに役立つのが、現在はたらいている社員の方々と話ができるOBOG訪問です。
内定獲得に必須ではない
OBOG訪問はあくまで学生が企業理解を深めるための機会であり、内定獲得に必須ではありません。しかし、OBOG訪問が内定獲得に間接的に貢献するケースはあります。
例えば、今後注力する海外事業の情報を得た場合。海外展開と自身の英語力を結びつけることで、面接官に刺さるアピールができるでしょう。
このように密度の高いOBOG訪問ができれば、面接やES選考を有利に進めることにも期待が持てます。
OBOG訪問のメリット・デメリット
メリット
- リアルかつ鮮度の高い情報を知ることができる
OBOG訪問は、今まさに企業ではたらく社会人と話をすることで、その企業の現状・はたらきやすさをリアルに知ることができます。
インターネットの発達により、顧客の消費スタイルが激しく変化するようになった現代。顧客にサービスを提供する企業側にも、大きな変化が起きています。
そのため、1年前の企業情報が正しいとは限りません。OBOG訪問の強みは、変化の激しい状況の中で、常に最新の企業情報を知ることができるという点にあります。
- 面接官ではないので気軽に質問できる
OBOG訪問で会う先輩社員は、基本的に人事担当者ではありません。自身が希望する職種の方と会ったり、知り合い経由で偶然つながった方と話をしたりすることが多いようです。
面接では聞きづらい「残業時間・社内の雰囲気」なども、OBOGであれば比較的気軽に質問できます。ただし、OBOGの貴重な時間をいただいているので、「敬語を使う」「時間を守る」「質問を用意しておく」など、失礼がないようにしましょう。
- 社会人とのコミュニケーションを経験できる
社会人と長時間話せる点も、OBOG訪問のメリット。理由は、社会人と学生同士ではコミュニケーションの取り方が異なるためです。
ビジネスの世界では「結論を端的に伝える」「相手の要望を掘り下げる」など、仕事を迅速に進めるための会話が要求されます。
OBOG訪問を通じて社会人との会話に慣れておけば、面接の際の緊張を緩和できるでしょう。また面接だけでなく、就職後にも培った会話力を活かすことができます。
デメリット
- OBOGによって差がある
直接会って話をするOBOGが、自身の志望する職種や部署の方とは限りません。営業部マネジャーの話を伺うつもりが、エンジニア社員と話をする場合もあります。
自身が望む情報を得られない場合もあるため、事前連絡の段階でOBOGの所属部署や役職を把握しておきましょう。
- OBOGの話すことがすべて正しいとは限らない
今その企業ではたらく社員であっても、他部署の現状・雰囲気を知らないことは多いといえます。そのため、OBOGが「コミュニケーションが活発な会社」と言っていても、他の部署も同じ雰囲気とは限りません。
OBOGの情報がすべて正しいとは限らないため、「質問はOBOGの所属する部署に関することに限定する」などの工夫をしましょう。
OBOG訪問におすすめの時期
本選考開始前までに行うのがベスト
OBOG訪問は、本選考開始前までに行うのがベスト。具体的には5~9月が該当します。本選考が始まると、OBOGと予定を合わせることが困難になるためです。
10月以降の就活生は、1次・2次・最終面接への参加や準備の時間に追われます。一方でOBOG側も、面接への参加、リクルーターとしての活動、座談会イベント、懇親会への参加などで多忙になりがちです。
そのため、OBOG訪問は本選考開始前の5~9月に行うのがベストでしょう。特に5月は、就活に向けて動きだしている学生がまだ多くないので、OBOG訪問の倍率も低くおすすめの時期です。
早い人は1、2年生から始めている
大学1~2年生のときから、OBOG訪問を行う学生が増えてきています。
早期からOBOG訪問を行えば、その分、自己分析・企業研究に活かせる情報を多く得られるので、より洗練されたES・面接対策ができるでしょう。
その結果、3年生時のサマーインターン選考に通過しやすくなるという副次的なメリットも考えられます。OBOG訪問は、早めに行って損はありません。得た情報を就活準備に活用して、他の学生と差をつけましょう。
OBOGに連絡を取る手段
1.所属ゼミ・部活・サークルなどの先輩にお願いする
最もおすすめなのが、大学のゼミや部活・サークルのOBOGにお願いする方法です。
「同じコミュニティーに属した」という共通点があるため、親近感を抱いてもらいやすく、親身な姿勢でOBOG訪問を受け入れてくれる場合が多いようです。質問も気軽に行えます。
2.大学のキャリアセンターを利用する
キャリアセンターとは、大学構内にある、学生の就職支援を行う機関のこと。卒業生の就職先企業や、OBOGの連絡先を管理しています。
申請数上限などの制限はありますが、OBOG訪問可能な先輩の連絡先を教えてもらえることもあるので、ぜひ活用してみてください。
3.友人・知人・家族に紹介してもらう
友人や知人、家族に紹介してもらうのも手法の一つ。関係性の深い方を紹介され、OBOG訪問時には、ていねいに対応してもらえることが多いようです。
ただし紹介前の段階で、親や友人と認識の擦り合わせを必ず行いましょう。その企業が第一志望ではないのに、親や友人がOBOGに「御社に入りたがっている」など、誤った情報を伝える可能性があるからです。
OBOG訪問後に良好な関係を築き続けるためにも、事前の期待値調整は必ず行いましょう。
4.アプリやサイトなどのWEBサービスを利用する
OBOG訪問したい就活生と社会人をつなぐ、OBOG訪問専用アプリが増えてきています。自身の大学だけでなく、その他の大学OBOGとも接触できる点が大きなメリットです。
無料のアプリも多いので、OBOG探しに苦戦している方は一度検討してみてください。
企業をより深く知ることができる質問一覧
キャリア形成に関する質問
- 仕事を通してどんなスキル・スタンスが身についたか
自身のキャリアプランを具体化するためにも、お客様への価値提供を行った結果、どのような力が身につくのかは把握しておきましょう。
この質問を通じて、自身が入社後にビジネスパーソンとしてどのように成長するかを、具体的に想像できるでしょう。
また、スキルが身につくまでにかかった期間もあわせて聞いておくと、入社後の成長をより明確にイメージしやすくなります。
- 仕事に取り組むモチベーションは何か
この質問では、OBOGの普段の仕事を通じて得られるもの・その魅力を知ることができます。
はたらくモチベーションは人それぞれですが、OBOGがその仕事を長く続けているのであれば、仕事に魅力を感じているということです。
仕事の魅力は何なのか、その魅力は自身のモチベーション維持につながるのかを確認しましょう。
- 教育制度はどのような体制で、どのように活用されているか
教育制度を知ることで、その企業での中長期的なキャリアをイメージできるようになります。
というのも、教育制度とは「新卒教育」だけでなく「管理職教育」「専門職教育」など、長期所属社員向けの教育制度も存在するのです。
教育制度を把握することで、「その企業では○○年はたらく」など、キャリアプランをより具体化できるでしょう。
また「教育制度はあるが活用されていない」というケースがあるので、制度が実際に機能しているかもあわせて聞いておくとよいでしょう。
- 退職を考えたことはあるか、それはなぜか
退職検討理由を聞くことで、その仕事でつらいのは仕事内容なのか、業務量なのか、人間関係なのかを間接的に知ることができます。
退職検討の原因となった負荷が耐えられるものならば、就職後も無理なくはたらけるということが分かり、ミスマッチ防止につながります。
その仕事が自分に合っているかの判断材料になる質問です。このようなネガティブな情報は、説明会などでは聞きづらいので、OBOG訪問の際に確認しておきましょう。
社風・社内雰囲気に関する質問
- 入社前後で会社に対するイメージの変化があったか
就職ミスマッチを防ぐためにも、入社前後のイメージの変化を聞いておくことは重要です。
「企業説明会は明るい雰囲気だったが、実際に入社してみると社員同士のコミュニケーションは皆無で雰囲気が暗かった」といったことも起こり得ます。
ポジティブ・ネガティブなイメージ変化、それぞれ一つずつ聞いておくとよいでしょう。
- 上司・同僚・後輩とはどんな関係性か
会社の社風・人間関係が分かる質問です。
例えば「上司とはフラットな関係」という返答であれば、人間関係よりも成果を重視する企業だと推測できます。
ただし、「その上司と仲が良いだけ」という可能性があるため、上司だけでなく、同僚・後輩との関係性も聞いておきましょう。
それぞれの関係性を聞くことで、社風や雰囲気を正確に把握できます。
- 「飲み会には参加すべき」など暗黙のルールはあるのか
多くの企業には暗黙のルールがあります。「飲み会には必ず参加」「上司が帰るまでは帰れない」など、人によっては受け入れられないルールもあるでしょう。
実際にはたらいた方にしか分からないことなので、ネット上でもほとんど見つからない情報です。OBOG訪問の際に聞いておくことをおすすめします。
事業展開に関する質問
- サービス、製品が競合と比較して優れている点は何か
サービス・製品の競合優位性を知ることは、顧客が何に価値を感じているか、ひいてはその企業の長所を知る手がかりになります。
競合との違いを理解すれば、論理的で説得力のある志望動機を作成できるでしょう。
「競合優位性は何だろう」と自分で仮説を立てることも大切です。しかし、実際に今はたらいているOBOGの方が商品を深く理解しているため、仮説検証に時間をかけるのではなく、意見を素直に聞くという姿勢も大切です。
- 全社的に今後力を入れていく事業・サービスは何か
この質問を通じて、企業が今求めている人材を把握でき、面接やESで伝わる自己PRを作成できます。
今後力を入れる事業で「自身の強みを活かすことができる」と伝えられれば、他の学生と大きく差別化できるでしょう。
例えば、海外展開に力を入れる場合であれば、「英語力×営業力」を重点的にアピールすると効果的です。
OB訪問で深い話をするコツ
調べて分かることは聞かない
「ビジョン・事業内容」など、調べればすぐに分かる話は避けましょう。「企業のリアルな現状を知れる」というOBOG訪問のメリットを、まったく活かせていないからです。
インターネットを見て完結する内容なら、わざわざOBOG訪問を行う必要はありません。また、調べればすぐに分かる質問だと、OBOGは時間の無駄だと感じ、印象を損ねてしまう恐れがあります。
仕事の合間に貴重な時間を割いていただいていることを認識し、インターネットに掲載されている情報を事前に頭に入れた状態で、OBOG訪問に臨みましょう。
あいまいな回答になりそうな質問はしない
あいまいな質問をしてしまうと、OBOGもどう回答すべきか分からず、あやふやな回答になり、その結果、自分が知りたい情報を得ることも難しくなります。
あいまいな回答になる質問とは、主に以下の2つです。
1.回答が複数パターン思いつく
2.人の考え方次第で答えが変わる
1の具体例としては「入社後の配属に関して、詳しく教えてほしい」など。配属を決める流れを知りたいのか、配属の基準を知りたいのか、結局何を知りたいのかが分かりません。
2の場合、「職場には優しい方が多いですか」といった質問です。そのOBOGの感じ方や価値観次第で、回答は大きく変わります。
自分の知りたい情報を得るためにも、OBOGが答えやすいクローズドクエスチョンを用意するなどの工夫をしましょう。
まとめ
今回はOBOG訪問のやり方・おすすめ時期、質問例などを紹介しました。
OBOG訪問で質の高い質問ができれば有益な情報を得られます。仮に期待していた情報が得られなくても、社会人と深いコミュニケーションを取るという、かけがえのない経験が得られます。
就活でより企業の理解を深めたい方は、早めにOBOG訪問を行うことがおすすめです。
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