比較的自由に使える時間が多いことから、「自己投資に適したタイミング」とも言える大学時代。社会人になってからの準備や就職活動対策などを見据えて、積極的にソフトスキルやハードスキルを高めたいところです。しかし、「ソフトスキル」や「ハードスキル」と言われても、いまいちピンとこない方もいるのではないでしょうか?
本記事ではソフトスキルとハードスキルの中身や事例、大学生にとってこれらのスキルがいかに必要か、について解説します。
ソフトスキルとハードスキルとは?
はじめに、ソフトスキルとハードスキルの定義と、それぞれの違いについて確認しましょう。
ソフトスキルとは
ソフトスキルとは、仕事をする上でのベースとなる能力や個人の特性のことです。一般的に、コミュニケーション能力やリーダーシップ、問題解決能力、柔軟性、協調性や時間管理能力といった非定量的なスキルのことを指します。
ソフトスキルを身に付けることで、日常業務をスムーズに行えたり、人間関係を深めやすくなったりします。社会人として業務を進めるためには不可欠で、就活や転職の際には面接で重要視されるポイントでもあります。
ハードスキルとは
ハードスキルとは、資格や技術、専門知識などのこと。ソフトスキルとは異なり、語学、プログラミング、データ分析などのように学習やトレーニングで身に付けられる「定量評価しやすい能力」を指します。学ぼうと思ったらどのタイミングからでも習得は可能ですが、経験が浅ければ転職時に評価されないなど、経験値の差が出やすいという側面もあります。
ソフトスキルとハードスキルの違い
ここまで見てきたように、ソフトスキルとハードスキルでは評価のしやすさが異なります。ソフトスキルは簡単に評価できませんが、ハードスキルは点数などでレベルを可視化できるものがほとんどです。
また、ソフトスキルは汎用性が高くあらゆる仕事の土台として活用できるのに対し、ハードスキルはそのスキルに該当する仕事が中心となり、ソフトスキルに比べて活用の場は限られます。
ソフトスキルはいわゆる「ノウハウ」がベースで、ハードスキルは「知識」がベースです。このように、ソフトスキルとハードスキルには多くの違いがありますが、どちらもバランスよく身に付けることが理想と言えます。
主なソフトスキルの事例
ここからは、ソフトスキルの事例を具体的に見ていきます。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、ソフトスキルの代表例です。相手の話す内容を理解し、自分の考えを効果的に伝える能力は、さまざまな仕事において重要と言えます。傾聴力や発信力、交渉力などもコミュニケーション能力の一部とされることがあります。
コミュニケーション能力が優れていると、日常会話や電話・メールだけでなく、会議のファシリテーション、プレゼンテーション、取引先との条件交渉など、ビジネスの多様なシーンで役割を遂行しやすくなるでしょう。
チームワークとリーダーシップ
仕事はほとんどがチームで行われるため、いくら個人の能力が高くてもチームワークがなければ目標の達成は難しくなります。組織として「1+1」を「2」ではなく「3」や「4」にするには、組織内で互いを補完し合い、刺激し合えるチームワークが不可欠です。
また、チームが成果を出すためには、「メンバーに対して行動を促す力=リーダーシップ」が求められます。適切なリーダーシップを発揮することで、メンバーは高いモチベーションを持つことができ、そのエネルギーを正しい方向へ導きやすくなります。
チームワークやリーダーシップなどのソフトスキルは、組織を健全に運営し、成果を上げるために不可欠な要素と言えます。
問題解決能力
問題解決能力とは、問題の原因を見つけて解決の道筋を立て、実行するスキルのことです。複雑化する組織の問題を解決するには、データなどに基づいて論理的に考え、広い視野を持ち、本質を見誤らずに対応していかなければなりません。
以下では、問題を解決するうえで特に大切な「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」「ラテラルシンキング」という3つの思考法について解説します。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、物事を結論と根拠に分け、「論理的なつながり」を捉えながら物事を理解する思考法です。この能力を活用することで、困難な課題・問題に対しても明瞭な論証を行うことができ、相手の納得を得ることができます。
ビジネスにおいては、感情的・主観的な側面ではなく事実に基づいた客観的な説明が求められることが多くあります。その点で、ロジカルシンキングを基にした説明は説得力を持ちます。
ロジカルシンキングを身に付けていると、相手との信頼関係を構築し、業務効率化を図る上でもスムーズな論理展開が可能になります。
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは「批判的思考」とも呼ばれ、自分の考えや意見に客観性を持たせて物事を判断しようとする思考法です。このアプローチでは、アクションや仮説に対して「なぜそうなるのか」「本当に正しいのか」といった批判的な問いを投げかけます。さらに、自分の意見に対してあらゆる角度から批判的な視点を持ち続けることで、より実践的な意見に近づくことが期待できます。
ただし、ここで言う「批判」とは、必ずしも「否定」とイコールではありません。クリティカルシンキングでは、常に「なぜ」「どうして」「事実なのか」といった疑問を忘れずに持つことが重要です。クリティカルシンキングを用いることで、自身の考えが本当に正しいかどうかを検証し、本質を見極めることができます。
ラテラルシンキング
ラテラルシンキングは、既成概念や常識にとらわれず、多角的な視点で物事をとらえ、新しい発想を生み出す思考法です。「水平思考」とも呼ばれます。かねてよりその重要性が認識されてきたロジカルシンキングに加え、変化が激しく不確実性も高い近年においてはラテラルシンキングの重要性が高まっていると言えるでしょう。
ロジカルシンキングがテーマや問題を論理的に深掘りしていくものであるのに対し、ラテラルシンキングは思考の幅を広げ、自由に発想していくもの、という違いがあります。前提を疑い、見方を変え、考えを組み合わせることにより、創造的な解決策を見出すことにつなげていきます。
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングとセットで活用することで互いの足りない部分を補完でき、目的を達成しやすくなるでしょう。
クリエイティビティ(創造性)
クリエイティビティとは、これまでにないやり方を用いて新たな何かを生み出すことです。ビジネスでは、同じことをしているだけでは競合他社に後れを取ってしまいます。既存の仕組みで利益を産み出しつつも、常に新たなチャレンジとして新しい商品やサービスの提供を検討する必要があるでしょう。
クリエイティビティには、一から新しいものを作るだけでなく、既存の商品やアイデアにちょっとした知恵や工夫を施し、さらに高い成果を生むというプロセスも当てはまります。日々の業務の中で創造性を発揮すれば、プレゼンで競合他社に勝ったり、行き詰まったプロジェクトのボトルネックを解消できたりするでしょう。
レジリエンス(精神的な強さ)
精神的な強さもビジネスには必要です。不確実性の高い時代においてメンタルヘルスの重要性が増す中、レジリエンスという思考にも注目が集まっています。
大小の差はあれど、仕事にストレスはつきものです。精神的な強さがある人は精神的回復力も高く、多少の危機やストレスがあっても乗り越え、精神を安定させることができます。レジリエンスを高められるとメンタルヘルスを維持しやすくなり、仕事へのモチベーションも上がるため、組織全体のパフォーマンス向上や離職率の低下なども期待できるでしょう。
このようにソフトスキルは定量的な計測が難しいものばかりですが、業務を行う上で不可欠な要素であると言えます。
主なハードスキルの例
続いて、ハードスキルについて解説していきます。
語学力
語学力は学習によって習得でき、資格で実力の度合いを証明しやすいハードスキルの代表例です。英語はもちろん、中国語や韓国語、ドイツ語など、ひとえに語学と言ってもジャンルはさまざまです。
語学については自主的に学ぶ人も多いですし、大学においては英語以外の「第二外国語」を学ぶ機会もあるでしょう。今日においては、複数の言語を使えるバイリンガル、トリリンガルの学生も珍しくはありません。
海外とのコミュニケーションが発生する仕事に就きたい場合には、語学力が求められます。グローバル化が進む中、学んで損をする語学はないと言っても過言ではないでしょう。
プログラミングスキル
独自の言語を用いてコードを書き、コンピュータへの指示書を作成するプログラミングも、代表的なハードスキルの一種です。プログラミングにも多くの言語があり、それぞれで使える分野や製品が異なります。世の中ではIT化が進んでいますが、ITに精通した人材は不足しているのが現状です。そのため、プログラミングができる人材はさまざまな業界・企業で重宝されます。
独学でも学べなくはないですが、専門性が高いため一筋縄ではいかないかもしれません。効率的にスキルを習得したいなら、プログラミングスクールに通うのも有効です。スクールで専門知識を高め、就職や転職に役立てるのもよいでしょう。
マーケティングスキル
マーケティングは、消費者のニーズを正確に把握し、商品やサービスを効果的に展開するための販促活動・広告宣伝活動です。マーケティングの仕事では、市場調査やさまざまなリサーチを通じて情報を収集・整理し、正確に分析していく必要があります。
調査や分析は時間を要するものであり、専門的な知識や経験が不可欠です。マーケティングには関連する資格があり、ネットマーケティング検定、経営学修士(MBA)、中小企業診断士、ウェブ解析士などは需要の高いハードスキルと言えます。
デザインスキル
デザインもハードスキルに含まれます。デザインにはさまざまな種類があり、ポスターやチラシなどの印刷物を担当するグラフィックデザイン、ホームページや広告バナーなどの制作を手掛けるWEBデザイン、WEBサイトやアプリなどを設計・開発するUI・UXデザインなどがあります。
デザインには持って生まれたセンスも大切ですが、しっかりと理論を勉強することで、知識を深め、目的に沿ったデザインスキルを身に付けることが可能です。
その他専門知識
今回紹介したハードスキルはほんの一部に過ぎません。基本的には仕事をする上で必要な、さまざまな専門性の高いスキルや知識はハードスキルに該当します。
ハードスキルはある程度努力をすれば、知識が身に付いたり、資格が取れたりするので成果としても見えやすいもの。将来を見据え、自分にとって必要なハードスキルは何かを考えてみるのもよいでしょう。
大学生に必要なスキルはどっち?
ここまでソフトスキルとハードスキルの具体例を見てきましたが、大学生に必要なスキルはどちらなのでしょうか?特徴が異なる2つのスキルについて、それぞれの必要性を見ていきます。
必ず強化しておきたいソフトスキル
ソフトスキルはインターンシップや就活、新卒入社後も必須の「武器」。そのため、ソフトスキルは可能な限り全般的に強化しておきたいところです。
その理由はいくつかあります。現代の社会では単なる専門知識だけではなく、他の人々と協力し、意見を聞いたり伝えたりして方向性を定め、問題を解決する能力が求められます。ソフトスキルは、チームでのプロジェクト作業やクライアントとの対話・交渉、上司や同僚との円滑なコミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。
このようにソフトスキルはビジネスにおいて不可欠な要素であり、大学生活を通じて積極的に強化しておくことは非常に重要です。
ハードスキルもひとつ身に付けていると有利に
最近では、「ジョブ型雇用」が広まりつつあります。ジョブ型雇用では、個人が特定のプロジェクトや業務に参加する形態が一般的であり、その際に特定のハードスキルを持つことが求められます。
例えば、プログラミングのスキルやデザインの能力、コピーライティングや翻訳といった言語関連の能力など、特定のハードスキルを習得しておくと就活や将来のキャリア選択で有利になることがあります。これは、自分が持つハードスキルによって他の候補者と差別化できるためです。
ハードスキルを身に付けることは、ジョブ型雇用のトレンドを踏まえたキャリア戦略として有益です。常に市場のニーズや求人の動向に目を向け、自身のスキルセットを充実させることで、就業機会やキャリアの幅が広がるでしょう。
どちらかに偏らずバランス良く習得するのが理想
ソフトスキルとハードスキルは、どちらも今後キャリア形成していく上で重要です。どちらかのみだけでは、変化が大きく不確実性の高いこの時代では不安が残ります。どちらもバランス良く身に付けましょう。
まとめ
ソフトスキルは仕事の基礎となる能力で、ハードスキルは仕事を実践するために必要だったりプラスになったりする知識・技能です。どちらもこれからキャリアを形成していく上で重要な武器になるため、「どちらかのみ」ではなくバランス良く身に付けることを意識しましょう。
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