TOEICやTOEFLは、広く実施されている英語力テストです。多くの大学生は英語力の把握や力試し、授業の一環、就職活動対策など、さまざまな理由でTOEICやTOEFLを受けています。
本記事では、就活におけるTOEIC・TOEFLの位置づけや必要なスコアの基準、活かし方、他の英語資格との比較について解説しています。
就活におけるTOEIC・TOEFLの位置づけ
TOEICやTOEFLの点数がよくても、それだけで内定を獲得できるわけではありません。しかし、特に英語力が求められる企業では必須となる基準が設定されている場合もあり、点数がよくなければ内定を獲得できないというケースは存在します。
TOEIC・TOEFLとは?
TOEICやTOEFLは、日本のみならず世界中で実施されている英語力テストです。まずはそれぞれの概要を確認しておきましょう。
TOEIC
TOEICは最高スコアが990点のテストで、リーディングとリスニングの科目があります。テストはマークシート方式です。実用的な英語力を図ることを目的としているため、出題される内容は日常会話やビジネスを題材にしたものが大半を占めます。
スコアに有効期限はないので、基本的には一度取得したスコアはその後も使用できます。
TOEFL
TOEFLは120点満点のテストで、リーディングとリスニングに加え、ライティングとスピーキングも対象です。海外留学を目指す学生に向けた試験内容となっており、出題内容も学校生活や学術的なものが多いと言えます。試験時はTOEICのように紙へ記入するのではなく、パソコンで入力します。
TOEFLのスコアには有効期限があり、「受験日から2年以内」と定められています。
日本ではTOEICを活用することが多い
日本においては、TOEFLよりもTOEICを活用するケースが圧倒的に多いです。これは、TOEICではビジネスが題材となっているため、ビジネス英会話の理解や習熟を重視したい企業が多いことが理由と考えられます。就活でアピールするのであれば、TOEICを選択したほうが基本的にはよいでしょう。
スコアは高いに越したことはない
どちらにしても、スコアは高いほうが就活において有利です。英語力が必要とされる企業ではもちろん、入社後にそこまで英語力が求められない企業でも、スコアが高いことはアピールポイントになります。
TOEICやTOEFLは有名なテストで、高得点を取るには努力が必要です。これらの試験で高得点を保持しているということは、「英語力が一定以上である」という証明であると同時に、「目標に向かって着実に努力できる」ということも示せます。
仮にまったく同じ条件の学生が2人いた場合、TOEICやTOEFLのスコアを保有していたり、スコアが高かったりする学生が選ばれる可能性は十分にあるでしょう。
採用の決め手になるわけではない
TOEICで高得点を取っていたとしても、それが最終的な「決め手」にはなるとは限りません。基本的にはあくまで参考程度で、アピール材料の一つと考えておくのが無難です。TOEICで高得点だから英語力が必要な企業ならどこでも合格、とはならないことを認識しておく必要があります。
TOEICの点数よりも、多くの場合は一般的な就活で広く求められるようなコミュニケーション能力や、自己PRの深掘り、志望企業とのマッチングなどのほうが重要です。
ただしTOEIC必須な企業もある
グローバル化が進む昨今においては、企業によってTOEICのスコアがエントリー条件になっていたり、入社までに一定スコア以上を取得することが求められたりするケースもあります。特に外資系企業や大企業では英語力を評価されることが多く、日本国内でも「社内の公用語は英語」という企業も増えてきていることも背景に含まれます。
外資系業では「英語はできて当たり前」という位置づけで、語学力があることは最低ラインと見なされることも少なくありません。
必要なスコアはどれくらい?
就活では特にTOEICが活用されることが多いと紹介しましたが、具体的にどれくらいのスコアが必要なのでしょうか。一般的な企業と外資系企業で求められるスコア基準を、それぞれ解説します。
一般的な企業での求められるスコア基準
新卒なら国内の平均スコアが目標
企業ごとに求めるTOEICスコアは異なるため、一概に基準を出すことはできませんが、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会のアンケート結果によれば、日本の2022年のTOEIC平均スコアは561点となっています。そのため、565~600点をクリアしていれば「平均以上」として評価される可能性があります。
海外事業に関わりたいなら600点以上
国内の航空会社など海外業務に関わりたい場合は、600点以上を持っていれば募集条件をクリアできるケースも多いと言えます。ただしこちらもあくまで目安であるため、目指したい企業の採用情報や要項は随時チェックしておきましょう。
外資系企業で求められるスコア基準
最低でも800点以上は欲しい
外資系企業の場合は、ビジネスレベルの実践的な英語力が求められます。そのため基準も高く、「TOEIC800点以上」などと募集要項に記載している企業もあります。ただし、TOEICの点数そのものはそこまで重視されません。面接などで実際に英語のやり取りが行われ、その中で実践的な英語コミュニケーションができるかを判断されるケースが一般的です。
スコアよりも実践で通用するコミュニケーション力が重要
外資系企業は海外を拠点に活動することも多く、英語が話せないと仕事にならないケースもあります。TOEICはリーディングとリスニングのテストなので、TOEICの点数が高いからといって、一概に「英語力が高い」とは見なされません。実務で通用する英語や、ビジネスシーンにおいて違和感なくコミュニケーションできるレベルの英語力は習得しておきたいところです。
TOEIC・TOEFLのスコアを就活に活かす方法
TOEICやTOEFLで高スコアを獲得したら、就活でもうまくアピールしたいところですよね。以下では、就活でのアピール方法や注意点について解説します。
エントリーシートや履歴書でアピールする
TOEICやTOEFLのスコアを記入する場所は、エントリーシートや履歴書の資格欄です。スコアとセットで、取得年月も忘れずに記載しましょう。
あまりに点数が低いと書くことで逆効果となる可能性もあります。応募する企業や業界によってアピールできるスコアは異なるため、応募企業に対して自分の持つスコアでアピールできるかどうかは事前に確認しておきましょう。
面接でアピールする
一般企業であっても、「大学時代にこれくらいのスコアを取得した」という点をアピールポイントに入れるのは有効です。TOEICやTOEFLの高スコアが英語力の証明になるのはもちろん、自分のポテンシャルや「努力を継続できること」を強みとして示すこともできます。
その際は、高スコアを獲得するまでに実施した取り組みや努力したエピソードなども話すと効果的です。学ぼうと思った動機をうまく伝えられれば自身の主体性をアピールできますし、勉強方法について工夫した点なども伝えれば課題への向き合い方が評価されるかもしれません。
もしもTOEICで勉強した技能を日常で活用している場面があるなら、実践的な体験をアピールし、英語力の定着や向上に励んでいることも伝えるべきです。
スコアの期限には要注意
TOEFLの有効期限はテスト受験日から2年間です。正しい英語力を証明するには、直近2年のスコアで判断しなければなりません。有効期限が切れている場合はTOEFLを再度受験し、点数をアピールポイントとして使えるようにしましょう。
TOEICについては、スコアに有効期限はありません。そのため、いつ試験を受けたとしても、履歴書に記入したり面接でアピールしたりすることは可能です。しかし、実態としては2年以内のスコアでないと認めない企業も少なくありません。あまりに昔のスコアだと、あまりアピールにならないという点も留意すべきでしょう。
TOEIC・TOEFL以外の英語資格との比較
英語の試験といえばTOEICとTOEFLが有名ですが、他にも英語の資格は多くあります。TOEICとTOEFL以外の英語資格も見ていきましょう。
TOEIC・TOEFL以外にも英語資格は数多くある
代表的なところでは、英検、国連英検、IELTS、Linguaskill Businessなどが挙げられます。他にも英語力の検定や資格があり、企業によっては特定の資格保持を指定しているケースもあります。
各資格の特性と目的
英語資格は種類が多いため、どの試験を受けるべきか迷ってしまうかもしれません。ここからは英検、国連英検、IELTS、Linguaskill Businessの4つについて、それぞれの特性と目的を解説していきます。
英検
英検は「実用英語技能検定」の略で、日本ではTOEICと並んで有名な英語資格です。日常の英会話からビジネス英会話まで、幅広い内容が試験範囲となります。英検は難易度に応じて級が分かれており、自身の英語スキルに合わせてチャレンジできます。難易度は、高い順から1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級です。
5級から3級は中学校程度、準2級・2級は高校程度、準1級・1級は大学程度の英語力とされています。
英検は、合格することで履歴書に書ける資格です。しかし、就活でアピールするのであれば、少なくとも2級以上は欲しいところです。ただ、英語力が求められる仕事の場合は準1級・1級レベルが求められることもあります。
国連英検
国連英検は「国際連合公用語英語検定試験」の略で、真に役立つグローバル・コミュニケーション能力の育成を目標としています。そのため、試験にも国連の活動に関連したものが多く出題されるのが特徴です。
国連英検も英検と同じく級によってレベルが分かれており、最も難しい特A級やA級はプロフェッショナルレベルと位置づけられ、世界情勢や国際時事問題に焦点を当てた問題が出題されます。特A級は英検1級以上とされており、合格すると国連で2年働ける「JPO派遣制度」の語学試験で加点されるといった優遇措置を得ることが可能です。
就活においても英検やTOEICほどではない場合もありますが、特にレベルの高い級に合格していれば語学力をアピールできます。
IELTS
IELTS(アイエルツ)は「International English Language Testing System」の頭文字を取った言葉で、イギリス発祥の英語試験です。英語圏の国々に留学、移住するための英語力を測定するためのもので、海外留学や英語圏で医師や看護師になる人向けの「アカデミックモジュール」と、海外留学に加えて海外への移住を検討している人向けの「ジェネラルモジュール」の2種類があります。
IELTSの高スコアは、就活でも有利になり得ます。IELTSではリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの技能を総合的に測るため、特にグローバル企業に対して英語力をアピールできる材料となるでしょう。
Linguaskill Business
Linguaskill Businessはビジネスに特化した試験で、グローバルビジネスで求められる英語力を測定します。IELTSと同様、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの技能をすべて評価できるオンラインテストです。
Linguaskill BusinessはTOEICや英検と比べると知名度が低いため、うまく活用すれば他の就活生と差別化を図れるかもしれません。
国内企業ではTOEICが圧倒的にメジャー
TOEICは、グローバル化が進む中で英語力を重視している企業において主要な評価基準となっています。多くの就活生がTOEICを受験するため、企業側も応募者の英語力を並べて判断でき、適性チェックの材料として使うことができます。
英検もアピールには使える
英検も有名な検定で、特に難易度の高い準1級や1級はアピールに使えます。ただし英検はTOEICのようにスコアではなく「級単位」です。TOEICではスコアで明確にレベルがどれくらいか分かりますが、英検では同じ級の中でも英語力に差があると言えるかもしれません。
その点から、「英検は英語力を図るうえでTOEICよりも判断が難しい」と感じている企業もあると考えられます。
IELTSは外資系や海外就職ならおすすめ
海外留学や海外移住を考える場合、IELTSはおすすめの選択肢です。日本ではマイナーですが、海外で通用する英語力を測れることで知られています。4つの技能すべてが求められるので、グローバルな環境で実践的な英語力に求められる職種にチャレンジしたい方には有効です。
まとめ
英語力があるだけで就活が成功するわけではありませんが、高い英語力はアピール材料になります。英語試験にはさまざまな種類がありますが、中でもTOEICは抜群の知名度を誇り、高スコアを持っていれば有利に働くでしょう。ビジネスのグローバル化に伴い、TOEICの必要性もより増していく傾向にあります。意欲がある方は、積極的にチャレンジしてみましょう。
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