働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大対策の一環として、ここ数年で一気に普及が進んだリモートワーク。学生向けの求人でも、「リモートワーク可能」といった文言を見るケースが珍しくありません。しかし、学生にとってリモートワークは未知な部分が多いものです。
本記事ではリモートワークの概要や、メリット、デメリットなどについて解説しています。リモートワークがおすすめかについても掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
リモートワークとは?
まずは、リモートワークの概要について押さえておきましょう。
出社せず会社以外の場所から勤務すること
リモートワークとは、出社せずに自宅やコワーキングスペース、カフェなどの会社以外の場所で勤務する働き方を指します。
インターネット環境が普及したことにより、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを活用し、遠隔地からでも会社の人とコミュニケーションを取ったり資料のやり取りをしたりすることが可能になりました。
Web会議やチャットツールを活用して勤務する
リモートワークとはいえ、社員が完全に個別に仕事を行うわけではありません。部署ごと、チームごと、プロジェクトごとに、必要に応じてコミュニケーションを取る必要があります。
そこで役に立つのが、Web会議ツールやチャットツールです。こうしたWeb会議ツールやチャットツールを活用することで、遠隔ででもミーティングができます。どのツールを使用するかにもよりますが、ほとんどの場合、複数人でリアルタイムの会話ができ、映像や資料の共有、音声の録音が可能です。
こうしたツールを活用すれば、本来は直接会うために移動しなければならなかった時間やコストを削減でき、効率的に働けます。
在宅勤務のことを指すことが多い
リモートワークというと、在宅勤務を指すことが多いかもしれません。在宅勤務は文字通り、「自宅で勤務すること」です。例えば求人票などで「リモート勤務あり」と書かれている場合、それは在宅勤務を指すことがほとんどでしょう。
在宅やコワーキングスペースなど、働く場所が会社以外のどこかであればそれをリモートワークと呼びます。自宅では仕事ができる環境を整えられない場合に、カフェやコワーキングスペースといった業務が行いやすい場所を選ぶ方もいます。
しかし、企業における守秘義務の関係や業務上で機密事項の取り扱いをする可能性もあることなどから、カフェなどのオープンなスペースでの業務は禁止されているケースも。そのため、自宅での仕事環境作りは必須と言えるでしょう。
フルリモートワークとハイブリッドがある
フルリモートワークは、一切出社することなく自宅などで勤務する働き方です。一方、週の数日は出社し、残り数日はリモートワークにするという組み合わせ勤務をハイブリッドリモートワークと言います。
フルリモートは完全にリモートであるため、地方に住みながら就業できる、移動時間が発生しない、会社としては交通費(経費)がかからないといったメリットがあります。ただし、フルリモートでは社員同士が直接顔を合わせることがないため、コミュニケーション不足などの懸念があります。
ハイブリッドであれば会社に行く機会もあるので、フルリモートのデメリットとなりがちなコミュニケーション不足を補うことが可能です。とはいえ、フルリモートのような地方からの就業ができなかったり、通勤費の削減効果が薄まってしまったり、いつ出社するのかの調整が大変だったりします。
どちらも一長一短と言えるでしょう。
テレワークとの違いは基本的にない
テレワークとは「tele(離れた場所)」に、「work(働く)」を組み合わせた造語です。一方のリモートワークは「remote(遠隔)」と「work(働く)」の造語です。言葉の定義は若干異なりますが、意味合いに大きな違いはありません。
テレワークのほうが昔から使われており、いまだにテレワークという言葉を耳にすることも多くあります。どちらが正しく、どちらが間違っているといったことはありませんので、どちらを使用してもよいでしょう。
リモートワークのメリット
ここからは、リモートワークのメリットを解説していきます。
1.通勤がなくなる
リモートワークでは通勤する必要がないので、通勤にかかっていた時間や負担がなくなります。満員電車や渋滞はストレスとなりますが、リモートワークならそのようなストレスがありません。その分、仕事への集中力や生産性の向上を狙えるでしょう。また、車通勤の場合は運転するたびに車が消耗しますが、その負担もなくなります。
会社としても、リモートワークによって交通費のコストカットが可能です。台風や大雪などがあっても出社する必要がないため、社員の身の安全を守ることにもつながります。
2.隙間時間を活用できる
通勤がなくなるということは、通勤に使っていた時間を別のことに活用できるということです。業務が終わったらそのまま別の作業に移れるため、副業や育児、趣味などに割ける時間が増えます。副業は収入増加やスキルアップにつながりますし、ワークライフバランスが整えばストレス軽減や健康への好影響も望めるでしょう。
また、勤務前や休憩時間も活用できます。勤務前のちょっとした時間に家事を済ませたり、仕事への準備としてストレッチしたりできます。オフィスでは休憩時間といえどもなかなか睡眠をとりづらいかもしれませんが、自宅なら休憩時間に仮眠もとりやすいはずです。睡眠以外でも、「家の中ならでは方法」でリラックスすることができるでしょう。
3.自分にとって適した環境で働ける
オフィスでは指定された環境で勤務することになりますが、自宅なら自分の好きなように環境を整えられます。
例えばパソコン作業の場合、オフィスでは会社が指定した椅子や机、キーボードやマウスを使用しなければならないケースが一般的です。しかし、リモートワークなら自分好みのツールを使用できます。自分の体形や嗜好に沿った椅子やクッションを使用できたり、好きなデザインのマウスを使用できたりします。
自分にとって適した環境で働けると、仕事に対する生産性やモチベーションの向上にもつながるでしょう。
4.体調管理がしやすくなる
特にコロナ影響以降、通勤やオフィスで多くの人と身近に接することで、「感染症にかかるのではないか」と不安を感じていた方も少なくないでしょう。
リモートワークの場合、不特定多数の人と会ったりすれ違ったりすることはありません。通勤時の電車で感染することもないので、体調管理がしやすくなると言えるでしょう。
5.遠隔地から勤務することもできる
パソコンとインターネットさえあれば、働く場所の制約がありません。つまり勤務地という概念がなくなるため、郊外や地方といった遠方からでも勤務することが可能です。
「どうしても地方の実家で親の介護をしなければならない」「子どもの部活動の都合で郊外の学校に通う必要がある」といった場合でも、リモートワークなら単身赴任などをせず、家族一緒の家に住み続けながら働けます。
リモートワークのデメリット
メリットが多いリモートワークですが、デメリットも存在します。
1.コミュニケーション不足になりやすい
リモートワークではオンラインでの業務が基本となるため、気軽なコミュニケーションがしづらくなります。Web会議やチャットツールを活用したとしても、やはり同じ空間にいたときよりは上司や同僚に声をかけにくいでしょう。
隣にいるからこそ、何気ない内容でもコミュニケーションを図れるものです。チャットツールでは仕事の話はできても、気軽な話を持ち出すことに戸惑いを感じる方もいるでしょう。
2.対面よりも連携しづらいケースがある
出社して同僚や上司と対面しながら業務を行っている場合、急用ですぐに片付けたい仕事があってもその場で誰かに相談して調整することが可能です。対面なら声を掛ければ確実にレスポンスが返ってくるため、業務スピードに支障が出ることもないでしょう。
逆に、リモートワークの場合はチャットツールなどを用いてのコミュニケーションになります。通信環境次第でチャットツールが使えなかったり、席を外しているタイミングや忙しい時間帯で応答ができなかったりすると、連携に支障が出るケースも少なくありません。
3.自宅環境が業務に適していないこともある
家族と一緒に住んでいる、同じ部屋でパートナーと同棲しているなど、リモートワーク環境が業務や会議をするのに適していない場合もあります。小さい子どもがいる家庭では、大人しくするように言っても聞かなかったり、「遊んで」とせがまれたりすることもあるでしょう。そのため、オフィスのように100%仕事に集中するのは難しいかもしれません。
他にも、「ペットの声がうるさい」「家の周りが繁華街で騒がしい」「幹線道路沿いで車の騒音が大きい」といったように、落ち着ける環境でない場合もあるでしょう。
また、自宅はオフィスほどすっきりしていないケースが多いでしょう。漫画やテレビ、ゲームなど、気が散ってしまうようなものがあふれている環境は、業務に適しているとは言えません。
4.人事評価が難しくなる
オフィスであれば上司が周囲の様子を直接確認できるため、部下のさまざまな面を総合的に見ながら評価できます。一方で、リモートワークではそれまで見えていた業務プロセスを確認できなくなるため、成果のみの評価になりやすいという特徴があります。
評価者・被評価者ともに、業務態度や業務プロセスについて細かく確認・報告するという手間が発生するなど、出社時とは異なる気の使い方や時間の使い方をする必要があります。人によってはそういった振る舞いが得意でなく、やりづらさを覚えてしまう可能性もあるでしょう。
5.運動不足になりやすい
リモートワークでは自宅で業務がすべて完結するため、出勤していたときに比べて運動不足になりやすいです。オフィスで勤務していたときに運動不足を感じていた方は、リモートワークが続くとさらに強く感じるようになるかもしれません。
自宅ではオフィスよりも立ち上がる機会が減る傾向にあり、座ったままの姿勢が長く続くと、腰や体全体への負担が増えて腰痛などになってしまうリスクが高まります。また、エコノミー症候群の発症リスクも高まるため、長期的に見て健康面に悪影響が出る恐れがあります。
リモートワークはおすすめ?
最後に、メリット・デメリットがあるリモートワークは、どのような人におすすめなのか見ていきましょう。
セルフマネジメントができる人にはおすすめ
自己管理、つまりセルフマネジメントができるならリモートワークはおすすめです。オフィス勤務であれば常に上司や同僚が周りにいるため、あからさまにサボったりスマートフォンを触ったりすることはできないでしょう。
しかし、リモートワークにおいては、自分を見ているのは自分だけです。少しサボっても、基本的にはバレません。そのため、セルフマネジメントができない人の場合、ついつい仕事の手を抜いてしまいがちです。そしてその結果、仕事の進捗が悪くなったり、成果を出せず最終的に評価を落としたりすることにもつながります。
一方、セルフマネジメントができる人は周りの環境に流されずに働けるため、リモートワークに適していると言えます。
時間を有効活用したい人にもおすすめ
リモートワークのメリットは、通勤時間がないため時間を有効活用できる点です。そのため、空いた時間で副業などにチャレンジしたいケースにもおすすめです。
政府の後押しもあり、副業を認める会社は増えてきています。とはいえ出社での勤務では、通勤時間が長いなどのせいで自分の時間が十分に取れず、副業まで手が回らないという方もいるでしょう。
リモートワークでは業務以外での自分の時間を最大限活用できるので、副業などで時間を有効活用したい方におすすめです。
対面コミュニケーションを好む人には向いていない
リモートワークではWeb会議ツールやチャットツール、メールなどを使ってコミュニケーションを取ります。文章だけだと、細かいニュアンスが伝わらないことも少なくありません。音声や映像でやりとりするにしても、対面よりはコミュニケーションがとりづらい面があります。対面では言いたいことをすぐに言えても、Web会議ツールではなかなか声に出せない――という方は珍しくないでしょう。
また、同僚とのコミュニケーション回数が少ないことで、帰属意識が薄れたり、会社における自分の存在意義を感じにくくなるといった面もあるため、対面コミュニケーションがモチベーションに影響しやすい方は、リモートワークはあまり向いていないと言えるでしょう。
まとめ
リモートワークは場所を選ばず働けるため、「居住地にかかわらず仕事ができる」「時間を有効活用しやすい」といったメリットがあります。一方で、従来のように対面ではないため、仕事の進め方などには注意すべき点もあります。
フルリモートの会社、リモートか出社を選べる会社、ハイブリッドで働ける会社などいろいろあるので、本記事で解説してきたメリット・デメリットを踏まえてよく検討してみるとよいでしょう。
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