大学の除籍とは?中退(中途退学)・放校など関連用語の解説と条件


大学の除籍と聞いて、あまりいいイメージを抱かない方は多いかもしれません。しかし、具体的に除籍がどういう状態を指すのかについては、分からない方もいるのではないでしょうか。

本記事では大学の除籍の意味や除籍となる理由、中退や放校との違い、除籍とならないための対応などについて解説しています。

大学の除籍とは?

大学の除籍とは、その名のとおり、大学から籍が除かれることを指します。まずは除籍の意味合いや除籍になる理由について見ていきましょう。

在籍していないことにされる

大学を除籍されると、学籍が抹消され、「大学に在籍していない」という扱いになります。よって除籍以降は、その大学に通って学ぶことはできません。ただし、除籍前に大学に通っていた事実はなくなりません。除籍になったら大学側が除籍証明書を発行してくれるケースが多いため、在籍していたという記録は残ります。また除籍になっても、大学によって定められた期間内であれば再入学が可能な場合もあります。

除籍になる理由の一例

除籍の場合、自分から「除籍をします」と申し出るのではなく、大学側から除籍を求められるケースが一般的です。そのため、除籍になるにはなんらかの理由があります。一つずつ見ていきましょう。

学費の納付が行われない

除籍になる理由として最も多いのは、学費の納付が行われていないケースです。一般的に、大学では年に2回、半期に分けて授業料を納付する必要があります。仮に授業料を納入期日までに納付していない場合は、個別に請求書が送られてきたり、催促があったりします。それでも授業料の納付が行われない際は、除籍となってしまいます。

大学生は、大学へ学費を払い、その対価として大学に在籍して授業を受けることができます。そのため、学費を納付していないとなると、基本的には授業を受けることができません。どんな理由であっても学費の納付が正しく行われていないと除籍につながる恐れがあります

在籍限度となる年数を超えた

大学には、大学ごとに在籍限度年数が設定されています。一般的な4年制大学だと、在籍限度年数は8年とされている場合が多いです。このような大学の場合、入学してから8年が経過したものの、「単位が足りない」「卒論が書けていない」といった理由から卒業できないとなると、9年目の在籍は認められません。

大学側で在籍限度の年数を定めている以上、それを超える場合は必然的に除籍となってしまうでしょう。

単位の取得状況から卒業が見込めない

単位の取得状況から、在籍限度の年数内に卒業が見込めないのが明らかな状況下も除籍となり得ます。単位を落としてしまった場合、まずは除籍の前に留年の可能性が高まるでしょう。「留年すれば社会人までの期間が延びてラッキー」と思う人も中にはいるかもしれませんが、留年すればその分だけ学費が必要になります。また、留年をすればするほど、同じ授業を受けている周りの学生は年下ばかりになっていくでしょう。

そしてなにより、いつまでも留年できるわけではありません。先述したように、大学は在籍限度年数を定めており、その限度を超えてしまうと除籍となります。また、限度年数を超えなくとも、単位の取得状況から卒業が困難となった場合にも除籍となるケースがあります。大学に通う以上、単位はしっかりと取っておきましょう。

休学期間を超えた

休学とは、病気や留学、その他やむを得ない理由によって大学を長期間休むことです。通常、休学をする場合には、大学に対して事前に休学申請を行い、認められれば休学できます。復学に際して大学に復学届を提出し、受理されれば認められるといった流れです。

しかし、休学できる期間には上限が設定されています。通常は休学を含めたトータルの在籍期間が8年を超えないためにも、休学期間を4年までに設定しているケースが少なくありません。休学期間の上限はそれぞれの大学で異なりますが、どの大学においても上限を超えてしまうと除籍対象となる可能性があります。

在学中に問題を起こして処分された

まれなケースではありますが、在学中に問題を起こし、処分として除籍となってしまう場合もあります。例としては、犯罪行為や、SNS上もしくは大学内などでの不適切な行為などが挙げられます。

もちろん、これらの問題行為に対する処分には、程度の差があります。例えば、バイトの仲間に大学の不満をちょっと漏らしたくらいで除籍となることはないでしょう。ただ、広く一般に向けて大学の名誉を著しく傷つけるような行為を行った場合は、除籍可能性は高いといえるでしょう。

中退(中途退学)と除籍の違い

就活において、中退よりも除籍のほうが不利になる可能性は否めません。また、在学証明や成績証明証といった書類は、中退の場合は発行してもらえますが、除籍となると発行されないケースが多いです。

それでは、中退と除籍はいったいなにが違うのか、詳しく見ていきましょう。なお、中退と除籍、いずれも法律による統一された決まりや規制はありません。あくまでも一般的な解釈について説明していきます。

中退は学生本人の意思で行う

中退とは、学生が途中で自主的に退学することです。「大学に在籍している間に起業が成功したので、大学を中退したい」「やりたいことが見つかったが、専門学校でしか学べず、最短で専門学校に行きたいので大学は中退する」といったように、自分から辞める意味合いで使われることがほとんどです。もちろん、ポジティブな理由以外でも、例えば「大学が合わなくて精神的に落ち込んでいる」「両親が失業して学費が払えなくなった」といったネガティブな理由で中退を選ぶケースも少なくありません。

除籍は大学側から行われる

除籍が行われるケースとしては、先述のとおり、「学費の納付が行われない」「単位取得に不備がある」「問題行動を起こした」といった言動が挙げられます。中退が学生本人の意思に基づいているのに対し、除籍は大学側から行われます。

つまり、除籍は処分としての側面を持っています。大学側から「本校の学生としてふさわしくない」と判断を行う除籍は、中退以上にネガティブに捉えられる場合があります。

放校と除籍の違い

中退や除籍と似た言葉で、「放校」という言葉があります。放校と除籍の違いについて解説していきます。

どちらも同じ意味を持つ

放校とは、校則に違反した学生を学校の籍から除く処分のことで、放校と除籍はどちらも同じ意味の言葉です。「素行不良の学生を放校する」といった使い方をしますが、除籍と言い換えても意味の違いはありません。

放校は古い言い方

放校は古い表現で、現在において使われることは少ないです。放校という言葉を目にしたら、除籍と同じ意味だと考えて問題ありません。

除籍されないための対処・対策

除籍をされてしまうと、せっかく苦労して入学した大学で学ぶことができなくなります。また、履歴書などでも「○○大学卒業」と記載することはできません。除籍という経歴は、他人から見てプラスに働くことは基本的にないため、よほどの理由がない限り除籍は避けたいところです。

ここでは除籍されないための対処や対策について見ていきます。

学費を適切に納める

学費の納付の停滞は、除籍で最も多い理由です。そのため、まずは学費を適切に納めることを心がけましょう。学費は基本的に年に2回、前期と後期に分けて支払います。納期は学期初めから1~2ヶ月くらいの間で設定されることが多いです。

学費を払い忘れないためには、金額や支払期日をしっかりと確認することが大切です。また、学生自身ではなく、親が学費を負担・支払いするケースも多くみられます。親にも期日や金額を改めて共有し、適切に納めてもらえるようにしましょう。

学費が納められない場合は学生課へ相談

仮に学費を納められなくても、即除籍とはなりません。多くの大学では、納期限が過ぎてから2~3ヶ月くらいの猶予が設けられていますが、期限は大学によって異なります。また、延納や分納などの猶予措置が用意されている場合も多いため、学費を払えない可能性がある際には、思い悩まずに学生課へ相談するようにしましょう。

また、奨学金や教育ローンを利用するのも一つの手段です。近年は住民税非課税世帯を対象とした大学無償化制度(正式には「高等教育の修学支援新制度」)もあります。条件を満たせば、授業料・入学金が免除または減額されたり、給付型奨学金の支給を受けられたりできます。

いずれにせよ、なにもせずに望まない除籍となる前に、学生課をはじめとする窓口に相談しましょう。

計画的に単位を取得する

必要な単位を取得しなかったことが原因で除籍となる場合もあります。しっかりと限度年数内で卒業できるよう、単位数や必修単位の取得には気を配り、計画的に単位を取得しましょう。

特に、3年生以降は部活やサークルが忙しくなってきたり、就職に向けたインターンシップへの参加が始まったりと、学外での活動が多忙になりがちです。4年生になると、就活が始まり、大学に行ける日が限られてきます。また、卒業論文にも取り組まなければならず、通常の講義で単位を多く取ることは簡単ではありません。1・2年生のあまり忙しくないうちに、できるだけ多くの単位を取得していくとよいでしょう。

留年を重ねない

あまりにも留年が続くと、卒業見込みがなくなってしまいます。卒業ができないと大学から判断されると、除籍につながってしまうかもしれません。留年をしないためには、長期的な履修計画を立てることが大切です。大学を卒業するためには、4年間でおよそ120単位が必要です。行き当たりばったりで履修していると、最終的に単位が足りずに留年してしまうかもしれません。

1年生のうちに40単位を取っておいて、2年生で30単位、3年で生は…といったように、先々まで見据えた計画を立てることで、留年を回避しやすくなります。特に先述のとおり、3年生以降は授業に割く時間をゆっくり取れないことが多いものです。3年生、4年生になってから頑張ればよいという考えは捨て、早めに履修できるような計画を立てましょう。

大学から問題視される行動をしない

当たり前の話ですが、問題行動とされる行為はできるだけ慎むことが大切です。私たちは個人であると同時に、さまざまな組織に所属しているため、個人の問題は組織の問題と認識されてしまいます。つまり、学生自身が個人的に起こした問題であっても、公になれば大学の問題として認識される場合も少なくありません。例えば「○○大学の学生が△△をした」といったニュースが流れれば、大学の評判は下がってしまうでしょう。そして、大学としては問題行動を起こす学生を在籍させ続けるわけにはいかず、除籍という処分をせざるを得ないかもしれません。

もちろん、大学の除籍の話以前に、人として問題となる行動を取るべきではありません。人からも大学からも問題視されるような行動はしないように心がけましょう。

まとめ

大学の除籍とは、大学から籍が除されることです。除籍となると大学に通うことはできません。就職でネガティブに映る可能性も高く、自分の将来に大きな影響を及ぼすことでしょう。大学や社会のルールを守っていれば除籍されることは滅多にないですが、単位の未取得や学費の未払いなど、「うっかり」が原因で除籍となってしまうケースもないとはいえません。

本記事を参考に、望まない除籍とならないように対策をしておきましょう。

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