就職活動が始まると、必ずと言っていいほど一度は耳にするのが「ビジネスマナー」という言葉。ただ、ビジネスマナーと一口に言っても使用されるシーンは多岐にわたるため、「結局どこまでがビジネスマナーなのかわからない」という方もいるのではないでしょうか?
本記事では、大学生が就職活動を進める上で、最低限押さえておきたいビジネスマナーを「基礎編」「実践編」「オンライン編」に分けてお伝えします。これから就職活動を始める大学生のみなさんは、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスマナーとは?
ビジネスシーンでの適切な振る舞いのこと
ビジネスマナーとは、社会人が働く上で求められる、あるいは期待される立ち居振る舞いのことです。ビジネスにおいて関わるのは、社内の同僚や上司、部下だけではありません。BtoB事業であればクライアントは他の企業の担当者や経営者になり、BtoC事業なら顧客は一般の消費者になります。つまり、ビジネスのあらゆるシーンでは、自分以外の誰かと仕事を進めていく必要があるということ。そういった中で、関係者と良好な関係を保つために必要なのがビジネスマナーです。
面接や会議、取引先のコミュニケーションなどで必要
ビジネスマナーが特に必要とされるシーンとしては、社内の上長や重役との会議、他社との商談や打ち合わせが挙げられます。採用面接なども、社外の人とコミュニケーションを取る機会のひとつです。
このようなシーンにおいて、ビジネスマナーができている場合とそうでない場合では、相手に与える印象が大きく変わります。ビジネス自体の成功にも影響してしまうかもしれません。ビジネスマナーが身に付いていなかったせいで、チャンスを逃してしまった……というのも実際によくある話です。
また、ビジネスマナーは社内会議などの際にも必要です。挨拶や適切な言葉使いは、人間関係を円滑にするための必須スキルと言えるでしょう。
大学生でも最低限のビジネスマナーは知っておきたい
ビジネスマナーは社会人がはたらく上で必要な知識であり、大学生は「まだ関係ない」と感じるかもしれません。しかし、これは大きな間違いです。なぜなら、大学生であっても社会人と関わる機会は日常的にあるからです。
代表的なものだと、アルバイトもその一つ。職種によりコミュニケーションの発生頻度は変わりますが、少なくとも社内・店内の人(同僚)とのコミュニケーションは必ずあるはずです。最低限のビジネスマナーがない場合(時間が守れない、挨拶ができないなど)、相手はどう思うでしょうか。大学生だとしても注意はされるでしょうし、最悪の場合は“クビ”にされる可能性も考えられます。
一歩社会に出れば、相手とどんなに親しくなっても友達ではなくビジネスパートナーである、と自覚する必要があるでしょう。
就活の際は十分に意識する必要がある
先ほども触れたように、就活の場合は特にビジネスマナーを意識する必要があります。なぜならアルバイトとは違い、採用担当はあなたのことを「一人のビジネスパーソン」として見ているからです。
採用担当は、入社後にあなたがどのような活躍をしてくれるかをイメージしながら、採用活動を進めています。その中で、「ビジネスマナーがなっていない」というのは間違いなく減点の対象です。ビジネスマナーといっても大学生に高度なものを求めてはおらず、基本的なマナーさえきちんと押さえておけば問題ないため、就活に入るまでにしっかりと身に付けておきましょう。
知っておきたいビジネスマナー
以下では、大学生が就活を進めていく上で知っておきたいビジネスマナーについて紹介します。正しいビジネスマナーを理解し、内定を勝ち取っていきましょう。
基礎編
1.時間を守る
ビジネスシーンにかかわらず、時間を守るのは人として最低限のマナーと言えます。ビジネスシーンにおいても、時間を守れない人の信頼はゼロに等しいです。そして、信頼関係なくして仕事は成り立ちません。
これは就活でも同様です。例えば、「面接時間に無断で遅れる」という行為は面接官の信頼を失います。万が一遅れてしまう場合は必ず事前に連絡し、お詫びと到着予定時刻などを具体的に伝えるようにしましょう。
また、時間を守るという観点で注意したいのが「早すぎる到着」です。「遅れるよりはいい」と考える人もいるかもしれませんが、早すぎても困らないのはあなただけです。担当者はあなたと予定している時間以外は他の業務をしています。予定よりも30分早く着いてしまった場合、担当者の計画が狂う可能性があるという点も忘れずに行動しましょう。
具体的には、予定時刻の5~10分前であれば問題ないと言えます。
2.挨拶をしっかりする
挨拶もビジネスマナーの基本です。明るく元気な挨拶は、相手に好印象を与えます。社内で出会った人であれば、同僚であろうとなかろうとその会社に関わる人です。積極的に挨拶をしましょう。
朝は「おはようございます」、それ以外の時間帯は「お疲れ様です」が汎用的な挨拶の言葉として使えます。口頭やメール文のどちらでも活用でき、上司に対しても失礼にあたらないので、迷ったら「お疲れ様です」と挨拶しましょう。
3.敬語を適切に使う
敬語もビジネスシーンにおいて基本的なマナーです。上司と話すときや客先の方と話をする際など、話す相手や立場によっても敬語は使い分ける必要があり、基礎的なマナーでありながらも難易度は高い部類であると言えるでしょう。
例えば、取引先の経営者と話す際は特に失礼のないように気を付けると思いますが、年齢が比較的近い社内の直属の上司にも同じように話すのは違和感があります。話をする相手との距離感や立場を常に意識し、敬語のレベル感を合わせながらコミュニケーションを取るようにしましょう。
4.相手を批判しない
人との関わり合いがある以上、意見の食い違いはよくあることです。しかし、そこで自分の意見が正しいと主張したいがあまり、他人の意見を一方的に否定・批判することはビジネスシーンにおいて不適切です。意見が合っても合わなくても、その人たちと仕事をしていかなければならないということを念頭に置き、関係に傷が付かないようにするべきです。
とはいえ、相手の意見をすべて鵜呑みにするのも好ましくありません。相手の意見を尊重しつつも、指摘するべきポイントはしっかりと伝えて、折り合えるポイントを見つけましょう。優秀なビジネスパーソンほど、解決策や代案を提示できるコミュニケーション能力を持っています。
5.感情的にならない
当然ですが、感情的に物事を伝えることもNGです。気持ちや気分を優先していては仕事が成り立たず、感情をぶつけたところで生産性は落ちるばかり。どんなにイライラしたとしても感情は心の底でグッと抑え、一呼吸おくなどして時間を空けると良いでしょう。
「売り言葉に買い言葉」というフレーズがある通り、自身の行動や発言がトラブルのきっかけになっている可能性もあります。感情的になってしまった場合はいったん距離を取って冷静になり、自分はなぜ怒っているのかと、感情を論理的に分析するのがおすすめです。
相手や議論の何がネックで、どうして感情的になったかを考えることで冷静さを保つことができます。自分自身の「怒りの沸点」を理解しておけば、感情のコントロールもしやすくなるでしょう。
実践編
6.ビジネスシーンに合わせた服装
日本のビジネスシーンにおける、基本的な服装はビジネススーツです。中でも就活時は、黒や紺をベースにした「リクルートスーツ」が基本とされています。しかし、最近ではオフィスカジュアルを取り入れている企業も多く、社外とのやりとりがない内勤の場合はラフな服装でも問題ないとしている企業も少なくありません。
ラフな服装ではたらいている方々の中に、一人だけかっちりとしたビジネススーツを着ている人がいたら、と場違いな印象になってしまいます。ビジネスシーンでは仕事内容や環境など、TPOに合わせた服装選びが重要です。
7.応接室のマナー
応接室の席には「上座」と「下座」があり、立場によって座る席の場所が決まっています。ビジネスシーンでは「目上」と「目下」という概念が存在しており、目上か目下かは立場や役職、年齢を基準に判断します。立場、役職、年齢の順に高い方が目上にあたること、加えてビジネスシーンではお客さま(クライアント)が最も目上になるということを覚えておきましょう。
応接室での席順は基本的に、入り口から最も遠い席が上座、最も近い席が下座となります。席の案内をする場合は、上記した目上の方から順に奥へと案内するのが一般的です。
ただし、応接間に設置されているモニターの位置や景色が見える窓の位置によって、上座の場所が変わることもあります。応接室に案内する機会がある場合は、事前に確認をしておきましょう。
8.電話での受け答え
- 相手が誰か確認する
- 丁寧な言葉遣いに気を遣う
- わかりやすく伝える
- 迅速な対応を行う
- 周囲の環境にも配慮する
電話での受け答えで注意したい点としては、以上のことが挙げられます。
受話器を取ったら、自分が何者かを伝えるために「お電話ありがとうございます。株式会社△△の〇〇です」のように、社名と名前を名乗るのが一般的です。大学生であれば、「はい、〇〇です」のように名乗れば問題ないでしょう。あらかじめ電話の相手が採用担当とわかっている場合は、大学名も付けると丁寧な印象を与えられます。
わかりやすく話しつつ、迅速な受け答えができるかどうかも重要です。電話は相手の作業を中断させて、コミュニケーションを取り付ける強制力を持っています。長々と話をしてしまっては、貴重な時間を無駄にさせているのと同じです。
最後に、周囲の環境にも配慮をしましょう。ガヤガヤとした騒音が入る場所では相手に不快な印象を与えてしまいかねません。重要な内容が伴う電話であれば特に注意したいポイントです。
9.ビジネスメールのマナー
ビジネスメールにもいくつかマナーは存在ますが、重要なのは「読みやすさ」です。
例えば、本文中に改行や箇条書き、行間を空けるといった工夫をすることで、文字がびっしり並んだ文面よりも圧倒的に読みやすくなります。電話対応や口頭でのやり取りに比べて、メールは作成した文章を吟味する時間が取れるので、記載内容に誤りはないか、わかりづらい表現はないかチェックするようにしましょう。
また、相手が本文を読まなくても内容がある程度わかるよう、件名を入れるのが最低限のマナーです。「○月××日の面接について」のように、具体的な内容を記載するようにしましょう。
10.おじぎのマナーとタイミング
おじぎは上半身を傾ける角度や、行うシーンによって以下の3種類に分けられます。
- 会釈
- 上半身を15度ほど傾ける。軽く挨拶をする際に行う。
- 敬礼
- 上半身を30度ほど傾ける。上司やお客様に対して敬意を表す際に行う。
- 最敬礼
- 上半身を45度ほど傾ける。謝罪や感謝、お客様のお見送りの際に行う。
おじぎは頭だけを下げるのではなく、腰から折るように行うのがポイントです。おじぎをする際は、動かずその場にピッタリ止まることで、より丁寧な印象を与えます。
また、おじぎは挨拶を述べてから行うのが基本的な順序です。挨拶の瞬間は、しっかり相手の目を見るようにしましょう。挨拶しながらおじぎしてしまわないように注意してください。
オンライン編
11.カメラは基本ONにする
オンラインで会議や面接を行う際は、カメラをONにしましょう。私たちは、思っている以上に視覚から入る情報を受け取っています。つまり、相手の顔が見えないだけで、不安な気持ちにさせてしまう恐れがあるということです。信頼が重要なビジネスシーンでは、よほどのことがない限りはカメラをONにしておきましょう。
また、カメラをONにする場合は、なるべくカメラに目を向けるようにしましょう。相手の反応が気になり、画面を見てしまう気持ちもわかります。しかし、画面を見てしまうと、相手画面では「よそ見」をしているように映ってしまうため、あまり印象が良くありません。
12.自分が話者でないときはミュートにする
ミュートとは、「自分の声が相手に聞こえなくなる機能」のことです。オンライン会議では同時に複数人が話すと聞こえづらく、ノイズが入るだけでも会話を遮ってしまうことにつながります。基本的に自分が話すタイミング以外は、マイクをミュートにしておきましょう。1対1の面接など、都度ミュートにする必要がないケースもあります。
13.バーチャル背景の設定には気をつける
オンラインの際は、カメラに映る自分の背景にも注意が必要です。特に自宅の場合は、背景に余計なものが写り込んでしまうと相手の気が散ってしまう可能性があります。面接などの大事な場面では、だらしないと思われるような背景が映り込まないように注意しましょう。
どうしても背景に何か写り込んでしまう場合は、バーチャル背景を使うのも一つの手です。ただし、バーチャル背景も同じく、情報量が多いものは避け、落ち着いたデザインを使用しましょう。
まとめ
大学生が知っておきたいビジネスマナーについてお伝えしてきました。
ビジネスマナーは、社会人として働く上で必須の知識です。「まだ大学生だから大丈夫」ではなく、「大学生の今だからこそ身に付けるべき」なのです。社会に出てしまうと「知らなかった」では済まされないこともあります。
ビジネスマナーを身に付ける時期が「遅すぎる」ことはあっても、「早すぎる」ことはありません。これを機に正しいビジネスマナーを身に付け、就職活動を有利に進めていきましょう。
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