近年の日本では学生の間に起業する人も増えており、起業ブームはまだまだ熱を持ったままです。本記事では起業をしたいと考えている、または、起業に興味はあるものの何をすればいいか分からない大学生を対象に、起業の勉強に役立つ書籍を30冊紹介します。どれも必読の書籍なので、気になったものがあればぜひ読んでみてください。
起業の参考になる本ランキング10選
① ベン・ホロウィッツ『HARD THINGS』
起業家であるベン・ホロウィッツ氏が、起業の過程で経験した数々の困難について振り返った内容となっており、困難に対してどのように向き合ったかがつづられています。この本の内容に共感できない起業家はいない、と言っても過言ではないほどの名著なので、起業を志す大学生は必読です。
②エリック・リース『リーンスタートアップ』
新しい製品やサービスを開発する際に、作り手の思い込みにより顧客にとって価値のないものを作ってしまうという失敗に対し、リーンスタートアップという手法を提案しているのが本書です。綿密な計画を立てて仮説が外れた際に後戻りできなくなるよりも、最小限の資源・情熱・エネルギーで小さく検証して、小さく失敗しながら正しいサービス価値を見極めていくという手法は、起業だけではなく普遍的なビジネスに役に立つはずです。
③トム・アイゼンマン『起業の失敗大全』
スタートアップ関連の書籍では成功した事例を取り上げていることがほとんどですが、この起業の失敗大全は、「失敗してしまったケース」をまとめている珍しい書籍です。成功するために活動的に取り組んでいくことはもちろん大切ですが、なぜスタートアップ企業が失敗するのかという要因を分析し、同じ轍を踏まないように気をつけることもそれ以上に重要なことです。熱くなった頭を冷やす意味でも、起業前に読み込んでおきたい良書です。
④株式会社アンド『ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70』
- 問題や課題を発見するフレーム
- 市場を分析するフレーム
- 課題解決のアイデアを練るフレーム
- 戦略を立案するフレーム
- 業務を改善するフレーム
- 組織をマネジメントするフレーム
- 他者に伝える・共有するフレーム
これらのフレームワーク70個分が解説されており、起業におけるHow Toは本書に一通り目を通しておけば十分です。網羅できている分、一つひとつの項目がやや簡易な解説であるため、気になったフレームについては掘り下げて学習する必要があるでしょう。
⑤フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング・コンセプト』
マーケティングで理解しておくべき80の重要なコンセプトについて、コトラーのエッセンスでまとめられている名著。サービスをユーザーに届ける上でマーケティングは欠かせない概念なので、起業について勉強する際は必読の書籍です。
なお、著者のコトラー氏はマーケティングの巨匠であり、「コトラーのマーケティング」を出版してからアップデートを続け、直近では「コトラーのマーケティング4.0」というスマホ時代にも通用する書籍を出版しています。こちらも興味があればぜひ読んでみてください。
⑥ピーター・F・ドラッカー『マネジメント【エッセンシャル版】基本と原則』
仲間と起業、または起業をして人を採用した際に、必ず必要になるのが「マネジメント」。時代は変われどマネジメントの本質は変わらず、本書にはそんなマネジメントのエッセンスがこれでもかというぐらい詰まっています。
本書をモチーフにした映画や漫画、解説書などが、さまざまなバリエーションで世に出ているため、原著を読むのは難しいという方は、自分に合ったものからまず触れてみて「マネジメント」を学びましょう。
⑦安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』
問題(イシュー)があるとき、問題を解決しようとするのではなく、問題の本質は何かを見極めることが大切であることを説いた本書。表層的な解決ではなく、本質的な問題を設定し、それを解決するまでのプロセスをていねいに解説しているため、ビジネスの知識がなくてもスラスラと読めるのがおすすめポイントです。
⑧赤羽雄二『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』
一つの課題に対して本質を見極めるという、思考の深さトレーニングについて書いている「イシューからはじめよ」に対し、本書「ゼロ秒思考」は思考スピードを上げるために必要なメソッドが解説されています。とにかく紙に書き出して思考をまとめていく、というシンプルなトレーニングなので、誰でも簡単に読んで実践できるのがうれしいポイントです。
⑨スティーブン・コトラー『2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ』
テクノロジーの進歩によって、2030年までに急激な世界の変化が起きるであろうことを、具体例を交えて解説している書籍。コンサルティングファームのレポートも用いてファクト(事実)ベースで分析されており、遠い未来だと思っていた世界が間近に迫っていると納得させられてしまう説得力があり、非常に読み応えがあります。
⑩ランダル・ストロス『Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール』
Yコンビネーターとは、シードステージ専門のVC(ベンチャーキャピタル)であり、過去にはAirbnbやDropboxのような有名サービスを立て続けに生み出しています。そんなYコンビネーターに事業の芽はどのように出て、どのような苦難や波乱を経てリリースされるのかが本書でつづられています。
10年ほど前に出版された書籍となるため、当時とは変わっている部分もありますが、シリコンバレーの雰囲気を味わうにはピッタリです。
起業初心者におすすめの本5選
⑪ 吉田雅紀 『読んで、考え、書き記す 起業「成功」ノート』
タイトルのごとく、著者が経験してきた実践的なことがノートのメモとして詰まっているような内容を、読み進めることができる一冊です。難しくなりがちな説明も、長文にならずシンプルにまとめられているため、起業初心者であっても、読み進めながら頭に入れていくことがしやすく、大事なことを把握できるようになるためおすすめです。
⑫ 有薗隼人 『働きながら小さく始めて大きく稼ぐ0円起業』
近年の事情を踏まえたアフィリエイトで稼ぐための書籍です。SNSの運用方法などから始まり、ビジネスアイデアの提案もあり、ヒントになるポイントも多いです。大きく起業して事業展開する方向性ではなく、副業や一人でのビジネスとして起業を行なっていくような方に、おすすめできる一冊です。近年の働き方改革で、動き出したいけどどうすれば良いか悩んでいる、という方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
⑬ 井上達也 『起業を考えたら必ず読む本』
著者の井上達也氏が、起業をした際に見舞われた困難の数々、それらに対してどのように対応していったかを生々しくつづった一冊です。困難への具体的な対処方法まで解説されている本書は、起業時のノウハウ本としても役に立つこと間違いありません。
起業にまつわる苦労話や、地味で苦しい経験の上に成功が成り立っている、ということがよく分かる内容になっているため、起業の大変さを身をもって体験する前に読みたい一冊です。
⑭ KDDI ∞ Labo 『スタートアップス 日本を再生させる答えがここにある』
日本のスタートアップ企業について、さまざまな事例を取り上げながら解説している書籍です。スタートアップへのインタビューの他、ベンチャーキャピタルが推薦する有力スタートアップも数多く取り上げているため、これから起業する学生が参考にしやすい内容となっています。
⑮ 中野裕哲 大舞キリコ 青木健生 『マンガでやさしくわかる起業』
初心者に分かりやすく、起業をするにあたり何が必要かといった内容を確認するために役に立つ本になります。起業に興味はあるが、いきなり活字だらけのビジネス書には抵抗がある方は、漫画形式で読み進めることができるこちらの本がおすすめです。
起業に役立つ実践的な知識が身につく本 10選
⑯ Zero to IPO 世界で最も成功した起業家・投資家からの1兆ドルアドバイス 創業から上場までを駆け抜ける知恵と戦略
この書籍では創業からIPOまでの流れを網羅的に掲載しており、そもそも起業家になるべきかの問いから始まり、アイデアの扱い方や伸ばし方、資金調達の方法に営業や取締役会など、起業からIPOまでの道のりを具体的にまとめています。著者一人の成功体験の記載だけでなく、多くの分野の起業家や投資家といったスタートアップに関わる人たちの対話から得たヒントも取り込まれている一冊。
起業家はもちろん、スタートアップに属する社員や大企業の特にイノベーション志向の方は読んでおきたいところです。
⑰ 起業のファイナンス
本書は「起業のイメージを持ってもらうこと」をテーマに、ファイナンスの側面から解説しています。起業はビジネスアイデアや運などの成功の要素も要因として絡みますが、当然、資金繰りやそれに関わるリスク管理も重要な要素です。主に日本ベンチャーにおける企業価値についてや、ストックオプションの活用方法、資本政策の作り方といったファイナンスに関する知識を得ることができるでしょう。
⑱ 会社を買って、起業する。 超低リスクで軌道に乗せる「個人M&A」入門
本書はタイトルの通り、個人でM&Aを行う際に参考になる書籍です。実際の成功例をもとに、個人がM&Aで成功するためにはどうすればよいか、どのような知識を持っていれば良いかを知ることができます。特に個人が企業を買うのはリスクもハードルも高いですが、会社売買について押さえておくべきポイント、買った後に経営者として取るべき選択肢について触れられています。
個人M&Aがブームになってきている昨今、会社経営に興味のある方はぜひ読んでみることをおすすめします。
⑲ STARTUP―アイデアから利益を生みだす組織マネジメント―
本書は物語形式での展開になっており、スタートアップの成功と失敗の経験や秘訣についてを学び取ることができるようになっている一冊。顧客とするターゲットを明確にし、自身が考えている事業やサービスが市場にとって価値を見出せるかの調査がいかに重要であるかを知るのに十分な内容です。
将来何かを成し遂げたいと感じている方や、起業にチャレンジしてみたいと考えている大学生などにこそ読んでもらいたい一冊です。
⑳ VCの教科書―VCとうまく付き合いたい起業家たちへ
VCとはベンチャーキャピタルのことで、成長企業に対しての資金提供や支援を行う投資活動を指します。資金調達の支援を行い、起業家をサポートすることで成長を加速させ、市場の創造や拡大につなげる役割を持っています。そうのようなVCとスタートアップ企業の関係性についてや、どのように付き合っていくかを本書は記しています。
VCがスタートアップ企業に対し、何をどのように考えているかを知ることができるため、VCについて勉強をしたいという人にもおすすめできる内容です。
㉑ ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる
92年にジム・コリンズが記した名書の改訂版となる本書。21年に改訂されており、30年前の古さはなく鮮度の高い内容にブラッシュアップされています。「成功した企業」と他企業の違いや、長く続く企業を作るためには何が必要かを、科学的に分析し再現性を持たせるということをテーマとして書かれています。
仕事を一緒にするべき相手やリーダーシップとは何か、明確なビジョンを持つことのメリットや、どのように戦略を組むかなどビジネスの参考書として幅広くかつ、わかりやすく解説されています。起業やビジネスを考えている方にとってはもちろんのこと、社内グループのリーダーを務めている方にとっても、自分の軸を持つことに価値を感じている人は読んでおきたい一冊であると言えます。
㉒ アントレプレナーの教科書
アントレプレナーとはつまりは起業家という訳ですが、全く新しいアイデアやビジネスモデルを見つけ、新規市場の開拓をしていくような人を指す言葉です。この書籍では、ビジネスモデルの創造、ニーズ検証、組織構築、マーケティングといったスタートアップを始めるにあたり、何からやるべきかを順序立てて説明しています。
またスタートアップならではの顧客開発についても触れられており、普通の企業とは異なるプロセスを知ることができます。スタートアップするにあたり、知っておきたい要素が詰まった書籍です。
㉓ THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
SaaSビジネスにおいて、サービスを売るまでに、市場調査から受注までを営業が担うのではなく、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの3つに分業することで効率化を図り、カスタマーサクセスを最大化させるための手法が書かれている本。自社の営業プロセスと顧客の意思決定プロセスを要素分解し、自社における分業はどのようにするべきかや、指揮系統や管理方法をどう検討するか、といった現実的な改善方法を考えさせてくれる内容になっています。
営業職を志す方や、マネジメントに関わっている人におすすめしたい書籍です。
㉔ パーセプション 市場をつくる新発想
パーセプションとはビジネスにおいて、顧客が持つ企業やブランド、サービスに対する印象や認識のことを指します。つまり、ユーザーが企業のサービスや製品に対しどう認識・解釈しているか、ということです。
企業側はサービスや商品に「このように使われたい」と、自社サービスの価値を定義していますが、ユーザーの多くはそのようには使ってはいないかもしれないという事実を明らかにし、そのパーセプションに対して適切な対策を施し最適化をしていくことの重要性を説いている本です。
㉕ ナラティブカンパニー―企業を変革する「物語」の力
先述した「パーセプション 市場をつくる新発想」の著者でもある本田哲也氏の書籍です。
ナラティブとは物語のような形式で、情報やメッセージを伝えるフレームワークのことを指します。企業のブランドやサービスを、顧客自身の生活やストーリーを演出するためのものとして活用してもらい、市場価値や競合優位性を見出すための手法であると言えます。
さまざまな方向に多様化している現代は、顧客それぞれの視点や価値観でサービスや製品が選ばれる時代。そうした中で、ナラティブがいかに企業経営にとって需要な観点であるかを確認することができる内容になっています。
製品やサービスのPR、マーケティングなどに関わっている方におすすめしたい書籍です。
女性起業家のおすすめの本5選
㉖ 豊増さくら 『法律・お金・経営のプロが教える女性のための「起業の教科書」』
起業をするにあたり知っておくべき資金や法律といった、基本的なところを再確認するだけでなく、女性向け書籍ならではの、女性目線の具体例が多く掲載された本です。起業に関する心構えなどのマインドだけでなく、税金などといった現実的な課題や問題についてもしっかり記載されています。女性起業家の実体験をもとに書かれているため、起業を考える女性におすすめできる書籍です。
㉗ ブレインワークス 『輝く女性起業家 16人』
社会で活躍する女性起業家の仕事に対する向き合い方や、その生き様を紹介する記事です。どちらかといえば体験談などのストーリーがメインの書籍ですが、それぞれの女性起業家がどのような道を歩んできたかを理解できる一冊です。
㉘ 小谷晴美 『小さく始めて夢をかなえる!「女性ひとり起業」スタートBOOK』
自身もファイナンシャルプランナーである小谷晴美が執筆しているため、金銭に関する情報がていねいにまとまっている本です。また、起業に関するマインドの持ち方や初歩的なことまでが一通り網羅され、ワークショップを行いつつ進められる点がおすすめポイントです。女性が著者ではありますが、女性男性にかかわらず、これから起業を考えている方に読んでいただきたい本です。
㉙ 叶理恵 『うまくいく⼥性起業家だけが知っていること』
こちらの書籍は、起業を初めて行う方に向けたファーストドリルです。そのため、書籍の内容もワーク式となっている箇所が多いため、本を読むだけでなく理解を深めるための行動にも移せるのが良い点です。起業をしたいけど思考がまとまらない、という方はぜひ手に取ってみていただきたいです。
㉚ 経沢香保子 『ゼロからでも夢がかなう 起業の教科書』
起業するまでの経緯や、その後の困難や乗り越えた経験など、女性起業家のエピソードをまとめている本になります。起業家、経営者としてのスタンスや自分らしい生き方とは何なのか、といった心の持ち方を紹介してある本であるため、起業をしようか悩んでいる方は、どういった世界でどのような人が活躍しているかをチェックするのに読んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は起業を志す大学生に向けて、起業初心者や女性の方にもおすすめできる書籍を30冊紹介しました。漫画版で出版されているものもあるため、活字が苦手な方はまず漫画で全体像を理解してから原著を読む、といった方法で学習するのもおすすめです。起業に必須の名著がそろった本記事を、ぜひ参考にしてください。
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