本記事では、第二外国語として中国語を学ぶメリット・将来性について解説します。日本人にとっての中国語の習得難易度や、「ピンイン(拼音)」などの特徴もまとめています。これから中国語を学ぼうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
中国語学習の5つのメリットと将来性
1.英語に次いで話者人口が多い
中国語は、英語に次いで世界で話者数が多い言語として知られています。
中国語を母国語とする人の数は約14億人に上り、これは全世界の人口(約80億人)の17%以上を占めています。中国人マーケットは、世界的に見ても非常に広大で人口が多いのも特徴です。人口の多さは経済活動の活発化につながりやすく、世界中で中国人向けのサービスや製品の提供、労働環境の整備が進んでいます。そして、これは中国語学習の動機づけにもなっています。
そのため世界のマーケットで活躍するために、英語だけでなく中国語も学んでおくことはメリットであると言えます。
2.中国は急速に経済成長している
現在の中国は世界的に見ても経済成長の速度が著しく、急速に発展しています。GDPは年々増加しており、その他先進国に並び経済大国としての地位を固めています。この経済成長は製造やサービス業、高技術産業など幅広い産業に影響を及ぼしています。そういった背景から中国市場の規模と成長速度は、世界の企業から見ても非常に魅力的で、ビジネスチャンスとして注目されているのです。中国の人口の多さからも、市場規模が膨大であることは伺えます。
ビジネスの機会が急激に加速している中国において、現地の企業や消費者と円滑にコミュニケーションを取るためにも、中国語を学んでおいて損はないでしょう。
3.数多くの大企業が存在する
中国には、世界経済において重要な役割を持つ企業が数多く存在します。経済成長の分野も多岐にわたっており、テクノロジーや製造、金融、電子商取引などさまざまなビジネスシーンで大きな競争力を持つ企業が多いのが特徴です。
eコマースで知られるアリババ、ネットサービスを展開するIT企業のテンセント、通信機器を手掛けているファーウェイ、TikTokの親会社であるバイトダンスなど、世界的に見ても有名な企業が世界を相手に事業展開しています。
中国企業の手掛けるサービスや製品を回避することが難しいほどに、中国市場は世界的に拡大しています。そのため、グローバルビジネスの観点から見ても、中国語を学ぶことの重要性が高まってきていると考えられます。世界を相手に戦う中国企業とのビジネスチャンスを得るためにも、中国語を理解し話すことができれば大きなアドバンテージになるでしょう。
4.日本人が学びやすい
中国語は、日本人にとって学びやすい言語と言えます。普段から常用している漢字も元は中国語であるため、「まったくのゼロから言語を学ばなければならない」ということはありません。簡体字と呼ばれる、日本語における漢字の形を崩したような字体や、日本語としての意味合いと若干異なる漢字もあるため慣れや学び直しの必要はありますが、総じて日本人がチャレンジしやすい言語であることは間違いありません。
中国語の発音については、英語同様で日本人にとって難しい側面があるため、簡単には習得できないかもしれません。しかし、日本人の多くが苦手意識を持つ英語と比較しても、「漢字」という共通点があるため、学びやすい言葉と言えます。
5.国土が広く観光で活用できる機会が多い
中国は国土が広く、世界的に見ても多様な自然景観や歴史的遺産・名所が数多くあります。ゆえに観光で訪れる機会や地域なども多くなり、必然的に中国人とのコミュニケーションを行う機会も増えていきます。そのため、中国語を習得していれば、話者人口が多いことも相まって役に立つ機会も多いでしょう。
中国語を学ぶことは中国の観光地をより深く理解したり、現地の人々との交流を深めたりすることを可能にします。近年では翻訳サービスなども充実しており、まったく学ばずとも観光名所めぐりなどで困ることは少ないかもしれません。しかし、翻訳サービスを介さず直接コミュニケーションできれば、やり取りの行き違いを防げたりストレスを緩和できたりと、旅行をより充実させられるでしょう。
結論:就活やビジネスなど将来性が大いにある
中国語を学ぶことは、就活やビジネスシーンにおいて非常に大きな将来性を持っていると言えます。総人口の多さからビジネスパートナーとしてやり取りする機会も多く、就活で中国の有名企業を志望する場合でも中国語を学んでおくことには大きなメリットがあります。
今後も中国の経済成長は続くとされているため、全世界の企業は中国マーケットをターゲットとしたビジネス展開を継続・発展させていくことが予想できます。このような世界情勢やビジネスシーンの中でグローバルな活躍をしていくためにも、中国語を学んでおくことは自身のキャリア形成にとっても大きな意味を持つでしょう。
中国語の特徴
簡体字と繁体字がある
中国語の特徴として、「繁体字」「簡体字」という二つの字体が挙げられます。
繁体字は中国の伝統的な言語で、簡体字よりも以前から存在している字体を指します。大きな特徴は漢字一つひとつの画数が多いことで、日本人の知る漢字に近い側面を持ちます。親日として有名な台湾や、有名都市である香港などでは今でも繁体字が広く使われています。中国本土などで広く使われている簡体字と比べ、似た語句であっても発音や意味が違うのが特徴です。
一方、簡体字とは繁体字の画数を簡略化し、扱いやすくした字体のことです。1950年代に中国本土での読み書き普及を目的として導入されたことがきっかけで、この字体が生まれました。中国語を見た際に、少し違和感を覚えるような漢字は、簡体字である場合がほとんどです。繁体字に比べて歴史は浅いですが、中国本土やシンガポールなどでも使われており、通用するエリアが広いのが特徴です。
文法は英語に似ている
中国語の文法は、英語に似ているのも特徴です。英語における「主語(S)+動詞(V)+目的語 (O)」と同じように、中国語もS+V+Oの順番で文章が成り立っています。しかし、英語と最も異なる点としては、過去・現在・未来形といったような文法に合わせた動詞の変化がなく、1つの表現に対して多様性を持たないことが挙げられます。
中国語では、英語のように表現したい内容や文法に合わせて、語句の入れ替えや単語の変化を行うなど複雑な文法を覚えるといったことが必要ありません。そのため、英語同様になじみのない文法ではあるものの、日本人にとっては比較的簡単で覚えやすいという特徴があります。
ピンインの理解が重要
「ピンイン(拼音)」とは、中国語をローマ字表記し、発音の仕方を分かりやすくするための表現方法を指します。ピンインは母音(36音)と子音(21音)の組み合わせによる発音であり、約400通りあります。ただし、母音と子音の基本的な発音を身につければそれらを組み合わせて発音することが可能なので、400通り覚えなければならないというわけではありません。
例えば、あいさつの言葉として知られるニーハオ(你好) のピンインは「nǐ hǎo」と表します。ピンインからは、ローマ字表記による発音の理解と、後述する声調を読み取れるようになっています。これから中国語を学ぶ人にとっては漢字と同じくらい見る頻度が高い表現です。
中国人にとってもピンインは重要な役割を持っており、漢字が分からないときなどにピンインを代用して意味を伝える場面もあります。
声調で意味が変わる
中国語の発音は四声と呼ばれ、1声・2声・3声・4声と、4つの発声方法に分類されます。ピンインと同様に中国語において非常に重要な役割を持っており、中国語を身につけるためにもマスターする必要があります。
1声「¯」、2声「ˊ」、3声「ˇ」、4声「ˋ」とそれぞれの記号が声調を意味しており、你好(nǐ hǎo)では、どちらも3声を使った発音方法である、ということが分かります。
1声 | ¯ | 高く、平坦な発音 |
2声 | ˊ | 低音から高音へ移り変わるように発音 |
3声 | ˇ | 発声しながら低音へ移行しつつ、元に戻す発音 |
4声 | ˋ | 高音から低音へ降下させる発音 |
中国語では四声の使い分けが非常に重要であり、同じ「ni」であったとしても声調の発音次第でまったく別の意味になるため注意が必要です。例えば「母」を意味する「妈(mā)」の発音を、「mǎ」と発音すると「馬」の意味になります。
このように、中国語においてピンインと声調は意味を正しく伝えるために非常に大切なポイントです。これから中国語を勉強する際は意識すると良いでしょう。
中国語の習得難易度
日本人は比較的習得しやすい
中国語は日本人にとってもなじみのある漢字を使うため、比較的習得しやすい言語と言えます。先述した通り、発声にはピンインや声調を理解したり使いこなしたりする必要があるものの、英語における「L」「R」の発音のように、苦手意識を持たずに習得できるのがポイントです。
もちろん日本人が発音しづらいものもありますが、英語に比べてチャレンジしやすい言語であることには変わりありません。近年では、日本の学校に通う中国人の学生が増えています。交友関係を広げながら、言語学習の手助けをしてもらうのも選択肢になってくるでしょう。
ピンインと声調の難易度がやや高い
日本人にとって親和性はあるものの、ピンインと声調は独特で習得に時間がかかり難易度が高いため、このハードルを越えられるかどうかが鍵となってくるでしょう。そのため、おすすめの勉強方法としては「ひたすら単語をピンインで覚えていく」ことが挙げられます。カタカナ表現で覚えるとどうしても発音や声調が身につきにくいなります。例えば「你好」という単語であれば、「ニーハオ」ではなく、「nǐ hǎo」の形式で覚えるのがおすすめです。
数多くある学習方法の中でも、重点的に練習すべきなのは声調です。声調さえ合っていれば、発音が違っていても話の流れなどから相手が意味を理解してくれる場面もあります。まずはピンインと声調の理解を深めていくと良いでしょう。
韓国語に比べると難易度は高い
韓国の公用語である韓国語も、日本人の言語学習の選択肢として人気です。韓国語はひらがなに似た音があるほか、文法的にも日本語に非常に似ている部分が多いのでなじみやすい言語です。歴史的な背景なども相まって、韓国語は日本人が身につけるのにはそこまで時間を要さない第二外国語であると言えます。
一方で、中国語はこれまで説明してきた通り、日本人にとって「漢字」こそなじみがあるものの、発音や字体の文化や奥深さから、比較すると習得する難易度が高い言語です。それでも、中国の世界市場における可能性やメリットは非常に大きいため、興味を持って学習していくことをおすすめします。
まとめ
中国語を習得すると、世界市場で重要な役割を持っている中国企業を相手にできる可能性が高くなります。ビジネスシーンでの活躍はもちろん、将来のキャリア形成においても役に立つでしょう。将来性を考えて第二外国語の勉強を検討しているのであれば、ぜひ中国語も選択肢に入れてみてください。
日本人にとってなじみのある漢字が使われているため、英語に比べても挑戦しやすく、挫折しにくいと言えます。ピンインや声調といった発声方法を重点的に学び、中国語を効率良く身につけていきましょう。
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