就職活動を始めると「英語力で選考は有利になる?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
そこでこの記事では、英語力が就活に影響するのかどうか、さらに英語力をアピールできる資格、英語力が重視される職種までをご紹介します。就活で英語力が活躍できるのか気になっている方はぜひ最後までご覧ください。
就活で英語力は必要?
必須ではないが有利に働くことが多い
結論からいうと、就活で英語力が必要かどうかは、応募する企業によってさまざまです。しかし、英語力を必須とする企業は多くないものの、就活で有利に働くケースは以下のように非常に多いです。
- 応募できる企業の幅が広がる
- 自身のアピールポイントになる
- ウェブテストで高得点を取れる
- 他の学生との差別化になる など
業界選択・ES・面接など、さまざまな形で就活に貢献してくれるため、英語力は身につけておいて損はありません。
英語力を採用基準にする企業は増加
少子高齢化の進行で日本市場が縮小していることから、グローバル展開に乗り出す企業が増えています。その結果、英語力が採用項目として評価される傾向も強くなってきました。
英語力を重視してこなかった日系企業が、突然就活の採用条件に含める可能性もあるため、リスク回避という意味でも英語力は身につけておいて損はないといえます。
就活で英語力をアピールするメリット
グローバル社会に対応できる人材と評価される
英語力をアピールすることで、グローバルな事業展開に役立つ人材と評価されやすいです。少子高齢化による日本市場の縮小をきっかけに、多くの企業は海外展開・インバウンド需要の取り込みを行ってきました。
どの企業もグローバル展開を進める傾向が強くなっており、英語力がある人材の需要も高まっています。
英語力があることは、それ自体が就活での大きなアピールポイントになります。
広い視野を持つ人材と評価される
英語力のある学生は、英文読解や留学などの経験を通じて、外国の考え方や行動を身近に感じた経験があることが多いです。その結果、日本という一つの国の考え方にとらわれず、柔軟で多角的な視野を持てるようになります。
広い視野を持つことは、ビジネスの場においても役に立ち、「新しい視点のビジネスモデルを思いつく」「お客さまの潜在ニーズに気づく」などの形で活きてくるのです。
英語力の高さだけでなく、視野の広さも合わせてアピールしましょう。
就活で有利になる英語資格・レベル
1.英検
総合的な英語力を表す資格
英検は、日本英語検定協会という公益財団法人が実施する、日本トップクラスの知名度を誇る英語検定試験です。
受ける級によって受験項目が変わり、高い級を取得できれば、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの総合的な英語力をアピールできます。
2級からがアピールに役立つ
就活のアピールで使用する場合、最低でも2級は獲得しておきましょう。
英検2級は「社会生活に必要な英語を理解し、また使用できる」と定義され、準2級以下とは異なり、試験内容にライティングも追加されます。
基本的な英語力を有しているというアピールにつながりやすいでしょう。
2.TOEIC L&R
ビジネス英語レベルの指標に
英検と並び、日本でトップの知名度を誇る検定試験がTOEICです。日本企業の約5割が、TOEICのスコアを採用の参考にしています。
リスニングとリーディングで構成され、ビジネス英語レベルの指標として用いられることが多いです。
一度取ったスコアに有効期限は無いため、将来長い目で見ても役立つ英語資格といえます。
アピールするなら600点から
TOEICの点数をアピール項目に入れる場合は、最低限600点は獲得しておきましょう。
TOEICの毎年の平均点は、基本的に500点代なので、600点以上であれば平均以上の英語力を有していることになります。
また、英語を使用する仕事であれば、最低でも750点を獲得しているとよいです。
3.TOEFL iBT
海外就職を考えるならおすすめの資格
TOEFLは、主に大学・大学院レベルのアカデミックな場面で必要とされる英語運用能力を測定する試験です。
TOEFLの日本での知名度はTOEICに劣りますが、世界では3,500万人以上が受験する非常に有名な英語資格。海外就職を考えている方は、TOEICよりもこちらを優先しましょう。
ただしTOEFLスコアは2年で有効期限が切れるため、必ず就活の時期から逆算して取得してください。
70点以上を取ればアピールポイントに
TOEFLをアピールをする際は70点以上が目安。
70点という数字は名門大学の交換留学の足切り数値に設定されていることが多く、「一定の英語力がある」と判断されます。
4.IELTS(アイエルツ)
スピーキング力のアピールに
近年関心が集まっている英語試験が、IELTS(アイエルツ)。140カ国、合計10,000以上の機関が認定しており、英語力証明に最適なテストです。
ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの4技能を含むテストから構成されており、スピーキングは面接官と対面で行うという特徴があります。
日常業務でスピーキングを使用する企業に対しては、強力なアピールポイントになります。
アピールはスコア6~6.5が目安
1~9までのバンドスコアで評価され、1が最も低く9が最も英語力があると判断されます。
アピールに使用できるスコアは、総合バンドスコア6~6.5以上です。
6~6.5のスコアは海外留学の基準として多く採用されており、「おおむね効果的に英語を使いこなす能力を有する」とIELTS公式でも定義されています。
就活で英語力・資格をアピールする際のポイント
1.資格獲得までの努力・工夫を伝える
母国語ではない言語を習得するのは大変です。その過程の努力や工夫を伝えることで、高い評価を受けることができます。
例えば、独学した場合には「洋画を英語字幕で繰り返し見る」「通学の1時間にはリスニング音声を聞く」など、英語に触れる機会を増やした工夫を伝えるとよいです。
2.仕事で活かす方法を伝える
資格獲得の結果得た英語力を仕事でどう活かすかを話すことで、採用担当者に、自身が企業で働くイメージを伝えることができます。
英語力が優れていても、仕事に活かせないのであれば面接での評価にはつながりません。新卒採用はポテンシャル重視なので、入社後に活躍するイメージを持たせることが重要です。
例えば「英文作成能力を用いて、海外営業に使用するメールテンプレートを作成し、1日当たりの営業件数を増やします」など、具体的な活用方法を伝えてアピールしましょう。
3.身につけようとした経緯を伝える
英語力を身につけた理由や経緯を話すことで、自身の人となりをアピールできます。例えば「外国人観光客のガイドをした際、英語力があればもっと楽しんでもらえたと感じたため」などです。
向上心の強さをアピールでき、目標に向かって粘り強く努力できる人材だと評価される可能性が高まります。
4.継続力や積極性を合わせてアピールする
英語力は短期間で得られるわけではなく、長い時間をかけて勉強をする必要があることがほとんどです。英語の勉強は地道な努力の積み重ねであり、モチベーションの維持も大変です。高い英語力を手に入れるために継続して勉強をした精神力は、アピールする価値があるものと言えます。
積極性においても同様で、英語の勉強は積極的に行わなければ学習は難しいため、なぜ積極的に取り組むことができたのかといった点はアピールポイントになります。
就活シーンでは英語力だけでなく、一つのことに根気強く取り組み、成果を出す過程での積極性や継続力も合わせアピールすると良いでしょう。
英語力が重視される企業・職種の特徴
海外展開している事業・部署
企業の内部に海外展開している事業がある場合、英語力を重視されることが多いです。海外展開している部署の特徴としては、やはり英語圏や海外の方を対象としてサービスや製品を展開しているため、顧客が外国の方となります。つまり日本語ではなく英語でのコミュニケーションが必須になるため、英語力を重視する傾向にあります。
多様な国籍が集う外資系企業
外資系企業は会社のトップや経営陣、現場においても重要な判断を下す人材が外国籍の方であることが多いです。そのため、国内にサービスを展開する外資系企業であっても、社内のコミュニケーションを英語で行なっている企業もあり、IT関連の外資系企業などで多いようです。
さらに、日本を拠点とするだけで海外に向けてサービス展開をしているような外資系企業においては、社内外ともに英語でのコミュニケーションが必須になってきます。
海外製品を取り扱う商社
製品やサービスを国内に流通させる業態の商社と呼ばれる企業にも、英語力を重要視する企業は多くあります。海外の製品やサービスを国内に流通させる事業を行なっている企業では、仕入れ元となる取引先が外国の企業となるため英語力が必須になるためです。そのため就活時においても英語力を重視して選考されるケースがあります。
+αの要素として英語力を活かせる職種
秘書
大手企業の代表取締役につく秘書は、海外企業の重役とやりとりを行う機会があります。その場合、品位や礼儀のこもったコミュニーケーションができる英語力が必要です。
また英語力だけでなく、中国語や韓国語などマルチリンガルな言語能力が求められる場合もあります。
高いスキルが求められる一方、十分な英語力があれば相応の報酬を得ていくこともできるでしょう。
人事
グローバル事業を行う企業の人事職では、海外現地法人の労務管理やビザ手続きなどの業務も発生します。
さらに外国人採用を積極的に行っている場合、社員教育や人事考課まで幅広く英語を用いる必要があり、実践的な英会話能力が求められます。
法務(特許・知財含む)
あらゆる事業には法律が絡んでおり、海外企業との契約・取引・合併などの際には、「法律英語」を扱える法務が必要です。
グローバル展開が主流となりつつある昨今では、法務系職の就職には英語力が必須になりつつあります。法務採用基準に、TOEIC800点以上などの条件を含める企業も増えてきています。
ファンドマネジャー
お客さまのお金を管理するファンドマネジャーは、金融知識だけでなく英語力も求められる場合が多いです。
投資先によっては、海外企業のレポートや決算分析を行う必要があり、業務上高い英語読解能力が必要とされます。
お金を増やすことが目的なので英語力は必須ではありませんが、英語力があればアメリカなど大きな市場をターゲットにできます。
リーディング能力で差がつく職種
エンジニア
エンジニアはプログラミング言語の習得だけでよいと思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、英語も必要な能力の一つです。
というのも、プログラミング言語の技術書などは基本的に英語で書かれているためです。
翻訳ツールでもなんとかしのぐことはできますが、英語を直接読めればプログラムを即座に理解でき、仕事の効率化が可能です。
メディカルライター
メディカルライターとは、医療・健康に関連する情報を、理解しやすい文章で発信する職業のこと。
参照元の医学論文は英語で書かれていることが多く、誤訳せずに文章を構築するという高いレベルの英語力が求められます。
R&D(研究開発)
R&Dとは、企業などで科学研究や技術開発などを担当する職業のことです。
英語力は必ずしも必要ありません。しかし最先端の研究論文は英語で書かれていることが多いため、採用基準に英語力が含まれている場合がほとんどです。必須ではないものの仕事の成果を出しやすくなるため、研究職を目指す方も英語を学んでおいて損はありません。
英語活用が目的の職種
翻訳家
その名の通り、外国語↔日本語の文章を翻訳する仕事です。さまざまな翻訳業務が存在しますが、中でも有名なのが映画翻訳家でしょう。
高い英語力が求められるのはもちろんのこと、英語スラングや流行語など、英語圏文化に対する理解も必要です。
通訳
ネイティブレベルの英語力が必要な職種です。内容を聞き取るリスニング力、内容を即座に翻訳して伝えるスピーキング力が求められます。それだけでなく、コミュニケーション中の場の空気や雰囲気からどのような言葉や翻訳が適切かといった、ニュアンス部分も読み取りながら通訳できるスキルが重要になります。
英語ができることが前提でいかに語彙力があるかが問われるため、TOEIC目安で900点のレベルの英語力は保持しておきましょう。
英語教師
英語を使う職業として最も知名度が高いのは、英語教師ではないでしょうか。英語を教える立場として、高い英語力は必須です。
「小・中・高・大」どの年代を担当するかに応じて、必要な英語力も変わってきます。
また、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングを網羅的にできるとよいでしょう。英検準1級レベルの実力があれば、採用時のアピールになります。
旅行関係の職種
パイロット
パイロットは、航空管制官とのやりとりを全て英語で行います。お客さまを安全に目的地へ送り届けるためにも、採用時だけでなく入社後も高い英語力が求められます。
採用試験での英語の筆記試験や英会話での面接はもちろんのこと、入社後には海外研修なども用意されているため、英語力の高さは高評価につながります。
ツアーコンダクター(海外旅行)
海外旅行のツアーコンダクターには、英語力は必須です。
航空でのやりとり、ホテルのチェックイン、レストラン料金の支払いなど、多くのやりとりをお客さまの代わりに行う必要があります。
現地での会話・トラブル対応をそつなくこなせる英語力があれば、大きなアピールにつながります。
CA(キャビンアテンダント)
国際線や外資系航空のフライトでは、機内放送などを基本的に英語で行います。時にはお客さまとの会話も発生するため、高いスピーキング力が求められる職業です。
そのため、採用時の段階から英語力が求められており、一部の日系航空会社に加え、外資系航空会社での面接は英語で行われます。CA志望の方は、英語力を身につけておきましょう。
ホテルスタッフ
ホテルスタッフ採用においても英語力が評価ポイントの一つになっています。
特にリゾート系ホテルは外国人利用客が多いため、お客さまと柔軟に会話できるスピーキング力が必要です。
まとめ
今回は就活での英語力の必要性・アピールできる英語資格、英語力が重視される職種などをご紹介しました。
英語力自体がアピールに用いられる傾向が強いですが、英語力を高めるための努力や工夫、英語を学ぶ思いを伝えることで、自身の魅力をよりアピールできます。
就活で他の学生と差をつけたい方は、英語を習得してみてはいかがでしょうか。
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