第二外国語の「イタリア語」について解説!メリットや将来性、習得難易度


大学の授業で、イタリア語を第二外国語として選択することを考えている方もいるでしょう。芸術や料理、ファッションなど華やかな文化を持つイタリアの言語に、魅力を感じる人も少なくないはずです。本記事では、イタリア語学習のさまざまな側面について詳しく解説していきます。イタリア語を学ぶべきかどうか迷っている方々の参考になれば幸いです。

イタリア語学習のメリットと将来性

話者人口はイタリア中心

イタリア語の学習を検討している方がまず知っておくべきことは、イタリア語の話者人口はイタリアを中心に分布していることです。イタリア語はイタリア共和国の公用語であり、約6,000万人の母語話者がいます。また、スイスの一部地域やサンマリノ、バチカン市国でも使用されています。

イタリア以外では、かつてイタリアの植民地だった地域やイタリア系移民が多く住む国々でも話されていますが、その規模は英語やスペイン語などのグローバル言語と比べると限定的です。

世界遺産に興味があるならおすすめ

イタリア語学習の大きな魅力の一つは、世界遺産との関連性です。イタリアは世界遺産の数が多い国として知られています。2024年現在、イタリアには60件の世界遺産が登録されています。

これらの世界遺産には、古代ローマの遺跡や中世の街並み、ルネサンス期の芸術作品など、人類の歴史や文化の重要な要素が含まれています。イタリア語を学ぶことで、これらの世界遺産についての理解をより深められるでしょう。現地のガイドブックや説明書きを直接読めるだけでなく、地元の人々とコミュニケーションを取ることで、観光ガイドには載っていないような詳細な情報などを得られるかもしれません。

西洋史を学ぶなら役に立つ

イタリア語は、西洋史を学ぶ上で非常に有用な言語です。イタリアは古代ローマ帝国の中心地であり、中世からルネサンス期にかけては、ヨーロッパ文化の発展に大きな影響を与えた地域でした。そのため、イタリア語を理解することは、西洋の歴史や文化を深く理解することにつながります。

ビジネスにおける将来性はあまり期待できない

イタリア語学習の将来性を考える上で、ビジネスの観点からは必ずしも楽観的な見方ができないのが現状です。確かに、イタリアは世界GDPランキング第9位(2023年時点)の経済大国であり、ファッション、自動車、食品産業などで世界的に有名なブランドを多く有しています。しかし、グローバルビジネスの場面では英語が主要言語として使用されることが多く、イタリア語のみでビジネスチャンスを大きく広げることは難しいでしょう。

イタリア企業と取引をする場合でも、多くの場合は英語でのコミュニケーションが可能です。ただし、イタリア語を話せるとイタリアの企業や顧客との関係をより深めることができ、ビジネスにおいて有利に働く場面もあるでしょう。とくに、イタリアの中小企業やローカル市場を対象とする場合は、イタリア語能力が重要になる可能性があります。

イタリア語の特徴

母音が日本語とほぼ同じ

イタリア語の最も特徴的な点の一つは、その発音システムです。特に母音の発音が日本語とよく似ていますイタリア語の基本的な母音は「a」「i」「u」「e」「o」の5つで、これらは日本語の「あ」「い」「う」「え」「お」にほぼ対応しています。

例えば、「amore」(愛)という単語は「あもーれ」とほぼ同じように発音されます。また、「gelato」(ジェラート)は「じぇらーと」と発音されます。この類似性は、日本人にとって大きな利点となるでしょう。なぜなら、多くの外国語学習で最初の障壁となる発音の習得が、イタリア語の場合は比較的容易だからです。

ただし、発音が完全に同じというわけではありません。例えば、イタリア語の「e」には開いた「e」と閉じた「e」があり、これらの区別は日本語にはないものです。また、「r」の発音は日本語の「ら行」とは異なり、舌先を震わせて発音します。

名詞に性別がある

イタリア語の文法的特徴の一つに、名詞に文法上の性(ジェンダー)があることが挙げられます。すべての名詞は男性か女性のどちらかに分類されます。なお、ロマンス語派のドイツ語やフランス語にも同様の特徴があります。

男性名詞の「libro」(本)、女性名詞の「casa」(家)のように、一般的に「-o」で終わる名詞は男性名詞、「-a」で終わる名詞は女性名詞となることが多いですが、例外も存在します。例えば、「mano」(手)は「-o」で終わるものの女性名詞です。

名詞の性は、それに伴う冠詞や形容詞の形にも影響を与えます。例えば、「il libro rosso」(赤い本)では、男性名詞「libro」に合わせて、男性定冠詞「il」と男性形容詞「rosso」が使用されます。一方、「la casa rossa」(赤い家)では、女性名詞「casa」に合わせて、女性定冠詞「la」と女性形容詞「rossa」が使用されます。

動詞変化が豊富

イタリア語の動詞は非常に豊かで複雑です。動詞は人称(一人称、二人称、三人称)、数(単数、複数)、時制(現在、過去、未来など)、法(直説法、接続法、条件法など)によって変化します。この複雑な動詞変化システムは、イタリア語の表現力を高めていますが、学習する側にとってはハードルにもなります。

例えば、「parlare」(話す)という動詞の現在形を見てみましょう。

  • Io parlo(私は話します)
  • Tu parli(あなたは話します)
  • Lui/Lei parla(彼・彼女は話します)
  • Noi parliamo(私たちは話します)
  • Voi parlate(あなたたちは話します)
  • Loro parlano(彼らは話します)

このように、主語に応じて動詞の語尾が変化します。さらに、これらの変化は規則動詞だけでなく、不規則動詞にも適用されます。例えば、「essere」(~である)という不規則動詞の現在形は以下のようになります。

  • Io sono
  • Tu sei
  • Lui/Lei è
  • Noi siamo
  • Voi siete
  • Loro sono

加えて、イタリア語には接続法という、英語にはない概念があります。これは、願望、可能性、疑念などを表現する際に使用されます。例えば、「Spero che tu venga」(あなたが来ることを望みます)という文では、「venire」(来る)の接続法現在形「venga」が使用されています。

イタリア語の習得難易度

英語に比べると難しい

イタリア語の習得難易度を考える際、多くの日本人にとって身近な外国語である英語と比較すると、やや難しいと言えます。イタリア語はフランス語などと同じくインド・ヨーロッパ語族のロマンス語派に属しており、文法構造や語彙の面で英語とは異なる特徴を持っています。

例えば、イタリア語には名詞の性別や形容詞の性数一致といった概念があり、これらは英語にはない要素です。「il libro nuovo」(新しい本)と「la casa nuova」(新しい家)のように、名詞の性によって冠詞や形容詞の形が変化します。この概念を理解し、正確に使用できるようになるには時間と練習が必要です。

また、動詞の活用も英語に比べてはるかに複雑です。イタリア語の動詞は人称、数、時制、法によって変化し、不規則動詞も多く存在します。例えば、「andare」(行く)という動詞の現在形は「vado, vai, va, andiamo, andate, vanno」と変化します。これらの活用を習得するには、多くの時間と努力が必要です。

動詞変化が多く習得に時間がかかる

イタリア語学習において最も時間がかかる要素の一つが、豊富な動詞変化の習得です。イタリア語の動詞は、人称、数、時制、法によって形が変化し、その組み合わせは多岐にわたります。

前述した通り、規則動詞「parlare」(話す)の場合、現在形だけでも「parlo, parli, parla, parliamo, parlate, parlano」と6つの形があります。これに加えて、過去形、未来形、条件法、接続法などさまざまな時制や法があり、それぞれに異なる活用パターンがあります。

特に難しいのが不規則動詞の活用です。「essere」(~である)や「avere」(持つ)といった基本的な動詞も含め、多くの頻出動詞が不規則な活用をします。例えば、「andare」(行く)の現在形は「vado, vai, va, andiamo, andate, vanno」となり、語幹自体が変化します。

さらに、複合時制の使用も習得に時間がかかる要素です。例えば、近過去形を作るには、助動詞「avere」または「essere」の現在形と、主動詞の過去分詞を組み合わせます。「Ho mangiato la pasta」(パスタを食べました)のように、適切な助動詞の選択と過去分詞の形成が必要になります。

発音は日本人にとって比較的なじみがある

前述のように、イタリア語の習得において日本人学習者にとって比較的取り組みやすい要素が発音です。

まず、イタリア語の母音システムは日本語と非常に似ています。基本的な母音は「a」「i」「u」「e」「o」の5つで、これらは日本語の「あ」「い」「う」「え」「お」にほぼ対応しています。例えば、「casa」(家)は「かーさ」、「amico」(友達)は「あみーこ」とほぼ同じように発音されます。この類似性により、日本人学習者は初めてのイタリア語の単語でも、比較的自然に発音することができます。

また、イタリア語の子音も多くが日本語と似ています。例えば、「p」「t」「k」「m」「n」などの子音は、日本語とほぼ同じ発音です。

さらに、イタリア語は基本的に文字通りに発音される言語です。つまり、スペルと発音の関係が規則的かつ予測可能です。この点に関しては、英語のような不規則な発音規則を持つ言語と比べても、覚えやすいと言えるでしょう。

まとめ

イタリア語学習には、世界遺産や西洋史の理解を深められるなどのメリットがある一方で、ビジネスにおける将来性は限定的であることが分かりました。また、日本語と似た母音系統を持つなど学びやすい面もありますが、複雑な文法体系のため、習得には時間と努力が必要です。しかし、イタリア語を学ぶことで得られる文化的な豊かさは、その努力に十分値するものと言えるでしょう。自身の目的や興味に合わせて、イタリア語学習を検討してみてはいかがでしょうか。

パーソルキャリアの新卒採用エントリーはこちら!

パーソルキャリアは“人々に「はたらく」を自分のものにする力を”というミッションのもと、「doda(デューダ)」をはじめとする国内最大規模のHRサービス等、はたらく人と組織に関わる幅広い領域のサービスを展開している会社です。

社員一人ひとりが”キャリアオーナーシップ”を持って自分のキャリアを自ら切り開き、大手ならではのリソースを駆使しながらもベンチャーのような裁量権を持って顧客の本質的な課題を解決をしています。

  • ビジネス総合、プロダクト企画、エンジニアなど希望する職種コース別に採用選考を実施中!
  • 気軽に就活対策、企業研究ができるイベントを多数開催中!

 

新卒採用サイトの説明画像