営業を経験してから新規事業を企画するメリット3つ


既存の事業がどんなにうまくいっている企業でも、そのまま永遠に成長し続けられるわけではありません。ニーズが多様化・複雑化し、環境変化も激しい現在において、企業は継続的に成長するために「新規事業」を検討する必要があります

しかし、新規事業の立ち上げは簡単ではありません。企画から始まり、市場調査、各種資料作成、外部パートナー企業との連携・調整など、難易度が高い仕事が求められます。そういった事情もあって、新卒で入社後すぐに新規事業に携われるケースは少なく、多くの場合は事務や営業などの職種を経験してからになります。

本記事では、新規事業で行う業務を明らかにしたうえで、営業を経験した後で新規事業に携わるメリットについて解説しています。

新規事業で行う業務とは

新規事業を立ち上げるにあたっては、タスクが多岐に渡ります。もちろんすべて一人で担当することはなく、チームを組んで対応することになるでしょう。まずは、そんなチーム全体で行う、新規事業を立ち上げる際の業務について見ていきます。

新規事業・プロジェクトの企画および推進

新規事業を立ち上げる際のスタート地点、もしくは全体に関わる項目として、新規事業・プロジェクトの企画および推進が挙げられます。

課題の整理と解決策の提示

最初に行うのは、自社が抱えている課題の整理とその解決策の提示です。課題をいくつか挙げ、解決すべき優先順位を付けていきます。新規事業の必要性が発生するケースとしては、「ライバル社のシェアが上がってきた」「他社が技術革新を起こし、画期的な製品を発売した」「環境の変化により、市場全体のニーズが下がってきている」などがあります。

これらの課題に既存事業では対応しきれない場合、今後の市場ニーズを考慮した新規事業の検討に入るという流れが一般的です。

KPIの設計

新規事業に着手するにあたっては、まず目標を設定することが大切です。そして、その目標に向けた業務プロセスに対して定量的な指標(KPI)を設定し、進捗を管理していきます。KPIは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標という意味です。目標達成までに必要な進捗や、誰が結果を見てもわかるように指標として表現したものと言えます。

具体的なKPIには、所定の期間における「売上○○億円」「来店客数○○名」といった数字が使われます。KPIを設計することで目標までのプロセスが明確になり、各業務における達成基準や評価基準を可視化できます。

メンバーのマネジメント

新規事業を立ち上げる際には、新たにプロジェクトとしてメンバーを集める場合もあれば、現状の組織内で行う場合もあるでしょう。いずれのケースでも、事業領域に知見がある人物、過去に立ち上げに関わった経験がある人物、推進力のある人物などが一致団結し、チームとして動いていく必要があります。また、そうして集まったメンバーを、マネジメントしていく人物も欠かせません。

それぞれのメンバーに役割と責任を与え、進捗を管理し、連携を的確にサポートしていくことが求められます。メンバーは一部署ではなく、企画、開発、製造、営業、経理など、多岐に渡るでしょう。志は同じであっても、各部署の業務優先度まで一本化されているわけではありません。新規事業の全体を見る立場からは重要なタスクでも、他事業部では重要視されていない……といったことはよくあるため、部署ごと足並みを揃えるためのマネジメントが重要です。

新規事業という一大プロジェクトを成功させるには、自部署だけでなく、全体最適の視点が大切です。そのため、個々のメンバーをしっかりとマネジメントする役割は特に重要だと言えるでしょう。

事業を推進してやり切ること

新規事業を始めてすぐに、大きな利益を得ることは難しいでしょう。数年先の損益分岐点を見据えながら新規事業を始めることが多く、初めのうちはある程度採算を無視して進めざるを得ない状況も考えられます

時には想定通りにいかないこともあるでしょう。「目標としていた利益が見込めない」「思ったよりも経費がかかってしまう」といった場合、精神的につらくなり、「もうやめてしまいたい」と思うかもしれません。しかし、一度やり始めたからには、しっかりと責任を果たしてやりきらなければなりません

経営層や社内各部署との連携はもちろん、必要に応じて外部コンサルタントや知見のある専門家などに相談し、客観的な意見を取り入れながら事業を軌道に乗せるための施策を検討します。もちろん、うまくいっている場合でも安心はできません。他社が似た事業を行っていることも多くあるため、市場や他社の動向は常に注視すべきです。

新規事業立ち上げに必要な調査や資料作成

新規事業の立ち上げには、徹底的な調査が必要です。ターゲットやポジショニングは適切か、市場動向はどうか、ニーズはあるか、既存企業に対して優位性はあるかといった点について、しっかりと検討します。ここがいい加減だと、「新規事業を立ち上げたものの大赤字」ということにもなりかねません。

正確なデータを取得・検討することで、新規事業そのものや目指すべきゴールについてプランニングできるようになるでしょう。

マーケットのリサーチ

グローバル化、消費の多様化、技術革新などが進む現代において、市場環境を正確に捉えるためのマーケットリサーチは非常に重要です。

顧客のニーズをはじめ、市場動向、時には政治情勢といった項目について、徹底的に調査・分析していきます。基本的には政府や自治体、業界団体、民間の調査機関からのデータを参照することになるでしょう。もちろんこうした外部データのみならず、自社にのみ存在する「1次情報」を合わせて活用することも大切です。

新規事業を立ち上げるまで、何年もの歳月が必要なケースも考えられます。外部データから始め、社員や顧客を中心とするステークホルダーから生データを収集し、そこから世間の動向を調査し、ビジネスデザイン構築や自社独自のデータとの整合性確認を経て、ゴールまでのロジックを明確にするようにしましょう。

ユーザーニーズの特定

新規事業にも、必ず対象となる顧客、つまりユーザーが存在します。どれだけ優れた企画や商品力があっても、ユーザーのニーズがなければ利益を出すことはできません。ユーザーの視点を把握したり、声を聴いたりして、ニーズを理解していきましょう。

基本的に1人でも「欲しい」と思えばニーズになるため、ユーザーのニーズが全くないサービスや製品はないと言っていいでしょう。しかし、「より多くのユーザーが求めているもの」や「課題を解決できるもの」でないと採算が合わなくなってしまうため、ユーザーニーズの大きいポイントを調査・特定する必要があります。

ユーザーニーズ調査は他社が行っているものを参考にすることもありますが、自社であらためて行う場合には、アンケートやインタビューといった手法を用いるのが主流です。オンラインを利用した方法なら、短時間かつ効率的に情報を集められます。

各種分析データの抽出や集計

集まったデータの集計・分析を通して、客観的に「新規事業を始めるべきか」を検討することができます。ユーザーから集めた声など、中には不必要な情報も含まれているでしょう。そういった情報を複数の観点から確認し、分析を行ってユーザーニーズの本質部分を見極めることになります。

最近では、AIなどコンピュータがデータ分析を行うこともあります。コンピュータ言語処理によって大量のテキストデータから有益な情報を探す「テキストマイニング」はその一例です。単語ごとの切り分けが難しい日本語には少し不向きとも言われていますが、人の手を介さないため公平で、短期間での抽出が可能になります。

外部パートナー企業との折衝、調整

新規事業を成功させるために、外部パートナー企業を活用する場合があります。自社では対応できない部分を補ってくれるパートナー企業は、心強い存在となってくれるでしょう。

ただし、パートナーとはいえ別会社ですので、やはり折衝や調整が必要となってきます。新規事業全体のプランや見込み、そしてパートナーとなってくれることのメリット・ベネフィットを上手に伝えましょう

なお、外部パートナーを見つけるあてがない場合は、パートナー開拓を請け負うコンサルティング会社などに頼る手もあります。

営業を経験してから新規事業に携わる3つのメリット

ここまで解説してきたように、新規事業に紐づくタスクは難しいものばかり。知識はもちろん、コミュニケーション能力やタフな精神力も必要です。

そしてこれらの能力は、営業という職種を経験することで培うことが可能です。新規事業に携わることになったら、営業で培った経験がきっと役に立つでしょう。以下では、営業を経験してから新規事業に携わるメリットを3つ、ご紹介します。

知見が活かせる

営業を行うには、自社が提供する商品やサービスに詳しくなる必要があります。限られた時間で顧客情報を調べたり、最新の業界情報をリサーチしたりします。また、競合他社と比較した自社の利点を、顧客に対してアピールする機会も多いでしょう。そういったことから、営業をしていると自社や業界への理解が深くなっていくものです。

新規事業は多くの場合、既存事業のノウハウや商品力、技術力を活用していきます。営業で培った知見をもとにすれば、新規事業に落とし込むことも容易でしょう。新規事業を企画するのに欠かせない市場調査の面でも、営業で培った情報収集力を活かすことができます

対人・交渉スキルが活かせる

営業はさまざまな人と接することから、対人・交渉スキルが高まります。会話を飽きさせないような工夫が自然と身に付いたり、話術によって人の心をつかむようなスキルが得られたりするでしょう。相手が難色を示した際の交渉方法やあきらめる場合の判断基準も、習得が期待できます。

新規事業に関する業務では、外部企業との折衝や経営層に提案する場面が多く発生します。そこでは高度な対人・交渉スキルが求められるので、営業の経験は大いに役立つはずです。

また、新規事業を開始するにあたってスポンサーや協業先を探すこともあります。一から見つけるのはかなり骨が折れる作業ですが、営業で広がった人脈を活かせる場合、通常より交渉が簡単に進むこともあります。

タフネスが身に付く

営業は目標達成を目指し、常に数字と向き合う責任があります。しかし、必ずしもがんばったぶんだけ報われるというわけではありません。必死に努力しても数字が積めなかったり、顧客から断られることに対してつらい思いをしたりすることもあるでしょう。

しかし、そこでくじけずに前を向いていく姿勢が身に付くと、精神的にタフになります。また、仮に営業の仕事が合わずに他の職種に移ったとしても、営業経験で培った精神的な強さは役立つでしょう。

新規事業では、営業と同様に相当なタフさが必要になります。明確な答えや進め方がない中で始める新規事業は、精神力が強くないとしんどいものです。営業で養われたタフネスがあれば、新規事業の業務が大変でも、前向きに取り組めるかもしれません。

まとめ

新規事業は会社の命運をかけた、非常に重要なものです。そんな重要な仕事に関わっていくための「武器」として、営業の経験は大いに役立ちます。

「新規事業の立ち上げに関わりたいけど、営業職に就くことが決まっている」という方は、営業の経験が将来的にきっと活かされると考え、前向きに仕事に臨むのがよいでしょう。

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