ゼミへの応募

浪人経験は本当に就活に不利なのか?


大学へ現役で入学できず浪人した経験は、就活時に不利になってしまうかどうか、気になる方も多いと思います。ストレートに入学できなかったことに対して「現役で合格した人より劣っていると思われる?」「浪人したことについて何を聞かれるのだろう?」という考えが頭に浮かび、周囲と比較して劣等感や不安を抱くことがあるかもしれません。

この記事では、浪人経験が就活で不利になるかどうか、また強みとしてアピールするにはどのようなエピソードを話すべきかについて解説していきます。

浪人経験は就活でほぼ不利にならない

1浪2浪は新卒扱いになる

浪人して大学へ入学する人の割合をご存じでしょうか?

文部科学省の令和3年度「学校基本調査」によると、大学入学者の総数は627,040人です。そのうち19歳以上は125,289人です。この割合は約19.9%、つまり5人に1人が浪人をしている計算になります。

上記のとおり浪人はめずらしいことではなく、多くの企業で1浪や2浪は新卒と同じ扱いで採用しています。そして、浪人をしていても活躍している人は大勢いるため「自分は浪人したから」とネガティブに考えず、自信を持って就活に臨んでください。

ただし、留年は不利になることがあるので注意が必要です。留年は、やむを得ない理由による場合もありますが、計画をうまく立てられなかったことによる単位不足が原因であることも多いようです。

特に「浪人+留年」となると、採用担当者は「浪人した経験が活かされていないのでは?」と考え、見通しの甘さが克服できていないと不安に感じる可能性もあります。まだ留年をしていない方はできるだけ留年しないように、また、すでに留年してしまっている方は「なぜ留年することになったのか」「留年を経ての反省点や、その後の行動への良いフィードバックには何があったか」などについて、しっかりと語れるようにしておきましょう。

企業は年齢ではなく経験を評価する

学生のころは、年齢が1~2歳離れていることが大きな違いだと感じるかもしれません。しかし、いざ企業で働き始めると、年齢の枠を超えて、大勢の人と関わるようになります。同じチームの中でも、10歳以上離れている人と仕事をすることはよくあります。

仕事をする上で重要なのはその人の年齢ではなく、これまでの経験や実績、人柄、価値観といった人間性や資質です。そして、就活でも重視される要素は変わりません。

採用担当者は、あなたが企業にふさわしい人材かどうかを、面接における質問によって見極めようとします。たしかに「浪人したこと自体」について気になることはありますが、浪人によって多少年齢を重ねていたところで選考結果に影響することはなく、それよりも浪人時代のエピソードに興味を持つことのほうが多いでしょう。

失敗の原因をどのように分析して、何を学んだのか。そして同じ失敗をしないように、どのような行動をしたのか。そのようなエピソードがしっかりと話せていれば、マイナス要素と取られることはほとんどないといえます。

あきらめず志望校に入った経験が評価されることも

浪人経験は、マイナスな側面だけではなく、エピソードによってはプラスの側面を持っています。例えば、入試で不合格となってしまったことで大学へ行くことをあきらめる人もいる中、難関大学へのチャレンジを続けた経験。これは「目標を達成するための努力ができる人間である」ということをアピールできるエピソードになります。

同級生が大学へ入学してキャンパスライフを送っている一方で、1年先の入試まで勉強を続けるのは精神的にとても苦しいことです。現役で大学へ入学した人は、この苦しさを経験していません。困難を乗り越えて目標を達成したことは、自身にとって大きな強みとなっているはずです。

面接で浪人エピソードについて聞かれた際には、苦労点や自分なりの工夫、気づきなどを話せるようにしておきましょう。

浪人のエピソードを掘り下げられることはある

これまで浪人が不利になることは少ないとお伝えしてきました。しかし、面接時に浪人についてエピソードを掘り下げて質問されるケースは比較的多いようです。

このときに「どこにも受からなかったから浪人して、受かった大学へ入学した」と話してしまったら、好印象を与えることはできないでしょう。あえて不利な状況をつくらないためにも、エピソードを語れるように事前に準備しておく必要があります。

浪人した経験は、ある意味で「失敗」ですが、必ずしも悪いことではありません。仕事を進めていく上でも失敗はつきものです。失敗から学ばずに成長しないことのほうが、自身にとってマイナスだといえるでしょう。

従って、浪人のエピソードを語るときは、成長に向けた過程を盛り込むのがポイントです。例えば、次のように経験を思い出して整理してみましょう。

なぜ浪人をしたのか?どうしても行きたい大学があったため
浪人時代の目標は何か?○○大学で△△をすること
目標達成のための問題点は何か?苦手科目である英語が足を引っ張っている
その問題点を解決する方法は何か?苦手箇所や原因の洗い出しを行った
具体的にどのような行動をしたか?洗い出したポイントを計画に落とし込んだ
目標は達成できたか?達成できた
目標を達成できた要因は何か?計画を振り返って勉強の進捗を確認したこと
経験からどのような気づきを得たか?ボトルネックの特定が非常に重要であったこと

次に、自身の経験を整理できたら、エピソード化します。上表の例をもとにすると、次のようなエピソードが考えられます。

~浪人した経験のエピソード例~

私はどうしても行きたい大学がありましたが、現役時代は不合格となってしまい浪人を選ぶことになりました。○○大学で△△を学びたかったため、浪人時代の目標大学は変わらず○○大学と設定しました。
しかし、現役のころと同じように勉強しても目標は達成できないと考えて、不合格の原因となった英語について苦手ポイントの洗い出しを行いました。

洗い出したポイントの克服のため、受験日からさかのぼって、いつまでに何をするべきかリストアップしてまとめました。そして、模試を受けるタイミングで計画どおりに進んでいるか、適宜振り返るように心がけました。計画からズレてしまった場合は都度修正しながら勉強を続け、現役時代に足を引っ張った苦手科目がむしろ強みになるところまで成長することができました。

この行動を通じて、ボトルネックの特定がどれほど重要なことなのか身にしみて実感することができました。大学ではこの経験を活かし、うまく行かない場合には必ずボトルネック特定を行うようにして、レポート提出や試験に向けて計画を立てて行動し、良い成績を残すことができました。最近では、失敗するケースが事前に予測できるようになってきており、インターン先でも先回りして行動することができています。

エピソードを考えるコツは、当時をできるだけ具体的にイメージしながら自分の言葉でまとめることです。暗記した文章では、どうしても「借りてきた言葉」だと感じてしまいます。スラスラと話す必要はないので、自分の言葉で語るようにしましょう。言葉に詰まってしまったとしても、採用担当者は興味を持って聞いてくれるはずです。

3浪は不利になることも

浪人は不利になりづらいと解説してきましたが、3浪以上となると出身大学にもよりますが、採用担当者はいくらか慎重になります。そのため1浪、2浪以上に念入りなエピソード準備が必要です。

志望する企業が3浪や「2浪+留年」などをどのように扱っているか知りたい場合は、企業Webサイト内の採用情報にある応募資格を確認したり、企業へ直接問い合わせたりしてみることをおすすめします。

就活の情報収集をするなら

『HATARACTION!メンバーシップ』では、就活とキャリア形成に役立つ有益情報発信や、国家資格を取得しているキャリアコンサルティングのプロとの面談を提供しています。無料で登録できますので、就活の情報収集をしたい大学生の方はぜひご登録ください。

就活で浪人経験を強みにする方法

ポジティブに捉える

多くの企業は前向きな人材を求めています。失敗しても必要以上にくじけず、次のチャレンジができる人です。

浪人は「失敗」と考えがちですが、前向きな選択として捉えることもできます。行きたい大学があり試行錯誤しながら勉強したところ、最終的に合格できた経験。これは失敗をバネにして成長へとつなげた、ポジティブな経験談になります。

一方で、浪人をネガティブに捉えすぎていると態度に表れてしまい、印象が悪くなることもあり得ます。失敗を含めて自分を認めてあげましょう。そして、自信を持って堂々とエピソードを語ってください。

また浪人経験から、視野の広さや落ち着きをアピールすることもできます。一度立ち止まったからこそ、自身と向き合う期間を持てたはずです。得意なことや苦手なことを冷静に分析する機会はなかなかつくれないので、良い経験をしたともいえるでしょう。

タフさをアピールする

仕事をする上で挑戦は避けて通れません。また、何度も失敗して、あきらめそうになることもあるでしょう。それでも社会や会社、そして自分のために挑戦をしていく必要があります。

浪人をして、合格という目標に向けて1年以上の勉強を続けるという経験から、折れない心をアピールすることができます。そして、現役合格組はこの経験をしていません。つらかったり苦しかったりしたとき、どのようにそれらを乗り越えたかを話せるようにしましょう。

浪人という失敗経験から学びを得る

浪人は人生の中でも大きな挫折経験で、思い出したくもないかもしれません。浪人を経験した大学生に話を聞くと「良い経験にはなったが、もう二度と経験はしたくない」と語る場合が多くあります。そのくらい、浪人生活は大きな挫折経験になっているのです。

大事なことは、失敗に向き合って原因を考えることです。そして、失敗を未然に防ぐような方法を考えたり、失敗したとしてもすぐに気づけるような工夫をしたりして、同じ失敗を繰り返さないように対策することがポイント。

浪人という失敗を経験して、どのように原因を分析して、どのような行動をしたのかをエピソードで詳しく語れるようにしましょう。問題点の原因を考えて対策を練ることは、多くの社会人が仕事で経験していることでもあります。

学年が上の同い年の友人から就活情報を集める

就活では、情報を持っていることで強みを発揮することが多いようです。主に就活情報は、就活サイトや、同期の就活生、また先輩やOBから収集することがほとんどでしょう。

浪人を経験していると、高校時代のつながりが深かった同級生などが先に就職している場合があり、そういったルートで情報を仕入れることもできます。大きな強みとまではいきませんが、浪人を経験しているからこそ活かせる強みでもあります。

まとめ

この記事では「浪人経験は就活に不利になるか?」についてお伝えしました。

1浪や2浪については新卒と同等に扱われますが、浪人した経験に対して質問で深掘りされる場合があります。そのため、経験から得た学びや気づきを自分の言葉で伝えられるようにしましょう。失敗の原因を考えて自分なりの方法で行動をした経験が、有益なエピソードとなります。

また、採用担当者は面接で、就活生の経験や人柄、価値観など、人間性や仕事に関する素質を重視します。浪人を気にしすぎるあまり、マイナスの印象を与えないように注意してください。高い志のもと目標にまい進した浪人経験を強みとし、自信を持って面接に臨みましょう。

新卒採用サイトの説明画像