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ステークホルダーの意味とは?どういうときに使う言葉なのか解説


ステークホルダーの意味とは?どういうときに使う言葉なのか解説

就職活動をしていると、「ステークホルダー」という言葉を耳にすることがあります。「ステークホルダーの立場を考える」「ステークホルダーの協力が不可欠」といったように使用されますが、具体的にどういった人を指しているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ステークホルダーという言葉が指す意味や事例、使い方などについて解説しています。

ステークホルダーとは

そもそも、ステークホルダーとは何なのでしょうか?はじめに、ステークホルダーの定義について見ていきましょう。

「利害関係者」を指す言葉

ステークホルダー(stakeholder)は、日本語に直すと「利害関係者」という意味です。利害関係者とは、ある組織・プロジェクトに関わっている人々や団体のこと。該当する組織やプロジェクトに対して、投資をしている人、従業員、顧客、サプライヤー、地域住民など対象範囲は多岐にわたります。

つまりステークホルダーとは、該当する組織やプロジェクトの成功に必要な資源を提供したり、影響を受けたり与えたりする人たち全般のことです。ここでいう「影響」には、財務的な利益、社会的な利益、環境的な利益などがあり、それぞれの目的やニーズは立場によって異なります。

利害が一致していなくても対象になる

ステークホルダーは利害関係者という意味ですが、必ずしも互いの利害が一致するとは限りません。自分にとっては有利になるものの、相手にとっては悪影響となるような場合でもステークホルダーとなり得ます。

自社と競合他社の場合は、自社の利益が伸びれば競合他社の利益が落ちるといった相関関係が発生します。企業が従業員の賞与減額を決定した際、従業員の年収は下がる一方で企業の利益は増えるという点で、企業と従業員もステークホルダーの関係です。このように、ステークホルダーにはプラスとマイナスの相反する立場の人々や団体も含まれます

1980年代から一般に展開されるようになった

ステークホルダーという言葉は、1980年代から一般的に使われるようになりました。哲学者のR・エドワード・フリーマンが著書の中で、ビジネス理論としてステークホルダーを提唱したことがきっかけと言われています。

ステークホルダーは、社会情勢の影響からも注目度が高まっています。一昔前まで企業は利益追求が中心で、社会の一員としての役割はそれほど重要視されていませんでした。しかし、近年では環境問題への対応や地域社会との共存も企業の使命という位置づけに変わってきています。

そのような中、企業を取り巻く幅広い関係者を示すステークホルダーという言葉もまた、ますます注目されるようになってきているというわけです。

ビジネスでは広く使われている

ビジネスシーンにおいて、ステークホルダーという言葉はかなり広く使われています。特に、経営者や役員といった企業を代表する人から、戦略や方針を説明する場面で用いられることが少なくありません。方針説明会の中では、顧客や株主、従業員などを幅広く示す意図で、ステークホルダーという表現が使われています。

ステークホルダーの意図する範囲は広く、厳密な定義づけはありませんそのため、企業によって異なる使い方をしている場合もあります。そういった実情もあり、ビジネスの場でステークホルダーという言葉を耳にする機会が多いのでしょう。

インターンシップでもよく聞く用語

インターンシップ先においても、ステークホルダーという単語を用いた業務や事業説明を受けることがあります。そこでは、その企業や担当者にとっての利害関係者がどの範囲までなのかを、意識して聞いておく必要があるでしょう。

先述した通り、ステークホルダーの意味は範囲が広く、厳密な定義がありません。基本的にはプロジェクトに関わるすべての人々が対象になりますが、各現場で使われる場合は、単純にプロジェクトに関わる直接的な社内関係者のみを指すケースもあります。

その企業や事業、プロジェクトにおいて、誰がステークホルダーなのかを正しく認識しておくことで、業務の遂行がスムーズになる側面もあるため、共通認識を持てるように理解に努めましょう。

ステークホルダーの例

ここまで、ステークホルダーの意味について見てきました。続いては、ステークホルダーの具体例を解説していきます。

前提:直接でも間接でも利害関係があればステークホルダーになる

直接的でも間接的でも、利害関係があればステークホルダーとなります。具体的に、ステークホルダーとなる6つの事例を確認していきましょう。

1.起業家と投資家

起業家は、自らのアイデアやビジネスモデルをもとに新しい事業を開始します。投資家は、起業家の事業アイデアに対して投資し、事業の成功と利益を期待します。起業家が発案した事業が成功することで自らも利益を得ることができるため、事業に関わるステークホルダーに該当します。

また、投資家は起業家の事業に対して直接的な影響を与えることができます。例えば、起業家のアイデアやビジネスモデルに投資するために、市場や顧客ニーズなどを調査して起業家へアドバイスをする――といった具合です。

つまり、起業家と投資家は、事業に関わる直接的なステークホルダーの一部と考えることができます。

2.企業と株主

企業は商品やサービスを提供し、利益を上げるために活動します。株主はそうした企業の株式を保有し、株主総会などで企業の運営に対して発言権を持ちます。彼らは企業が成功することで株価上昇や配当金などの利益を得ることができるため、企業の運営に対して関心を持ちます。つまり、株主は企業経営に関わる直接的なステークホルダーの一部と言えます。

ただし、保有率の兼ね合いで、ほとんどの株主は企業の運営に対して直接的な影響を与えることができません。その点では、間接的なステークホルダーの一部と言うこともできるでしょう。

3.企業と顧客(クライアント・消費者)

企業が利益を出し続けるには、提供する商品やサービスにお金を支払ってくれる消費者の存在が不可欠です。また、企業が自社の都合(強みや指針など)だけでヒット商品を生み出すことはできません。顧客が何を求めているのかを的確に把握し、ニーズに対して適切なサービスや製品を世に送り出すことが必要です。

さらに、近年ではSNSなどを通して、消費者と一緒に商品を作り上げていくような関係性も構築されつつありますコロナ禍やデジタル技術の発展を背景に、クライアントや消費者の価値観・行動も変化してきています。企業からすると顧客は非常に重要なステークホルダーであり、その関係性は今後さらに変化していくかもしれません。

4.企業と従業員

企業から見た利害関係者という意味では、従業員も該当します。企業は従業員から労働力を得て企業活動を行っており、一方の従業員は労働力を提供する代わりに賃金を得るという関係性です。

企業は顧客や株主だけでなく、従業員もステークホルダーとして認識し、行動しなければなりません。従業員を大切に扱うことで、従業員のモチベーションアップやパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。反対に、従業員にひどい対応をしてしまうと、離職や悪評による炎上といったリスクが高まります。また、企業はステークホルダーに対して情報を開示する必要があります。自社での労働状況がどうなっているのかを正しく従業員に開示する義務もあると言えるでしょう。

5.営業部と開発部

利害関係という意味では、社内の部署間においても成立します。

例えば、営業部と開発部が好例です。営業部は顧客と直接コミュニケーションを取り、顧客のニーズを把握します。そして、ヒアリングした顧客のニーズをどのように商品に反映させるのかを考えるのが開発部です。この2つの部署が担う業務範囲は異なりますが、連携し合うことで顧客ニーズを満たした製品やサービスの提供が可能になるでしょう。

このように、同じ企業内でも互いに意識し合い、片方の利益がもう片方にも影響を与える営業部と開発部のような関係は、ステークホルダーとなります。

6.政府と国民

間接的な例として、政府と国民もステークホルダーの関係です。日本は民主主義国家ですので、国民が自らの代表を選出し、その代表者たちが政府を作ります。政府と国民はイコールではありませんが、政府が政策を決定していくには国民の声が非常に不可欠です。国民の声を無視して政策を行えば、政府の運営はうまくいかないでしょう。

国民も、政府の政策に生活が左右されます。税金や年金、給付金など、ありとあらゆる場面で政府が下した決定は国民に影響を与えます。

ステークホルダーという用語の使い方

最後に、実際にステークホルダーという用語がどのような場面で使われるのかについてご紹介します。

事例1:「株主総会でステークホルダーに理解いただく必要がある」

株主総会の際に、担当者に意図を伝えるケースです。株主総会で会社の方向性を理解しもらいたいステークホルダーとは、具体的に株主を指す場合が多いと言えます。

株主総会は、株式会社の最上位に位置する意思決定機関です。企業は株主総会を開くことで、「企業の持ち主」とも言える株主とともに、その企業の根幹に関わる事項や株主の利害に関わる事項について決定していきます。株主が集まり、役員の選定や定款の変更、その他企業にとって重要な事柄が決められるという流れです。

上場している株式会社であれば、経営者といえども重要案件を勝手に判断することはできず、基本的にはステークホルダーの理解が必要なため、よく使われる事例と言えます。

事例2:「この案件のステークホルダーは誰ですか?」

案件の目的や当事者を明らかにする意図で使われるのがこのケースです。この案件に誰が関わっているか分からない場合、利害関係者が不明瞭であると感じた場合などに使われます。最終的な意思決定者は誰なのか、部門ごとの担当者や責任者が誰かを明確にすることで、誰にどういった話を通せば良いかが分かるため、事業やプロジェクトをスムーズに進められるでしょう。

ステークホルダーが分からないまま案件を進めてしまうと、実は事前確認が必要だった責任者(承認者)が後から登場し、それまでの合意形成が覆る恐れもあります。案件の対象者や目的を事前に明確にした上で、ステークホルダーに応じたコミュニケーションが必要と言えるでしょう。

事例3:「ステークホルダー全員に対してメリットがあるように頑張ります」

広い意味で「関係者」を指して使うケースです。ステークホルダーという言葉は企業によってもその捉え方は異なり、使い方は文脈に応じて、受け取った側が適宜考える必要があります。

株主総会でステークホルダーといわれれば株主を指し、融資に関する話であれば金融機関、営業に関する会議では顧客といったように、使われる場で主な対象者が異なります。

その一方で、今回紹介した例のように、広い意味で「関係者」を指す場合もよくあります。「プロジェクトを成功させ社内の関係者にメリットを提示する」「プロジェクト成功により消費者やクライアントに価値提供を行う」といった意味合いが含まれるため、非常に広い範囲の「関係者」をステークホルダーと定義している場合も多いでしょう。

まとめ

ステークホルダーは「利害関係者」を指し、株主総会をはじめ、決算報告や会社内の会議などさまざまな場面で使用される言葉です。明確な定義はなく、使い方・捉え方は文脈や状況によって変わるため、受け取った側が適宜考える必要がある点には注意が必要です。ステークホルダーという言葉を正確に認識しておけば、就活の面接などで急に言われても慌てずに対応できるはずです。社会人になってからもよく聞く言葉ですので、この機会にぜひ意味を理解しておきましょう。

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