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新規事業立案を経験することで学べる「0→1」のプロセスとは?

大学生の皆さんは「新規事業立案」という業務についてご存じでしょうか?名称の通り、既存事業とは別の新しい事業を企画し、立ち上げていくことを意味します。新規事業を立案して実現することには大きなやりがいがある一方で、成功につなげる難易度が非常に高く、実現できるスキルを持った人材もそう多くはありません。アイデア出しや市場調査、社内外での調整など、何度もつまずき、壁にぶつかりながら進めることとなります。そういった過程で得た「ゼロから何かを生み出すこと」、つまり「0→1(ゼロイチ)」のプロセスを経た経験はとても貴重です。 本記事では、新規事業立案で学べることと、「0→1(ゼロイチ)」のプロセスについて解説しています。大学生にとっては馴染みのない内容も含まれますが、これからインターンや就活を始める方にとっては役に立つ内容となっているため、新規事業立案に興味のある方は確認してみてください。


大学生でも新規事業立案に関われる?

ビジネスコンテストが一番の近道

ビジネスコンテストでは、主に新規事業のアイデアを持ち寄って競うことになります。事業化するかしないかにかかわらず、新規事業立案におけるプロセスを一通り経験できるため、新規事業を立案してみたい方にはおすすめです。また、考えたビジネスプランに対する客観的な評価ももらうことができるため、自分のスキルを試す意味でも参加してみるのがよいでしょう。

インターンシップで経験できる可能性あり

インターンシップは学生に社員の業務を経験してもらう目的で実施される制度ですが、大きな裁量を持たせてくれる企業の場合は、インターンを通して新規事業立案に関われるかもしれません。短期のインターンシッププログラムでは新規事業立案をテーマにしたものもあるため、気になる方はぜひ探してみてはいかがでしょうか。

起業に関わることでも経験できる

最近では学生起業もメジャーになり、学業と並行して起業するケースも増えてきました。大学生の場合は社会人に比べてさまざまなリスクを取れることもあり、手堅い事業よりもスタートアップとしてチャレンジする傾向が強まっています。起業に関わることで、新規事業の立案に近い経験ができる可能性もあるでしょう。

新規事業立案で学べること

新規事業を立案するには、市場調査や分析、アイデア創出、全体計画立案、事業構築案策定などのプロセスを計画的に、また各部署と連携しながら進める必要があります。

ルーチンワークと違って答えがない作業であり、また会社にとっての重要性も高く、かなり責任の重い仕事と言えるでしょう。しかし、大変だからこそ新規事業立案を通して学べることも多くあります。

自分のアイデアを実現できる

新規事業の立案を通して、アイデアの実現方法を学ぶことができます。アイデアの実現は新規事業にかかわらず、社会人として働く上で役に立つスキルです。現状を分析し、課題を見つけ、解決への仮説を立て、実際に解決に向けて動いていくという一連のプロセスは、どのような仕事でも求められます。

新規事業立案ではアイデア出しが非常に重要です。「どのような事業を立ち上げるか」はもちろん、市場調査の範囲や方法など、新規事業立案の各フェーズにおいて、アイデアが常に求められます。そして、実現に向けて取り組んでいく中で「アイデアを実現する力」が身に付き、新規事業立ち上げ後にも活用できるはずです。

プレッシャーや逆境に強くなる

新規事業を立案し進めていくことは、会社として非常に重要な工程です。そのため、誰にでも任せられるような仕事ではなく、任された人にとっては大きな期待とともにプレッシャーものしかかります。

新規事業の多くは、市場の変化や新しいニーズに対して企業が乗り出す重要な場面であり、失敗が許されにくい環境でもあります。その上、立案からローンチまでのスピード感も重視されるため、重圧はかなりのものになるでしょう。そういったプレッシャーを乗り越えて新規事業を成功させることで、メンタルも相当に鍛えられるはずです。

③PDCAを回す力が付く

新規事業立案の際は、しっかりとPDCAを回していかなければ成功への道のりが困難になります。「ゼロイチ」でスタートする新規事業の場合、明確な正解もなく、参考になるような実績や数値も多くはないでしょう。そのため、短いスパンでPDCAを回し、何が正解かを自身の力で見定めていくことになります。このようにチェックと改善を繰り返し行っていくことで、PDCAを回す力が身に付きます。

PDCAを回すスキルはすべての業務において有用ですが、こと新規事業においては、非常に高いPDCAの練度を身に付けることが可能です。

コスト感が身に付く

いくら優れたアイデアでも、継続的な利益創出が見込めないと勝算が持てません。そのため、新規事業立案では必ず採算性のシミュレーションを行います。新規事業で毎年稼げる金額、初期投資額、毎年発生するランニングコストや経営リスクなどを考慮し、事業計画を考えていきます。

このような一連の流れを経験することで、優れたコスト感覚が身に付きます。

事業立ち上げならではのスキルが身に付く

新規事業立案を担うと、さまざまなスキルが身に付きます。以下、代表的なものを解説していきます。

事業設計スキル

事業設計スキルとは、事業を組み立て、創造していくスキルです。言葉にすると簡単そうに思えるかもしれませんが、事業設計の要素は多岐に渡ります。新規事業の目的を考え、アイデアを創出し、市場などの情報収集を行い、事業化が可能かを検討し、計画を立案するといったような流れを総合的にこなす役割が求められます。

常に全体を俯瞰しつつこの役割を担っていくことで、事業設計スキルが身に付いていくでしょう。

情報収集スキル

新規事業の立案には情報収集が不可欠です。事業を具体化していけるかどうか、顧客や市場にニーズがあるかなどについて、多角的な情報から検討していきます。情報集収は、正確性とともにスピードが重要。スピード感がないと、優れたアイデアでも他社に先を越されてしまうかもしれないからです。

また、インターネット上の情報だけでなく、「生の声」に重きを置いて活動すると、より価値の高い情報収集が可能になります。ネット情報はすでに周知の事実として広まっており、競合他社との差別化をするにあたって有用な情報ソースとなり得ないことも多いからです。ユーザーインタビューなどを挟んで、ユーザーの課題を解像度高く捉えることも、情報収集段階では必要です。

事業のマネジメントスキル

マネジメントスキルとは、管理する能力のこと。新規事業立案の業務を遂行する中で、事業のマネジメントスキルも身に付きます。

経営者と同じ目線で、ビジョン創設や計画の立案、経営戦略の検討、意思決定といった企業において重要な事項を処理・管理していくスキルを養えるでしょう。

人材のマネジメントスキル

新規事業は企画だけならまだしも、実行にあたっては単独の部署だけで手掛けることはほぼ不可能です。サービスを作るために開発部門と連携したり、そのサービスを売り込む方法を営業部門と検討したりといったように、多くの課題・検討事項に対してそれぞれの専門部署が役割を担い、実務を担っていきます。

社内の関係部署や外部のビジネスパートナーとうまく連携し、成果を示していくためには、個々のメンバーをしっかり管理していく必要があります。そういった進捗管理を行っていくことで、自然と人材のマネジメントスキルが身に付いていきます。

交渉スキル

新規事業立案の際には、社内外で多くの交渉が発生します。社内では、通常業務で手いっぱいの担当者に、いかに新規事業の大切さや今後のビジョンを伝えるかがカギとなってきます。また、社外のステークホルダーに対しては、たとえプレゼンテーションの場であっても、交渉の要素を持たせることで今後の取引に優位な立ち位置を確保できる可能性があります。

社内でも社外でも、新規事業立案を円滑に進めるための行動は、交渉スキルを養うことに役立つでしょう。

使い回せる資料を作成するスキル

新規事業立案では、初めのアイデア出しから実現まで、多くの資料を作成し、さまざまな人に見てもらう機会があります。その際に毎回相手やテーマに合わせて資料を作り直していると、かなりの時間がかかります。

対策として有効なのは、ある程度同じ資料を使い回すこと。もちろん、その場その場において必要な情報が盛り込まれている前提ですが、上手に使い回せる資料を作成できれば、業務効率化を図れるできるでしょう。

セルフモチベートスキル

セルフモチベートスキルとは、自身でモチベーションをコントロールするスキルです。どんな仕事もそうですが、やはり成果を継続的に出すにはモチベーションを保ち続けることが欠かせません

特に新規事業立案は苦労が多く、壁にぶつかることも一度や二度ではないでしょう。しかし、そういった状況でもモチベーションを下げることなく、業務を進めることで成功に近づくことができます。最後までやり遂げたあかつきには、セルフモチベートスキルも大幅に向上していると考えられます。

⑥ゼロイチの経験が自分自身の市場価値を上げる

何もない「ゼロ」から、新規事業という「イチ」を産み出した経験は、自身の市場価値を大きく上げてくれます。社内においては一目置かれる存在となり、仮に転職するとなっても面接でいいアピール材料となるでしょう。

「0→1」のプロセス

「ゼロ」から「イチ」を産み出すのは大変な作業です。続いては、この「ゼロイチ」の具体的なプロセスについて解説していきます。

事業アイデアを出す

事業アイデアは「3C」などのフレームワークを用いて検討するのが一般的です。3Cは、「Company(自社)」「Competitor(競合)」「Customer(市場)」の3つを指す言葉で、事業計画やマーケティング戦略を分析していく際に用いられます。一つずつ見ていきましょう。

自社アセットからの発想

自社アセット(資産)からの発想をさらに細かく落とし込むと、下記のような分析が挙げられます。

  • 自社アセットの洗い出し
  • SWOT分析
  • 顧客データの分析
  • 事業構造をカスタマージャーニー化
  • 自社のバリューチェーン分析
  • 業界のバリューチェーン分析

競合や市場をいくら分析しても、自社がその状況に対応できるかどうかが不確定だと、新規事業を進めてよいか分かりません。

新規事業立案の際はここで挙げた手法を活用し、自社が持つ資産・財産の洗い出しを行ったり、自社の強み・弱みを分析したり、既存ビジネスや事業を分類してみたりすることで、自社のことを深く知ることが大切です。

競合からの発想

競合からの発想には、下記のようなものがあります。

  • 競合企業の事例
  • 海外スタートアップの資金調達状況
  • 国内スタートアップの資金調達状況
  • 国内スタートアップのM&A状況・売出し状況

自社にとっては新規事業であっても、すでに競合がサービスを提供していることもあるでしょう。そのようなとき、競合企業の事例やスタートアップ企業の資金調達状況は非常に参考になります。

競合企業の売上や利益率、市場でのシェアといった結果に加え、結果を産み出してる体制や製造工程といった過程についても可能な限り分析しましょう。

市場からの発想

市場からの発想として挙げられるのは以下です。

  • PEST分析
  • 顧客の課題抽出
  • カスタマージャーニーの分析
  • カオスマップを検索する
  • 関連領域の事業を洗い出す
  • 関連領域のトレンドを調査

新規事業立案は、市場や顧客からの視点で進める必要があります。ニーズはあるのか、顧客が抱える課題は何か、最近のトレンドは何か、といった点について調べましょう。

アイデアの絞り込み

事業アイデアをいくつか出したら、その中で絞り込みをします。絞り込みの過程を確認しておきましょう。

絞り込み条件を明文化する

まずは条件を明文化します。下記の観点から、可能な限り数値化できる条件を設定しましょう。

  • スケーラビリティ
  • 社内の実行力(ケイパビリティ)
  • アセットの活用
  • 競合性

なお、自社の実力に見合わないものにすると、事業判断を誤ってしまうリスクがあります。しっかりと検討してから条件を決める必要があります。

絞り込み条件をもとにアイデアを詳細化する

続いて、絞り込み条件をもとにアイデアを詳細化していきます。意思決定マトリクスなどのフレームワークを活用するとよいでしょう。

アイデアの深堀り

ある程度詳細化された後は、事業検証に向けてアイデアの深掘りを行っていきます。手法としては、リーンキャンパスの作成や競合分析が有効です。

リーンキャンパスを作成する

リーンキャンパスとは、顧客セグメントや課題、コスト構造といった9つの項目からビジネスモデルを可視化するためのフレームワークです。リーンキャンパスの作成により、スピード感を持ちながら顧客の真の課題を可視化できたり、メンバー間で目線を合わせやすくなったりします。

競合分析をして参入領域を具体化

分析手法としては、4P分析やSTP分析が一般的な手法です。

4P分析の4Pは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」を指します。4Pは企業側の視点から、どのような商品を、いくらで、どこで、どのように販売するのかを検討していくフレームワークです。

STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字から名づけられた分析方法です。セグメンテーションで市場の全体像を認識し、ターゲティングで狙う市場を特定し、ポジショニングで競合相手との位置関係を決めるという流れで進めます。

事業検証をする

さまざまな角度からアイデアを分析・整理した後は、いよいよ事業検証のステージです。「夢物語」にならないよう、地に足をつけた現実的な検証を行います。

1.仮説構築

壮大な構想があっても、求めている顧客がいなければ意味がありません。ここまでで出されたアイデアをもとに仮説を立て、ユーザーインタビューを行いましょう。具体的な顧客を仮定し、事業内容についてインタビューしながらビジネスモデルを仮設的に構築していきます。

2.検証方法の検討

仮設を構築していくと、さまざま課題が出てくるはずです。その場合は、課題の解決方法が合っているか検証する必要があります。的外れな解決方法の場合、事業を具体化していく際に方向性を見誤ってしまうので注意が必要です。

課題の本質を捉え、問題点を明確にしたうえで検討していきましょう。

3.検証の実行

試行錯誤を繰り返し、いよいよ事業を開始――という状況でも、一度に本格的に展開するのはリスクが大きい場合もあります。その際に活用できるのがMVPです。MVPは「Minimum Viable Product」の略称で、日本語に訳すと「実用最小限の製品」という意味です。

まずは小さくビジネス検証を行い、丁寧に顧客の意見や反応に向き合っていくことで、よりよいサービスを産み出していこうというプロセスを指します。

4.考察

ここまでの一連の流れをまとめ、「ユーザーを獲得できるか」「企業として生き残れるか」「先々の事業環境はどうなるのか」など、事業検証を振り返ります。

もちろん、新規事業は100%想定通りにはなかなかいかないことが普通です。とはいえ、企業としての大きなプロジェクトなので、可能な限り不安要素を取り除き、継続して利益を生み出せる事業計画を策定していきましょう。

まとめ

「ゼロイチ」のプロセスで経験したことは、社会人生活の中で大いに役立ちます。新規事業立案経験者ということで、社内でも一目置かれる存在になるはずです。学生の間に新規事業に関われる機会は少ないですが、これから社会人になる方はもちろん、まだ就活まで時間的余裕があるという方も、この記事の内容を参考にチャレンジしてみてください。

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