面接において、必ずと言っていいほど聞かれるのが、「ガクチカ」(学生時代に力を入れて取り組んだこと)に関する質問。面接官はこのガクチカに対する回答からあなたのパーソナリティーについて知るため、ガクチカで何を話すかは非常に重要です。
少し前までは海外留学・旅行やボランティア、アルバイトなどの経験をガクチカのエピソードとして話す学生が多くいましたが、コロナの影響もあり、ガクチカのエピソードに困っている学生が少なくないようです。「大学時代に頑張ったことなんて特にない」「就活で話せる経験なんてしてない」などと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、ガクチカのエピソードの大小で採用・不採用が決まるわけではありません。人事が重視するのは、人柄や行動原理、価値観などであり、誰もが驚くようなエピソードである必要はないのです。
そこで今回は、「部活・サークル」はガクチカのテーマに有効なのか、についてご紹介します。
「ガクチカ」でサークル・部活のアピールは有効?
自身のスキルやマインドを伝えるのに効果的
結論から言うと、ガクチカでサークルや部活動の話をするのは有効です。
企業にとっては、ガクチカにおける「なぜ力を入れたか」「どういった学びや成長があったか」という点について、仕事においても再現性を持って発揮してくれるかを重要視しています。
サークルや部活は組織であり、自身の楽しみや成長だけでなく、組織として良い方向に向かうことを見据えて活動を行います。企業もまた組織であるため、ガクチカでそのような活動ができるスキルやマインドを持っていることを伝えるのは非常に効果的です。
一方で、ただ部活やサークルに所属していたことをアピールしても差別化になりません。以下で紹介することが、あなたの経験に当てはまっているか確認しましょう。
「所属していただけ」では有効ではない
部活やサークルに入っているとはいえ、ただ所属していただけでは何のアピールにもなりません。大学は高校と違って、部活やサークルでも自主性が重視されます。そのため、練習や活動に参加せず、“幽霊部員”のような学生も珍しくありません。
そのような人はガクチカで話せるエピソードがないので、面接で話しても好印象を与えることはできないでしょう。「所属していただけ」という方は、他の経験をガクチカのテーマにすることをおすすめします。
実績があると有効度が高くなる
エピソードの大小は重視されないと述べましたが、大会で結果を残した実績などがあればもちろん有利に働くでしょう。たとえば「全国大会で優勝した」「創部以来初となる関東大会の出場を果たした」などです。自慢気に語るのは考えものですが、実績を残せたのはあなたの努力や頑張り、工夫があったからこそ。特に以下の2点に当てはまるのであれば、しっかりと語るべきです。
- 大会出場経験
- 大規模サークルの運営経験
大会出場経験
全国大会や関東大会など、上位の大会に出場した経験があれば、しっかりとアピールしましょう。生半端な覚悟や練習では、大会で結果を出すことは難しいもの。つまり、大会に出場した経験というのは、それだけあなたが努力してきた証明になります。
大規模サークルの運営経験
大規模サークルの運営経験も、立派な実績になります。人数が増えれば増えるほど、組織をまとめるのは困難になります。つまりサークルといえど、大規模な組織をまとめた経験は会社でも重宝されるわけです。
強いリーダーシップを持っている学生は多くないので、希少性が上がり、他の学生と差別化を図ることができます。大規模サークルの運営経験がある方は、しっかりとアピールしましょう。
部活・サークルで重要なポジションなら有利になる可能性も
部活・サークルで、キャプテンや代表などの重要なポジションに就いているのであれば、有利になる可能性があります。キャプテンや代表は、部活の目標や目的を決め、積極的に行動をする必要がある役割です。つまり、仕事においても大切な「主体性」を身に付けることができると考えられます。
また、メンバーをまとめ率先して行動する力や、メンバーとの関係を構築し、組織を円滑に動かす能力などが身に付きます。これは「リーダーシップ」という点で、非常にポイントが高いでしょう。もしあなたが重要なポジションについているのであれば、ガクチカではその経験について語りましょう。
所属団体で「何を考えて行動したか」が重要
ここまで読んで「大会の実績なんてないし、重要なポジションにも就いていない……」と困った方も少なくないと思います。しかし安心してください。ガクチカを語る上で大切なのは、「何を考えて行動したか」です。
印象的な実績などがなくても、あなたなりにどのようにサークルや部活動に取り組んでいたのかを伝えましょう。工夫次第で面接官を唸らせるようなガクチカを作成することは可能です。以下、部活・サークルでのガクチカの書き方について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
部活動・サークルのエピソード作成手順
「部活動・サークル」についてのガクチカ作成手順を見ていきましょう。「面倒くさい」と思うかもしれませんが、文章などを書く上で大切なのは構成です。ここで手を抜いてしまうと、面接官に響くガクチカにならないので、ぜひ時間をかけて取り組んでみてください。
作成手順
- 所属したことのある団体をすべて洗い出す
- それぞれの団体に所属した目的を書き出す
- 目的を達成するまでの流れをエピソード化する
- エピソードの肉付けを行う
1.所属したことのある団体をすべて洗い出す
まずは、大学時代に所属したことのある団体をすべて洗い出しましょう。
- フットサルサークル
- 英会話サークル
- 学生国際交流団体
上記の例のように、あなたが所属していた部活やサークルを書き出してみましょう。
2.それぞれの団体に所属した目的を書き出す
次に、それぞれの団体に所属した目的を書き出してください。ここでは「英会話サークル」を例に紹介します。英会話サークルの場合であれば、以下のような目的が挙げられるでしょう。
- 大学を卒業するまでに日常会話レベルの英語をマスターする
- 希望の就職先から内定をもらうためにTOEICで900点を獲得する
- 将来海外で働くために、ネイティブレベルで話せるようになる
当然、「なんとなく」や「友達がいたから」といった理由では、ガクチカを書くことはできません。その場合であれば、入った後に決めた目標や目的でも良いでしょう。
3.目的を達成するまでの流れをエピソード化する
サークルで過ごした時間を振り返りながら、あなたがどんな努力をしてきたのか、どんな工夫をしてきたのか、どんな挫折を味わったのかなど、ストーリーを盛り上げるエピソードを書き出します。
「大学を卒業するまでに日常会話レベルの英語をマスターする」を例にします。
- 毎日、通学中の電車で英単語を聞いていた
- 6カ月の海外留学に行き、現地で友達をたくさん作った
- 英語力がまったく伸びなくて、部活を1カ月も休んでしまった
- ネイティブな英語に触れるために外国人が住んでるシェアハウスで暮らした
- 英語力を確かめるためにスピーチコンテストに参加した
- 留学先で日本人ばかりと生活してしまい、英語力が伸びなかった
このように、あなたが目的を達成するまでにやったことや、挫折した経験を箇条書きしましょう。箇条書きが終わったら、エピソードをまとめる必要があります。その際は「STAR法」の利用がおすすめです。
STAR法とは
- Situation(エピソードの概要)
- Target&Task(課題や掲げた目標)
- Action(目標達成に向けてとった行動)
- Result(成果)
上記の4つの頭文字をとったものが「STAR法」です。この順番でエピソードを話すことにより、論理的かつ明確に文章を展開することができます。長くなってしまうので詳細は割愛しますが、ガクチカを書く際はぜひ参考にしてみてください。
4.エピソードの肉付けを行う
箇条書きが終わったらエピソードの肉付けを行います。当然、すべてエピソードを盛り込んでしまうと、冗長になってしまい、面接官に飽きられてしまいます。以下のことを意識しながら肉付けしてみてください。
- 活動の中で特に印象的だった出来事
- 挫折をどうやって乗り越えたか
- 学んだこと、成長したこと
- 周囲の人をどのように巻き込んだか
活動の中で特に印象的だった出来事
活動の中で印象的だった出来事を書きましょう。特に目標や目的の達成に近づくキッカケとなったエピソードなどを伝えるのが効果的です。
挫折をどうやって乗り越えたか
ガクチカを書く際には、挫折をどうやって乗り越えたかを伝えましょう。なぜなら、面接官がガクチカで見ているのは、「困難に対しどのように対処してきたか」という部分だからです。
社会に出て働けば、たくさんの困難や挫折が待っています。そういった仕事での挫折や困難を自身の力で乗り越えられる人材は、企業に利益をもたらす可能性が高いため、学生時代にぶつかった困難をあなたがどのように乗り越えたかを企業はチェックします。
学んだこと、成長したこと
目的を達成するまでに学んだこと、成長したことの深堀りをしましょう。「エピソードの大小はあまり重要でない」といった理由はここにあります。どれだけ素晴らしい目標を達成しても、そこに学びや成長がなければ意味がありません。
企業側が見ているのは、「目標に対してどのように行動し、どのような失敗を経て、何を学んだのか」です。その経験から会社でどんな活躍をしてくれるのかを判断します。真剣に部活やサークルに取り組んでいれば、絶対に学んだことや成長した部分はあるはずです。しっかりとアピールしましょう。
周囲の人をどのように巻き込んだか
ガクチカでは「個人で努力した経験」ももちろん重要です。しかし「チーム・組織においてどのように行動したのか」という観点も評価ポイントになる場合が多いため、周囲の人との関係性や「どのように巻き込んだか」を伝えましょう。
例えば、「一人ひとりに話を聞いて、サークルへの参加率を50%から80%に上げた」などです。「あなたの取り組みが周囲に対しどのような影響を与えたのか」をしっかりとアピールすることで、組織の中でも積極的に動ける人材として見てもらえるでしょう。
エピソードを効果的にアピールするコツ
ここからは、エピソードをさらに効果的にアピールするコツについて解説します。
実績はできるだけ詳細・具体的に話す
実績に関しては、できるだけ詳細・具体的に話しましょう。ポイントは「定量的に伝えること」です。
- 500点だったTOEICの点数を1年で900点に上げた
- 部活で関東大会3位になった
- サークルの新入生加入率を前年より30%上げた
- 4年間でボランティアに50回参加した
「TOEICの点数を上げた」「サークルの参加率を上げた」のような抽象的な実績では、凄さが伝わりません。実績を伝える際には、できるだけ具体的に伝えましょう。
どれだけ情熱を持って取り組んだかを伝える
あなたが部活やサークルにどれだけ情熱を持って取り組んだか、しっかりと感情を込めて伝えましょう。ハキハキして聞き取りやすい声、抑揚のあるトーン、身振り手振りなど、感情を伝える方法はさまざまです。
面接では「何を伝えるか」も大事ですが、「どのように伝えるか」も同じぐらい大切です。あなたがどれだけ真剣だったかを、たくさんの熱量で伝えましょう。
周囲に対する「巻き込み力」をアピールする
先ほども述べましたが、「あなたの行動が周囲にどのような影響を与えたのか」をアピールすることも大切です。なぜなら企業も組織であり、人との関わりなくしては仕事ができないからです。巻き込み力をアピールすることで、協調性や信頼構築能力などが備わっていることを伝えられます。
経験が社会人になってどう活かせるか伝える
あなたの経験が「社会人になってどのように活かせるか」を伝えましょう。いくら素晴らしい経験や学びがあっても、自己完結で終わってしまえば価値がありません。その後にどうやって活かすか、ということが重要なのです。
例えば、「困難な仕事を任されても、持ち前の巻き込み力でチーム一丸となって業務を遂行できます」といったように、ガクチカで伝えた内容から、どのように業務に活かすことができるかまで話せると良いでしょう。
まとめ
今回は「ガクチカ(学生時代に力を入れて取り組んだこと)で部活・サークルを題材にするのは有効なのか」というテーマのもと、エピソードの作成手順やアピールするコツについてご紹介しました。コロナの影響で部活やサークルでの活動が減り、アピールする材料がないと悩んでいる方も多いかもしれません。
しかし、何か一つでも夢中に取り組んできたものがあるなら、それは立派な「ガクチカ」になります。自分の中では「大したことない」と思っていることでも、他人からすれば素晴らしい経験かもしれません。あなたが学生時代に行動してきたことを振り返り、しっかりと面接官にアピールしましょう。
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