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上場企業とは?就活で選ぶメリット、非上場企業との違い


大学生活の中で、多くの方が「上場企業」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。就職活動を控えた学生のみなさんにとっては、「上場企業を目指すか、非上場企業を目指すか」は、大きな選択の一つとなります。

しかし、実際に上場企業とはどのような企業なのか、非上場企業とはどこが違うのか、その特徴や就職した場合のメリット・デメリットはなんなのか――。これらの疑問に対して、明確に答えられるという方は意外と少ないのではないでしょうか。

今回の記事では、上場企業と非上場企業の違い、そして就職活動で上場企業を選ぶ際のメリットについて、わかりやすくご紹介します。これからの就職活動に向けて、ぜひ参考にしてみてください。

上場企業とは?

上場企業の定義

上場企業と聞いて、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。上場企業とは、証券取引所にその企業の株式が公開され、一般の投資家が取引できる状態の企業のこと。具体的には、東京証券取引所などの公認の取引所で、自社株を自由に売買できる企業を意味します。上場するためには、証券取引所が定めるさまざまな基準をクリアしなければなりません。

日本の株式市場における上場企業は、取引所や取引市場によって異なる分類や定義が存在します。東京証券取引所においては、上場企業をいくつかのカテゴリに分類しているので覚えておきましょう。以下、主な分類とその定義について解説します。

プライム

大手企業が主に上場する市場で、従来の「1部上場企業」が該当します。上場基準が他のカテゴリよりも非常に厳しいのが特徴です。この市場に上場すると国内外の機関投資家や個人投資家からの信頼が得やすく、資金調達や企業のブランド価値向上につながると言われています。

スタンダード

中堅企業が主に上場する市場で、従来の「2部上場企業」が該当します。プライムに比べて上場基準は緩やかですが、それでも一定の経済的規模や健全性が求められます。スタンダード市場には今後の成長が期待される企業が多いため、投資家からの注目度も高いと言われています。

グロース

成長が期待されるベンチャー企業やスタートアップが主に上場する市場で、従来の「マザーズ」や「JASDAQ」の一部が該当します。上場基準はプライムやスタンダードよりも緩やかで、成長を続けるための資金調達を目的とする企業が多いです。そのため、「リスクは高いものの大きなリターンが期待される投資先」として注目されています。

上場企業の特徴

上場企業には、非上場企業と異なり情報開示の義務があります。証券取引所のルールに従い、定期的に財務諸表や経営方針などの情報を公開しなければなりません。これにより、株主や投資家は企業の健全性や将来性を判断する材料を手にすることができます。

また、上場企業は多くの場合規模が大きく、多くの従業員を抱えています。ただしこれは全上場企業に当てはまるわけではないので、注意が必要です。また、そうした規模の大きな上場企業は多くのステークホルダーと取引関係を持っているため、大量の株主、顧客、パートナー、消費者などとの関係を維持・管理する必要があります。

なぜ企業は上場するのか?

多くの企業が上場を目指す背景には、さまざまな理由があります。まず、資金調達の観点から考えると、上場することで大きな資金を市場から集めることができます。これにより、新しい事業展開や設備投資、研究開発などに必要なコストを確保しやすくなります。

また、上場には企業のブランド価値を向上させる効果もあります。上場企業というステータスは、取引先や消費者に対して信頼性を高める要因となり得ます。さらに、従業員のモチベーション向上や人材確保という側面からも、上場は有益と言えるでしょう。

上場のメリットとデメリット

メリットとしては、先ほど触れた資金調達面やブランド価値向上の他、優秀な人材の獲得、従業員のモチベーション向上などが挙げられます。また、上場することで企業経営の透明性が増すことから、投資家や取引先からの信頼を得やすくなるのもメリットです。

一方のデメリットは、情報開示の義務が生じることから、経営情報を公開しなければならないという制約があることです。これにより、企業の秘密情報を競合他社などに知られるリスクも増します。さらに、株価の変動に左右されやすい経営となるため、短期的な利益を追求せざるを得なくなることも考えられます。

上場企業=大手企業ではない

「上場企業=大手企業」という先入観を持っている方も少なくないでしょう。しかし、実際にはそのような単純な関係ではありません。上場企業と大手企業の違いや、その背後にある理由について詳しく解説します。

まず、大手企業とはどういう企業を指すのでしょうか。一般的には、業界内での売上高や従業員数が多い、またはその業界を代表するような企業を「大手」と称します。安定した経営基盤や豊富な資源、広範なネットワークを有していることが多いと言えます。

一方の上場企業は、証券取引所に株式を公開している企業を指します。これには、売上高や従業員数が少ない中小企業も含まれる場合があります。上場の主な目的は資金調達ですが、それだけが理由ではありません。ブランドの向上や人材確保の点でも、上場は有効だからです。

ここで大切なのは、「上場というステータスが、その企業の業界内での地位や規模を示すものではない」ということです。実際には、非上場でありながら業界トップの企業も存在しますし、逆に上場していても業界内では中堅のポジション、という企業も少なくありません。

非上場企業とは

非上場企業の定義

非上場企業とは文字通り、証券取引所に株式を公開していない企業のことです。上場企業が公に株式を取引するために多くの情報開示義務を負っているのに対し、非上場企業はそのような義務や規定が緩やかです。

非上場のため、株式の売買は一般的な市場では行われません。その代わり、企業内部や特定の投資家間での取引が主となります。

非上場企業の特徴

非上場企業は証券取引所に株式を公開していないため、情報開示に関するルールのハードルが上場企業ほど高くありません。これは、企業秘密を守りやすいというメリットがある一方、投資家や取引先からの信用を得るのが難しくなるデメリットもあります。

株主からのプレッシャーが少ないことから、経営方針の転換や新しい事業の試みといったリスクを伴う判断もしやすくなります。そのため、より長期的な視点での経営が可能です。また、非上場企業の中には家族経営の会社や長い歴史を持つ企業も多くあります。そういった企業は、経営の安定性や社内の結束力が強いことも特徴です。

上場企業のように公開市場での資金調達は難しいため、新しい事業展開や大規模な投資を行う際には、その資金調達の方法を工夫する必要があります。

上場しない理由

上場すると、多くの株主の意向を考慮しなければならなくなります。非上場であれば、経営方針の転換や事業展開を、より柔軟に行うことができます。また、上場企業には多くの情報開示義務があり、これを実行するには手間とコストがかかります。非上場であれば、これを避けることが可能です。

長い歴史を持つ企業や家族経営の企業は、その文化や価値観を大切にしています。上場すると、外部のプレッシャーによってこれらが変わってしまう恐れもあるため、それらを守る意味合いで非上場を選択するケースもあります。

非上場のメリットとデメリット

前述の内容と重複しますが、上場しないことで定期的な報告義務や決算発表の手間やそれにかかるコストが省けるのは大きなメリットです。そして、株主からの短期的な利益追求のプレッシャーが少ないため、長期的な視点での経営がしやすくなります。外部の影響を受けにくいことから、独自の企業文化や価値観を守りやすいのも利点です。

デメリットとしては、資金調達の難しさが挙げられます。公開市場での資金調達が難しく、資本の拡大や新規事業の展開に制約が出ることもあります。そして、上場企業に比べると一般の認知度が低いため、採用活動などでのアピールが難しくなることもあるでしょう。情報開示が少なく、取引先や金融機関からの信用を得るのが難しいケースも考えられます。

非上場企業でも優良・大手企業は存在する

一部の方は「非上場=小規模」「非上場=知名度が低い」と考えているかもしれません。しかし、非上場企業の中には、その魅力や事業内容で業界をリードしている企業もたくさん存在します。

まず、非上場企業に該当する大手企業は、特定の業界や分野で専門性を持っていることが多いと言えます。そのため、業界内での地位や信頼性は非常に高く、多くの取引先から厚い信頼を受けています。

また、非上場であることのメリットを活かし、独自の経営方針や事業戦略を柔軟に進めることができます。これにより時代の変化や市場のニーズに迅速に対応し、独自の価値を提供できるのです。

非上場企業の中には長い歴史を持ち、創業家の理念や企業文化を大切にしている企業も少なくありません。これらの企業は、その歴史や伝統を背景に、安定した経営を続けています。従業員一人ひとりが家族のように結束しており、働きやすい環境を作り出しています。

もちろん、非上場企業の中には従業員規模が小さく、知名度が低い企業も多く存在します。しかし、そのような規模感や知名度でも特定のニーズに特化したサービスや商品を提供し、独自の地位を築いている企業は多くあります。

就職活動で上場企業を選ぶメリット

企業規模が大きい

みなさんがよく名前を耳にする企業は、多くが上場企業ではないでしょうか。上場企業は一般的に、その規模が大きいことが知られています。大手企業の多くが株式市場に上場しており、それはその企業が一定の規模や信頼性を持っているからです。

企業規模が大きいメリットとして、安定した経営基盤を持っていることが挙げられます。大きな企業は多くの事業を手がけているため、一部の事業が不調でも他でカバーすることが可能。この点から、労働者の視点では「長期的なキャリアを築くための土壌が整っている」と言えます。

財務状況が安定している

上場企業のもう一つの特徴は、財務状況が比較的安定していることです。上場するには、証券取引所の厳しい基準をクリアする必要があります。この基準には、企業の財務状態や経営状態などが含まれており、これを満たせる企業は、しっかりとした経営をしていると言い換えられます。

安定した財務状況は、給与の支払いや福利厚生の提供など、社員にとっても大きなメリットとなります。また、経営が安定している企業は、新しい事業展開や研究開発にも投資しやすく、その結果として新しいチャレンジをする機会も増えるでしょう。

社会的信用が高い

上場企業に対して、社会的な安心感が高いイメージを持っている方が多いかと思います。実際、上場企業は証券取引所の定めるさまざまな基準をクリアしており、それが社会的信用の根拠となっています。

上場企業は、定期的に財務状況や業績を公表することが義務づけられています。これにより企業の透明性が高まるとともに、多くのステークホルダー(取引先や消費者、投資家など)から信用を獲得しています。この信用は、ビジネスの場での取引や交渉においても大きな強みとなり、上場企業に勤務しているとローンの審査が通りやすくなるなどのメリットもあります。

社内体制が整備されている

上場を果たすには、企業の経営や体制、組織の透明性といった多くの要件を満たさなければなりません。その結果として、上場企業の多くでは社内体制がしっかりと整備されています。

具体的には、研修制度が充実していたり、人事評価や昇進の基準が明確であったりします。これにより、新卒入社の社員でも、自分のキャリアパスを描きやすくなるでしょう。また、企業のビジョンや方針が明確に伝えられるため、働くうえでのモチベーションアップにもつながります。

福利厚生が充実している

福利厚生が非常に充実している企業も多くあります。賞与はもちろん、健康保険や厚生年金、福利厚生施設の利用、子育て支援、研修制度など、従業員を支えるためのさまざまな制度や施設が用意されています。

特に新卒の方々が初めて社会人としての生活をスタートする際、安定した待遇や福利厚生は非常に心強いもの。大学生のみなさんも、将来のライフプランを考えたとき、結婚や子育て、さらには老後までの生活を想像すると、福利厚生の充実度は重要な選考基準になるでしょう。

例外ケースもあるためよく調べることが大切

上記のようなメリットを持つ上場企業ですが、もちろんすべての上場企業が同じというわけではありません。実際には、業界や企業の文化、経営方針によって、福利厚生の手厚さや社内体制が異なることも多くあります。

また、一般的に上場企業というと大手というイメージがありますが、実は中小規模の上場企業もたくさん存在します。これらの企業には、大手とは異なる魅力があるかもしれません。

就職活動を行う際は企業のブランドだけで判断せず、しっかりと企業の情報を収集し、自分の価値観や将来のキャリアビジョンと照らし合わせることが大切です。

まとめ

ここまで、上場企業と非上場企業の特徴や、就職活動で上場企業を選ぶ際のメリットについて解説しました。「どちらがよい」ということではなく、自身の価値観やキャリアビジョンに合致した企業を選ぶことがなによりも大切です。

上場企業には企業規模の大きさや財務状況の安定性、社会的信用などのメリットがありますが、例外も存在します。その一方で、非上場企業にも独自の魅力や働きがいを感じるポイントがたくさんあります。この記事を手がかりに、就職活動における自身の指針や軸をしっかり検討してみてください。

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