新規事業を立案する際に「うまく考えや思考がまとまらず、なかなか先に進めない」と悩まれる方は多いようです。ビジネス環境が目まぐるしく変化する中で、スピード感を持って新規事業に取り組むことは不可欠ですが、そのようなスキルは日常生活でなかなか身につきません。今回はそうした悩みを抱えている方向けに、新規事業のフレームワークが学べる本を4冊、新規事業のビジネスモデルが学べる本を5冊ご紹介します。新規事業の立案時に必要な知識や考え方、思考のスピードが格段に上がるフレームワークを本から学びましょう。
新規事業でフレームワークやビジネスモデルが必要な理由
まず本の紹介をする前に、そもそもなぜ新規事業でフレームワークやビジネスモデルが必要になるのか、その理由を説明します。
思考を整理すればスピードが上がる
新規事業で最も大切なのは、スピード感とマーケット分析の正確性です。もともとある程度のパターンが決まっているフレームワークに、それぞれ要素を当てはめていくだけで分析結果を導き出すことができるため、非常に効果的であると注目されています。フレームワークを活用すれば、ブレのないアウトプットを行えるようになり、思考の時間が短縮。スピードが格段に上がります。その結果、事業計画にかける時間と労力を抑えられ、同業他社よりも先に事業を開始することができるようになるでしょう。
メンバー間の共通認識をつくる
新規事業を立案するにあたって、すべて一人で完結することは少なく、上司や部下、取引先など、さまざまな人と関わりながら事業を進めていくことになるでしょう。このように一つの課題に対して複数のメンバーが関わると、どうしても認識の差が生じます。その際に活用できるのがフレームワークです。その事業が何を目標とするか、どう課題解決につながるのかなど、フレームワークで共通認識を設け、事業全体の方向性や行動計画の軸を作成します。事業が目指す先を、メンバー全員が共通認識として把握できるため、認識の違いを減らして、より円滑に事業推進ができるようになります。
フレームワークの使い方
ここからは習得したフレームワークの効果的な使い方について紹介します。
フレームワークは目的によって使い分ける
利点の多いフレームワークですが、効果を最大化させるためには、目的に合わせて使い分けることが大切です。例えばフレームワークには、一部の層を見逃していないかを確認するためのMECE(ミーシー)や、一つの事象・問題点を複数の要因・要素に分解していくロジックツリーなど、さまざまな種類があります。一見似たようなフレームワークに感じますが、きちんと目的に合わせて使い分けなければ、思考がまとまらず、事業が間違った方向へ進んでいくことがあります。そうならないためには、目的に適したフレームワークを活用することが大切です。
覚えるのではなく使いこなせるようになる
フレームワークは非常に多くのパターンがあり、それらすべてを覚えることは困難です。つまるところ、フレームワークは活用することが目的ではなく、その先の成果を創出するために存在します。あくまで「手段の一つ」であることを忘れず、臨機応変に最適なフレームワークを選択できるよう、使い方を知っておく程度で構いません。フレームワークはあくまでも思考を補助するものであり、その都度見返すというよりは、業務で繰り返しフレームワークを活用し、身につけることを目指しましょう。
新規事業の実務で使えるフレームワークが学べる本
ここからは新規事業の実務で使えるフレームワークが学べる本を4冊紹介します。
①ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70
1冊目は「ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70」です。
こちらはアイデアの出し方が図解テンプレートで分かりやすく解説されていて、チームでの実践にも使いやすい一冊です。ポイントは、70もあるすべてのフレームワークに記入例があることです。PowerPointテンプレートも掲載されているため、イメージしやすく、すぐに実践で活用できるでしょう。また、考えが詰まったり、フレームワークを正しく活用できているか不安になったりした方向けに、チェックポイント項目も用意されています。この一冊を持っていれば、変化の激しい社会に対応するための、思考スピードを速める手助けをしてくれます。
②思考法図鑑 ひらめきを生む問題解決・アイデア発想のアプローチ60
2冊目は「思考法図鑑 ひらめきを生む問題解決・アイデア発想のアプローチ60」です。
こちらは1冊目で紹介した「ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70」の著者による、考え方の「引き出し」を増やす思考法を解説した一冊です。こちらも1冊目同様に、個人はもちろんチームでも活用でき、PowerPointテンプレートの記載があることで、すぐに実践で活用できます。こちらは特に考え方の「引き出し」に重点を置いています。例えば論理的思考、デザイン思考、水平思考、図解思考など比較的簡単な思考法から難解なものまで、図解テンプレートで分かりやすく解説しています。1冊目の「ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70」と一緒に持っておき、辞書的に使うことで思考スピードが格段に上がるでしょう。もともとフレームワークを熟知している人は振り返りに、初心者は基礎から学べるおすすめの一冊です。
③ひらめきとアイデアがあふれ出す ビジネスフレームワーク実践ブック
3冊目は「ひらめきとアイデアがあふれ出す ビジネスフレームワーク実践ブック」です。
こちらはフレームワークの基本形にとどまらず、カスタマイズして新しい型を生み出すといった実践的な使い方にも踏み込んでいる一冊です。フレームワークの学習を進めていると、どうしても「型を埋めるだけ」になりがちです。しかし、それではせっかくの発想や思考が阻害されてしまう可能性があります。そこで当書では、Chapter1:知る─フレームワークは思考の「型」、Chapter2:守る─「型」通りに考えてみる、Chapter3:破る─「型」をカスタマイズする、Chapter4:離れる─新しい「型」を編み出す、の4つのステップでフレームワークのカスタマイズを目指します。最終的には自己流のフレームワークを習得して、企画立案や問題解決、業務改善などさまざまな場面で活かすことを目指す一冊です。
④マッキンゼーで叩き込まれた 超速フレームワーク 仕事のスピードと質を上げる最強ツール
4冊目は「マッキンゼーで叩き込まれた 超速フレームワーク 仕事のスピードと質を上げる最強ツール」です。
こちらはマッキンゼー出身の著者が、実際に使用していたフレームワークを厳選して紹介する一冊です。一見、非常に難しそうに感じますが、中身は初心者でも分かりやすい内容になっています。フレームワークはただ暗記するだけでは役に立ちません。実践で活用し、自分が本当に必要とするフレームワークを見つけることが何よりも求められます。そのために、この本では①分析・検証の精度が上がる②意思決定が迅速になる③論理的に伝えられるようになるという3つのステップを通じて、飛躍的な仕事のスピードと質の向上を目指します。事業立案だけでなく、普段の仕事から活用できるような、実践に特化したフレームワークを身につけられるのが最大の魅力です。
新規事業のビジネスモデルが学べる本
ここからは新規事業のビジネスモデルが学べる本を5冊ご紹介します。
①ビジネスモデル2.0図鑑
1冊目は「ビジネスモデル2.0図鑑」です。
こちらは100のビジネスモデルを図説で分かりやすく紹介している初心者向けの一冊です。会社員からクリエーター、学生、経営者まで幅広い層から支持されています。世界的な企業であるAmazon GOや日本のサイゼリヤ、ポプテピピックなど、多種多様なビジネスモデルを紹介し、なぜ成功しているのかといった視点から考察しています。また、自分でビジネスモデルがつくれるツールキットも付いており、新しいビジネスを考えるのはもちろん、自社と比較したり、就職活動の企業研究に使ったりと幅広く活用できるでしょう。事業を始める人も、そうでない人も、一冊持っておくことをおすすめします。
②この一冊で全部わかる ビジネスモデル 基本・成功パターン・作り方が一気に学べる
2冊目は「この一冊で全部わかる ビジネスモデル 基本・成功パターン・作り方が一気に学べる」です。
こちらは「基礎知識」「63の成功パターン」、そして「ビジネスモデルの作り方」まで、基礎から実践について網羅的に記述されており、ビジネスモデルのほとんどが学べる一冊です。時代が変わろうと、技術が進歩しようと、稼げる企業が持つビジネスモデルの本質は変わりません。そうしたビジネスモデルの本質を学習することで、自身の事業立案やマーケティングに活用できます。ビジネスの企画やアイデアを探している人はもちろん、他社の成功の秘密を解明したい人、また社会やビジネスに対する知見を広げスキルアップしたい人に、特におすすめしたい一冊です。
③事業計画に落とせるビジネスモデルキャンバスの書き方
3冊目は「事業計画に落とせるビジネスモデルキャンバスの書き方」です。
こちらは「ビジネスモデルキャンバス」を活用してビジネスモデルを考える方法、そして生み出したビジネスモデルをどう事業計画書に落とし込むかをていねいに解説している一冊です。本書によると新規事業創造のプロセスは①事業構想②ビジネスモデルの設計③事業計画書の作成④投資の意思決定の4つから成り立ちます。中でも特に重要な①事業構想②ビジネスモデルの設計③事業計画書の作成ついて、どういった考え方で、どのように進めればいいのかを重点的に解説していることがポイントです。また、読者特典として実在企業のビジネスモデルをもとに、ビジネスモデルキャンバスも掲載されています。最後まで読めば、ビジネスモデルキャンバスを活用してビジネスモデルを設計し、新規事業を加速させ、予算獲得を達成できるようになるでしょう。
④ゼロからつくるビジネスモデル
4冊目は「ゼロからつくるビジネスモデル」です。
こちらは日本のビジネスモデル研究の第一人者が、アイデア創出から、ビジネスモデル構築、事業の循環まで、数多くの事例とともに解説している実践向けの一冊です。初心者向けというよりは、すぐに実践での活用を目指す中上級者向けとなっています。特に第IV部の「ビジネスモデルの発展的学習」では、成長する仕組みづくりに向けた好循環のあり方や、創造的なアイデアを得るための人脈づくりなど、事業を継続させるために必要なノウハウが記載されています。そのほかにも、海外のイノベーション教育プログラムや、学術の先端領域など数多くの事例がビジュアルとともに掲載されているため、この一冊を読めば世界の事例を習得することができるでしょう。
⑤中国オンラインビジネスモデル図鑑
5冊目は「中国オンラインビジネスモデル図鑑」です。
こちらは中国で成功しているアプリのビジネスモデルを解説している一冊です。中国のアプリは、シリコンバレーも注目するほどの実力があるといわれています。オンライン大国である中国の人気アプリ60選を、ビジネスモデル、機能、インターフェイス、マーケティング施策、資金調達など、さまざまな情報を図解や画像を交えて、分かりやすく解説しています。具体的にはTikTok、WeChat、Alipayといった有名なものから、日本ではマイナーなアプリまで網羅しています。日本で中国のアプリを調べることは難しいですが、この一冊を読めば中国の最新事例を知ることができるでしょう。
まとめ
今回は新規事業を立案する際に欠かせないフレームワークやビジネスモデルを解説した書籍9冊を紹介しました。フレームワークを学ぶことで思考を整理しスピードが上がるだけでなく、メンバー間の共通認識をつくり、より効率良く事業を進めることができます。ぜひ紹介した9冊を活用して、必要なフレームワークを習得してください。
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