現代社会は情報があふれています。テレビ、書籍、Webメディア、SNS、メールマガジン、口コミなど、情報を収集するツールは無数にありますが、情報があふれているからこそ、正確な情報をつかみ、正しく活用しなければなりません。
情報を調べるリサーチ力は、社会人にとっても大学生にとっても重要です。本記事では、大学生がリサーチ力を身につける方法について解説します。
リサーチ力とは?
現代社会に必須の能力とも言えるリサーチ力。まずはリサーチ力の定義や、必要性について見ていきましょう。
必要な情報を調べる能力のこと
リサーチ力とは、必要な情報を調べる能力のことです。情報を調べたうえで分析し、活用するまでが「リサーチ」の一連の流れです。高度なリサーチ力があれば、より洞察力や分析力を高められ、正確な意思決定につなげることが可能です。
冒頭で触れたように、現代社会には情報が多く存在します。その中で誤情報に惑わされずに正確な情報をつかみ、活用するリサーチ力は、今の時代に欠かせないスキルと言っても過言ではありません。
大学生にはリサーチ力が必須
大学生にとって、リサーチ力は非常に重要です。レポートやゼミ、勉強など、さまざまな場面でリサーチ力がものを言います。
例えば、レポートでは「論理性」や「客観性」が求められます。きちんと順序立てて論じると同時に、主観ではなく客観(事実や世間一般的な理論・とらえ方)を意識して文章を書き進めなければなりません。
そして、「客観性」を演出するための手段として「正確なデータの活用」が挙げられます。さまざまな情報の中から正しいデータを見つけ、適切に活用しなければなりません。
大学でさまざまな勉強をする際には、必ず何らかのリサーチをしていくことになるため、大学生にはリサーチ力が必須と言えるでしょう。
社会人になってもリサーチ力は武器になる
社会人になると、学生以上にリサーチ力が求められます。
例えば、今後の市場動向や競合他社の情報を適切に把握することで、自社の成長戦略や新規事業の動向といった重要事項の決定がスムーズになります。現場レベルにおいては、取引先と商談をする前に相手企業の事業構造やマネタイズ戦略をチェックしておくことで、商談成功の可能性を高められるでしょう。
また、リサーチ力が高いと、自己啓発や知識習得が容易になります。あるテーマについて調べる場合、インターネット上の記事だけでなく、書籍や論文まで幅広く調べたほうが、より深く、より広い知見を獲得できるのは言うまでもありません。
リサーチ力を身につける方法
リサーチ力は大学生にとっても、社会人になってからも大切なスキルです。しかし、リサーチ力をどうやって身につければよいか、あまり教えてもらう機会はないかもしれません。それは、社会人になってからも同様です。
しかし、リサーチ力は大学生のうちから鍛えることが可能です。リサーチ力を総合的に上げるには、「情報収集スキル」「情報分析スキル」「批判的思考力」「整理と発信」といったように、段階ごとにスキルを高めるのが効果的です。
1.情報収集スキルを身につける
総合的なリサーチ力を身につける第1段階として、まず情報収集スキルを身につける必要があります。詳しく見ていきましょう。
情報収集の重要性
まずは情報収集です。日常の中でも、気になったお店を調べたり、欲しい家電製品のスペックを調べたり、旅先のルートを検索したりするでしょう。何も調べないままだと、余計に時間が掛かったり、なかなか決められなかったりするものです。
ビジネスにおいても同様です。事前に情報収集しておくことでその後のアクションが迅速になり、変化の激しい中でも他社に遅れることなく対応できます。
目的を設定する
リサーチ力を身につけるには、情報収集の目的をはっきりさせることも重要です。プロジェクトや課題に取り組む際、どのような情報が必要かを明確にすることが必要です。目的が明確でないと無駄な情報を収集し続けることになり、効率が悪くなるだけでなく、取得した情報を適切に活用できない可能性もあります。
目的が明確なら、必要な情報に絞り込んで効率的にリサーチできます。時間と労力を適切に配分し、欲しい情報をより短時間で収集できるでしょう。効率的なリサーチにより、より適切な解答や意思決定を導き出すことが可能です。
情報源を複数用意する
現代においては多くの場合、情報源は一つではありません。まずはあらゆる情報源を選択肢に持つことが大切です。具体的には、図書館、データベース、インターネット、専門家、街頭など、ソースは多岐にわたります。異なる情報源からさまざまな情報を集めた上で、最適な情報源を選定することが必要です。
日ごろから特定の情報源だけでなく、複数の情報源から情報を得ることを意識・実践していると、自然に複数の情報源から客観的な論拠をピックアップできるようになるでしょう。
データ収集をする
情報源は複数用意することが重要だと伝えましたが、収集する情報の目的や効率性に応じて、適切なツールを選択する必要があります。例えば、公的な事実やデータが必要な場合は政府機関の統計情報を利用すべきで、個別の意見や経験を知りたい場合はインタビューやアンケートなどの方法が適しています。目的に合わせて適切なソースを選択しましょう。
また、情報収集の過程では、信頼性や正確性にも注意が必要です。情報の出所や提供元を確認し、信頼性の高い情報を選択しなければなりません。さらに、情報収集は単なる量の集積ではなく、必要な情報を正確かつ適切に収集することが求められます。情報の質と信頼性を確保するために、適切な方法でデータ収集を行いましょう。
収集したデータを整理する
収集したデータを整理し、情報を使いやすい形に整えましょう。これには、データベースへの入力や情報の形式変換などの作業が含まれます。データベースを作成する際はアウトプットイメージを明確にし、必要な項目を設定することが重要です。
また、データ整理では主観と客観(事実)を明確に区別することも欠かせません。主観的な情報と客観的な事実を切り分けることで、後の整理や分析をスムーズに進められるようになり、適切な判断や意思決定に基づく情報活用が可能になります。
データ整理は、収集した情報を体系化し、必要な情報を容易に見つけられるようにする重要なステップです。データは将来の参照や分析に役立つので、丁寧に整理しましょう。
2.情報分析スキルを身につける
情報は、集めただけでは不十分。集めた情報を的確に分析することで、情報を有効活用できます。
情報分析の重要性
情報を集めるだけでは意味がなく、それを分析して解釈することが重要です。情報分析をしっかり行うことで、効果的な意思決定が可能になります。また、適切な情報分析に基づいた意思決定は、経験や勘ではなく客観的な(説明できる)根拠を持ちます。そのため、リスクの軽減や成果の最大化も期待できるでしょう。
また、顧客の情報を分析することで、ニーズや嗜好、購買パターンなどを把握できます。そうすれば、よりターゲットに適したマーケティング戦略を立案できるようになるでしょう。
データを読み解く
情報分析の過程でも、データが示す内容を適切に読み解くフェーズは特に重要なポイントです。
まずは収集したデータを整理・クリーニングなどで正しく読み取れる状態にします。そのうえで、時には可視化ツールや分析ツールなどを駆使しながら、データの特徴や傾向を把握しましょう。それらのデータをあらゆる角度から読み解いていくと、求める分析の結果が得られるようになります。
データの比較・対比
データの比較・対比を通じて、異なるデータの相違点を明確にすることも重要です。これによってより高度なデータ分析が可能となり、目的を達成するための洞察を得られます。例えば、異なるデータセットから得られた結果や傾向の比較を通して、相互に影響し合っている要因を特定するなどです。
さらに、データの比較・対比によって、傾向やパターンの把握、相関関係の発見も可能です。これにより、複雑な問題や課題に対して深い理解が得られれば、より正確な判断や意思決定を行えるようになるでしょう。
データの比較・対比は、情報分析スキルの一環として重要なステップです。正確で信頼性の高い情報を得るためには、データの比較・対比を通じて情報の真偽や相関関係を慎重に評価しましょう。
分析結果をもとに仮説を組み立てる
データの比較・対比が完了したら、分析した結果をまとめて仮説を組み立てます。分析によって課題を解決するには、「質のよい仮説」が不可欠です。
例えば、コンビニエンスストアで肉まんの売上が急に伸びたとします。この場合、「冬になったから」「CMでPRをしているから」「割引キャンペーンを実施しているから」といった仮説が立てられます。あるいは、把握していない別の理由があるかもしれません。
このような場合、データを分析しつつそれぞれの仮説が正しいのかを検証していきます。なお、仮説を立てる際には全体を俯瞰することが大切です。網羅的に仮説を立てることは、「漏れのない検証」につながります。
3.批判的思考力を鍛える
批判的思考とは、物事を論理的に整理して考え、客観的かつ多角的な視点で課題をとらえ、よりよい判断ができるようにすることです。批判的思考力を鍛えると、リサーチ力の向上も見込めます。
批判的思考力の重要性
情報をそのまま鵜呑みにしてしまうと、間違った解釈をしてしまう可能性があります。自分で意見をまとめる際には、つい根拠のない思い込みや思考の癖が出てしまいがち。そのような中、批判的思考力を活用すると、正しい情報をキャッチし、よりよい結論を出すことにつながっていきます。
批判的思考では、「自分の推論や目論見は正しいのか?」と客観的に考えます。優れた批判的思考力を持っていると、個人でも周囲と連携する場合でも、問題を解決しやすくなるでしょう。
情報に対しては批判的に向き合う
批判的思考力を高めるには、情報に対して批判的に向き合うことが大切です。入手した情報をすぐに信じてしまうのではなく、「本当にそうなのか」「なぜそのような結論になっているのか」を考えます。
「公開されている情報は正しい」という先入観や固定観念を排除し、あらためて情報を客観的・懐疑的にとらえることによって、批判的思考力は鍛えられていきます。
バイアスが入っていないか確認する
情報を与えられた際、人は過去の経験や世間の大勢の意見などに振り回されてしまうものです。しかし、目や耳から入ってきた情報が必ずしも正しいとは限りません。時にはバイアス(偏見)が働いているものが飛び込んでくることもあります。
目の前の情報はどういった立場の組織や人が発信しているのか、偏った意見やデータではないかを確認しましょう。
4.リサーチ結果の整理と発信
リサーチ結果を整理して発信することで、リサーチ力の一つであるアウトプットの質を高められます。
伝えるべき要点を整理する
まずは、何をリサーチ結果として伝えるかを定義します。リサーチの段階では、いろいろなツールで多種多様な情報を集めているはずです。ただし、そのままでは要点がつかめない「ぼんやりとした情報」になってしまいます。
まずは集めてきた情報を整理したうえで、伝えるべき要点を整理しましょう。
グラフや表を活用する
リサーチ結果を整理し発信する際には、発信先の相手に分かりやすく伝える必要があります。読み手・聞き手からすれば、何も前情報がない状態でリサーチ結果を目にすることも少なくないはず。そんな中、初見でこちらの伝えたいことを効率的に伝え納得してもらうには、グラフや表を活用して情報整理することが大切です。
ビジュアルを活用してわかりやすく説明する
相手に分かりやすく伝えるには、情報整理をした上でイラストやイメージ画像、動画などのビジュアルを活用するのがおすすめです。さまざまなツールを使って、「一目見ただけで理解できる状態」を目指しましょう。
リサーチ力を継続的に向上させるコツ
最後に、リサーチ力を継続的に向上させるためのコツを解説していきます。
常に新しい情報を求める姿勢
情報は適当にテレビを流し見しているだけでも得られます。しかし、リサーチ力を向上させるには、能動的に新しい情報を求めていく姿勢が大切です。リサーチ力にはさまざまな要素がありますが、まずはより多くの情報を集めることから始まります。
ただし、いざ「やろう」と思っても、普段から取り組んでいなければ適切かつ効率的な情報収集はできません。普段から新しい情報を求める姿勢があれば、情報を集めるのも苦ではなく、求める情報も効率的に得られるでしょう。
情報収集チャネルの拡大
多くの情報を集めるには、情報収集チャネルの拡大が必要です。情報は複数のチャネルから集めることで、幅広く、多様なものを得られます。普段から単一ではなく複数のチャネルから情報を収集することを意識すれば、スムーズに多くの情報を集められるでしょう。
分からないことはすぐ調べるよう習慣化
日常の中でふと疑問を感じたときでも、「あまり気にせずそのままにしてしまう」という方も多いでしょう。普段から「分からないことはすぐ調べる」という行動を習慣化しておけば、リサーチ力も向上していきます。
日常の疑問を調べていくうちに、リサーチ力を向上させるコツも自然に身についていくでしょう。
まとめ
リサーチ力は、大学生はもちろん、社会人になってからも求められるスキルです。リサーチ力を身につけるにあたっては、特別な勉強法や“最強”のツールがあるわけではありません。そのため、普段の行動や取り組み方が重要と言えます。
本記事の内容を参考に、学生のうちからリサーチ力の向上を意識しましょう。
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