なぜ目標設定が必要なのか
ゴールを明確にすることで逆算思考が身につく
最初に目標となるゴールを設定することで、それを達成するために必要なプロセスやスケジュールを逆算できるようになります。つまり、目標に至るまでの実行可能な道筋を立てるため、「今自分が何をやるべきか」が常に把握でき、目標に向けた行動に着手しやすくなるのです。
こういった逆算的思考は、ビジネスシーンでも活用されています。ですので、大学時代からこの思考法に慣れておくことは、将来の大きな武器にもなります。
やるべきこと・不必要なことが明確になる
現在から目標までのプロセスが可視化され、やるべきことも具体化できるので、今必要・不必要なことが明確に。その結果、効率的に労力と時間を使いながら、目標を達成できるようになります。
また、今やるべきことが明確なので、「後回しにしよう」と計画や予定を先延ばしにすることも少なくなります。
モチベーションを維持できる
最終的に明確な目標が設定されていることで、たとえ途中で失敗しても、くじけずに高いモチベーションを維持させやすくなります。また、その失敗についても「目標を達成するために必要な経験だ」と、割り切って考えられるようになるでしょう。
現に、将来の見通しが不明なまま、何かに失敗した時点で心が折れてしまう人も決して少なくありません。中長期的な視野で物事を見ながら、着実に目標へ向けた行動が取れるようにしましょう。
目標設定のポイント
定量的な目標を設定する
定量的な目標とは、数値や数量で表された目標のこと。数値によって、目標の達成度・進捗が一目で分かるようになります。その数値に応じて、スケジュールの前倒しやプロセスの変更など、具体的に戦略を動かすことができます。
what、why、when、howに落とし込もう
定量的な目標を設定するコツは、「what、why、when、how」を考えることです。
- what(何をしたいか=目標)
- why(なぜその目標を達成するのか)
- when(いつまでに)
- how(どうやって)
例えば、「介護支援に強いIT企業に入りたい」という目標がある場合、以下のように深掘りし、より定量化された目標を立てることができます。
whyは定量化には直接関係しませんが、whyがなければ、目標は単なる「やるべきこと」になってしまうので、併せて考えておきましょう。
what(何をしたいか=目標) | 介護支援に強いIT企業に入りたい |
why(なぜその目標を達成するのか) | 介護のアルバイトで知った現場の課題を、技術面で解決できるようにするため |
when(いつまでに) | 大学3年生の3月まで |
how(どうやって) | インターン選考を計2回受けて内定を得る |
現実的な目標にする
大きな目標があっても、目標を達成できる具体的なイメージが湧かなければ、モチベーションを維持することが難しくなってしまいます。目標設定の際に、その目標が現実的で達成できるものなのか、一度検討してみてください。
例えば「3カ月で本を100冊読む」という目標を立てた場合、以下の順に検討しましょう。
- 本1冊を読み切るには約5時間必要
- 週に20時間自由な時間がある
- 週に4冊 × 4〜5週 × 3カ月
- 3カ月で48〜60冊が目標として妥当
目標設定フレームワークを使う
目標を設定してみても、「設定方法は合っているのか、本当に適切な目標なのか」と心配になりますよね。そんなときは、「目標設定フレームワーク」を活用してみてください。代表的なものを以下に3つご紹介しますので、自身の立てた目標と照らし合わせてみましょう。
1.SMARTの法則
SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドランが初めて提唱した「目標設定の5つの基準」です。
Specific | 具体的である |
Measurable | 計測ができる |
Achievable | 達成できる |
Realistic | 現実的である |
Time-bound | 期限が明確である |
基準に沿った設定された目標は、誰もが理解しやすく、いつ完了したかを知ることが容易になります。
2.マンダラチャート
マンダラチャートとは、9×9のマス目を作り、その中心となる3×3のマスから目標を書き込むことで、目標から具体的な行動までを細分化できるフレームワークです。
マス目が仏教のマンダラ模様に似ていることから、この名がついています。メジャーリーガーの大谷翔平選手が、花巻東高校時代に使用していたことで話題になりました。
計81カ所のマスを埋める必要があるため、目標達成に必要な行動を事細かに分解できるというメリットがあります。
3.ロジックツリー
ロジックツリーとは、自身の掲げる目標から問題や解決策などの目標達成に関係する要素を洗い出し、ツリー状に管理するフレームワークです。
例えば「○○社に入りたい」という目標がある場合、一般的に考えると、目標達成の手段はまず新卒で入社するという発想になるでしょう。しかしロジックツリーを使えば、たとえ新卒で入らなくても、後々中途採用で入社するという選択肢があることを把握できます。
目標達成プロセスを漏れなく、また重複させずに洗い出せるのが、ロジックツリーのメリットです。
将来を見据えた目標設定の例
例1:2月のTOEICで800点を獲得するために、平日の20〜21時に英語を勉強する
目標:グローバル企業に入るために、2月のTOEICで800点を獲得したい
これは、グローバル企業を志望する学生が立てた目標例。「2月」という期限に加えて、「800点」という定量的な目標が設定されており、目指すべきゴールがより明確になっています。
手段:平日の20〜21時に英語を勉強する
学習時間をあらかじめ設定することで、確実に学習時間を確保し、勉強を習慣化できます。ざっくりとした学習計画では、「今日は勉強したくない」などとやる気にムラが出て、きちんと学習時間を確保できないことがありますよね。
前もって学習時間を決めることで、勉強する癖がつき、気づけば継続して勉強ができる生活になるでしょう。
例2:約30万円の法人立ち上げ費用をためるため、週5×2カ月間アルバイトをする
目標:法人立ち上げ費用30万円を8~9月にためたい
3カ月後の9月に法人設立を考えている学生の例。約30万円あれば法人の設立ができるというところまでを具体化し、授業のない8〜9月に資金を準備するという目標を立てました。
手段:週5×2カ月間アルバイトをする
「8〜9月で30万円を稼ぐ」という目標では、まだ具体性が足りないので、30万円を稼ぐのに必要なアルバイト時間を「1日7時間」というところまで細分化。目標を実現可能な形に可視化できています。
- 8〜9月=約9週間
- 30万円 ÷ 9週間 ≒3.5万円/週
- 時給1,000円のアルバイト
- 3.5万円/週 = 35時間勤務
- 35時間 = 7時間/日 × 週5
例3:3年生後期からインターンに行くため、1年生時に48単位を取得する
目標:3年生時の授業日数を1日に減らし、志望企業の長期インターンに参加したい
就活直前の3年秋冬に募集がある、志望企業の長期インターンに参加したい学生の例。
「3年生後期の授業日は1日だけ」という目標を設定したことで、「それまでに単位を多く取得すればよい」と、目標達成プロセスが明確かつ具体的になっています。
手段:1年生時に48単位を取得する
目標を達成するプロセスをさらに深掘りし、「いつ=1年生時」「どれぐらい=48単位」まで具体化。
また、1年生時だけでなく2年生時の取得予定単位も割り出しておけば、目標達成の成功率をより高められるでしょう。
例4:業界理解を深めるため、2月はベンチャーのインターンに3回参加する
目標:志望業界を3月までに3つに絞るため、各業界の理解を深めたい
就活解禁までに志望業界を絞っておきたい学生の具体例。
「3つ」という数字をあらかじめ決めておくことで、業界分析にむやみに時間を費やすことがなくなり、インプットを効率的に済ませることができます。
手段:2月のベンチャーインターンに3回参加する
志望業界を3つまでに制限したことで、インターン回数も1業界×3回まで絞ることが可能に。
そしてあくまで「業界理解」が目的なので、大手企業ではなく、倍率が低めのベンチャー企業のインターンを選択するというところまで、行動を具体化できています。
目標設定と併せて大事なこと
目標を達成したのかを振り返る
目標設定は重要ですが、行動の振り返りを行うことで、自分の今の立ち位置を把握し、より効率的に目標を達成するための道筋が見えるようになります。
目標に向かって進んでいることを日常的に把握すれば、充実した達成感も味わえて、モチベーションの維持にもつながります。
振り返りのポイント
1.たった5分でいいので、毎日振り返りをする
常に目標を意識するためにも、振り返りは毎日行い、習慣化することが大切です。5分だけでもいいので、毎日振り返ってみてください。
時間がない場合は、以下のような要点に絞って振り返ってみるとよいでしょう。
- よかった点
- 悪かった点
- できたこと
- できなかったこと
- 改善案
2.反省で終わらず、次のアクションも考える
ただ反省するだけでは、振り返りの効果は落ちてしまいます。
今後の改善策までを考えることで、今までできなかったことができるようになり、より期間を短縮して目標達成を目指せます。
トライアル・アンド・エラーを繰り返し、生産性を高めることを意識してみてください。
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