この記事では、副業・兼業・複業のそれぞれの特徴や違い、具体的なはたらき方について解説しています。現代におけるはたらき方の変化や多様化、副業と兼業・複業の意味や違い、それぞれの具体例などについて掲載しているので、将来的に副業・兼業・複業を検討している方はぜひ参考にしてください。
現代社会において、多様なはたらき方が可能になっていることを理解し、自分に合ったキャリアを築けるように副業・兼業・複業と向き合っていきましょう。
現代のはたらき方は多様化している
はたらき方の変遷と現代のトレンド
近年、はたらき方は大きく変わりました。以前は同じ会社で長期間働くことが普通でしたが、今はキャリアの多様化やフレキシブルなはたらき方が主流です。テクノロジーの進歩によってリモートワークが可能になると同時に、はたらく場所や時間に対する考え方も変化しています。
現代のはたらき方は、固定された勤務時間や場所に縛られず、個人のライフスタイルや能力に合わせて柔軟に調整できるのが特徴です。仕事とプライベートのバランスが取りやすいため、さまざまな場所で多様な経験を積むことができます。
終身雇用の終わり
終身雇用制度はかつて日本の雇用の基盤を形成していましたが、現代ではその重要性が減少しています。経済のグローバル化と市場の変動に伴い、企業はより柔軟な雇用形態を求めるようになりました。
雇用形態の変化は個人にとっても新たなチャンスとなっており、多様な業界や職種での経験を積むことで、キャリアの選択肢を広げられます。そのため、企業で自身の技術を活かしつつ新たなスキルを獲得し、さらに別の企業で活躍するといったはたらき方がトレンドになっています。
「人生100年時代」を見据えて
「人生100年時代」を迎えた現代では、定年後の長い人生についても考えなければなりません。そのため、セカンドキャリアの準備として、複数のスキルや専門性を身につけることが重要になっています。
定年を65歳だと仮定しても、100歳まで生きることを考えると、残りの35年分におけるセカンドキャリアの準備が必要です。トレンドが変わりやすく先の見えづらい現代では、将来の自分が安心して生活できるようにするためにも、一つの仕事に従事するだけではなく、複数の業務に触れることで専門性と自分の価値を高めていくことが重要です。
副業について
副業とは?
副業とは、本業以外に行う仕事のことを指します。副業をすることで収入源が増えるのはもちろん、本業とは違う業務で自身のスキルや経験を積み、キャリアの幅を広げることも可能です。
副業のメリット
追加収入
2018年に公布された働き方改革関連法によって副業解禁の動きが広がり、従業員の副業を許可する企業が増えています。当然のメリットではありますが、副業を行うことで、本業以外にも追加の収入が得られます。収入を手早く増やし、金銭面での焦りや不安を解消する手段として、副業を検討してみるのもよいでしょう。
スキルアップ
異なる業種や職種での経験は、新たなスキルや知識を身につける絶好の機会となります。本業では身につけられない経験やスキルを獲得することで、自分の価値を高めていけるでしょう。
これは企業にとってもメリットがあり、従業員が副業でスキルアップをすることで、本業のパフォーマンスが高くなることも期待できます。
キャリアの多様化
本業とは違う業種での経験やスキルを身につけることで、自分のキャリア形成にも効果が生まれます。本業と副業、両方の経験や知識ならびにスキルを活かして新しいビジネスを始められる場合もありますし、別の企業で活躍できる可能性もあります。
本業と副業、二つの仕事を通して得たスキルは、自身のキャリアに多様化をもたらすことでしょう。
副業のデメリット
時間管理の難しさや本業への影響、精神的・身体的な負担の増加などが挙げられます。以下で具体的に解説していきます。
労働時間の長時間化
副業は、本業ではたらく時間以外での活動が基本です。つまり本業+副業が労働時間となります。副業の内容によっては一日中はたらく必要が出てしまうなど、労働時間の長時間化は懸念するべきデメリットです。労働時間が増えるということは自身のプライベートな時間を削ることになるため、後述している本業や健康への被害には十分な注意が必要だといえます。
本業への悪影響
副業の労働時間が増えることで、自身のプライベートな時間が確保できなくなり、次第に本業の労働時間やパフォーマンスに影響が出てくる可能性があります。その場合、副業で収入はあるものの本業の業績評価が悪くなり、結果的に副業をすることでの収入的なメリットが感じられなくなってしまうかもしれません。
心身への負担増加
先述したように、労働時間の長時間化は自身のプライベートを削ることにつながるため、仕事に追われて心身の健康を損なうリスクがある点にも十分注意しましょう。収入増やスキルアップを目的として始めた副業が、自身の健康を損ねることで本末転倒な結果になってしまわないよう、プライベートの時間やストレス発散にも気を配る必要があります。
副業の具体例
副業は多様な形で行われており、内容も非常にさまざまです。以下に例を挙げているので、自身の興味や持っているスキル・関心に合わせて副業を探してみましょう。
ライター業務
副業でよくある例として、ライター業務が挙げられます。週末や終業後の夜間などに、フリーランスとしてウェブライティングを行い、収入を得る形式の副業です。一口にライティングといってもテーマやジャンルはさまざまで、多くの企業がジャンルに精通した記事執筆ライターを募集しています。
ウェブデザインやプログラミング
ITスキルを持っていて副業をしたい人は、本業のあとや週末にウェブサイトのデザインやアプリ開発などの仕事を行っているケースが多いです。特に最近は企業からの需要が高く、技術を活かした副業として人気があります。
本業で行っている業務の延長線上で始め、本業では経験できない依頼をこなせる場合もあるため、自身のスキルアップ的な側面でも役に立つ副業といえるでしょう。
オンライン教育やコーチング
特定分野における専門知識を持っている人は、オンラインでの教育やコーチングサービスを副業として扱えるケースがあります。言語教育やビシネススキル、パーソナルトレーニングなどといった、オンラインでも成果創出ができるようなジャンルでは幅広い需要があります。
写真やイラストなどの販売
写真やイラスト作成といった、専門的な技術を活かして副業をしている人も少なくありません。この場合、自身の作品をオンラインで販売して収入を得たり、他者からの依頼を受けて収入を得たりといった方法で、副業として成り立っています。
趣味の延長線上で創作活動の収益化につなげることができるので、「趣味を仕事にする」という夢が実現できるはたらき方といえるかもしれません。
副業と本業のバランスの取り方
先述したような副業におけるデメリットを顕在化させないためにも、副業と本業のバランスをしっかり取っていく必要があります。副業とのバランスを保つためにも、以下の項目に意識して取り組むとよいでしょう。
時間管理の徹底
本業と副業の間で、明確に時間を区切ってはたらくことが重要です。まずは本業での業務時間を遵守し、それ以外の時間を副業に充てるように徹底しましょう。その上で、本業で残業が発生してしまった場合には、副業の時間を削って、休息やストレス発散のための時間を確保できるようにしておくのが理想です。
優先順位を決める
副業と本業に対して明確な優先順位を決めておくことも重要です。本業が最優先なのであれば、副業は無理のない範囲内で行い、本業に悪影響がでないよう努めなければなりません。本業と副業それぞれで緊急度や重要度を見定め、どのタスクを優先するべきかを考えていきしましょう。
ストレス管理
副業による労働時間の長時間化が影響し、ストレスが増えてしまう可能性があります。ストレスを適切に管理するためには、定期的に休息を入れたり、仕事以外での趣味や運動といったストレス発散を取り入れたりするのが有効です。
まずは自身のストレス耐性と向き合い、どの程度までの業務負荷に耐えられるのかをあらかじめ知っておくとよいでしょう。
効率的な作業方法の模索
副業を始めることによって、プライベートの時間は当然削られてしまいます。収入増やスキルアップを狙いつつ、プライベートも充実させたいという人にとっては見逃せない問題です。しかし、本業と副業の作業効率を考えて、短時間でより高いパフォーマンスを出せるようになれば、そのすべてを実現することも可能です。
タスク管理ツールの導入や集中力を高めるための環境作りなど、自身の時間効率を高める努力を行うのもおすすめです。
兼業について
兼業とは?
兼業とは、複数の職業を持ち、それぞれにおいて一定の責任と役割を果たすはたらき方です。本業を主務とし、それ以外を副次的な業務(兼業)とすることで成り立ちます。
基本的には副業と同じ
兼業も、副業と同様に複数の収入源を持てるはたらき方であり、キャリアの多様化を図ることができます。そのため大まかな意味合いとしては、兼業・副業もどちらも性質は同じであるといえます。
兼業の具体例
兼業農家
兼業の一例として「兼業農家」があります。これは、平日は会社員としてはたらきながら、週末は農業を行うといったはたらき方です。このような兼業スタイルは、経済的な安定と生活の豊かさを両立させることができます。また、農業に従事して自然とのつながりを感じることで、平日のストレスを解消できるかもしれません。
複業について
複業とは?
複業は、これまで説明してきた副業と兼業の概念とは少し異なり、2つ以上の業務を同程度の優先度・重要度で扱い、業務を行うことを指します。複業ではそれぞれの業務が独立しており、どれか一つの業務がほかの業務に対して優先されることはありません。
複業のメリット
多様なキャリア構築ができる
複業を行うことは、異なる分野や業界での経験につながります。これにより、幅広いスキルセットや知識を身につけ、多角的なキャリアを築くことが可能です。
高い裁量と自由度
複業では、それぞれの職務において高い裁量を持ち、自分の判断のもとで業務が進められます。これにより、自身のアイデアや能力を最大限に活かすことが可能になります。そのような裁量の中では自身のスキルを存分に活かし、またさらに高める機会を得られるでしょう。
難易度に見合う報酬が得られる
複業では、裁量の高さによる責任や業務の難易度に見合った、高い報酬が得られるケースが非常に多いです。そのため、年収アップが期待できます。
複業のデメリット
労働契約の複雑さ
複業の労働契約にはさまざまな形式が存在します。たとえば会社員とフリーランス(業務委託)での契約や、2社以上での正社員契約での労働といったように、複雑な労働契約になることも少なくありません。法的な問題や契約上の細かい条件、業務上における責任の所在などを把握する必要があるため、理解に時間を要する複雑な作業といえるでしょう。
時間管理の難しさ
複数の職務を同時にこなすことは、時間を管理する上で大きなチャレンジとなります。副業や兼業とは異なり、複業は複数の本業を掛け持つはたらき方であるため、それぞれの職務における要求や期限を満たしながら、個人の生活とのバランスを取ることが求められます。
優先順位の難易度
複業では、どの業務にどの程度の時間とリソースを割くか、自身で決定する必要があります。時には複数の職務間で優先順位の衝突を引き起こす可能性があり、難しい判断を迫られる場合があります。
複業の具体例
IT企業でのプログラマーとして週3日勤務し、週末にはデザイン会社でグラフィックデザイナーとして働くといったように、複数の会社や個人事業主として、それぞれ独立して業務を行う形態を複業と呼びます。
プログラマーとしての技術と、デザイナーとしてのスキル、そのどちらにおいてもパフォーマンスや業績を求められるため、非常に難易度が高い業務形態です。
副業・兼業・複業をする際に注意すべきこと
就業規則や契約による縛り
多くの企業では、就業規則にて副業に関する規定が設けられています。副業を始める前に自身の勤め先の就業規則を確認し、副業が許可されているか、許可されている場合はどのような条件かを理解することが重要です。
また、正社員、契約社員、派遣社員など、雇用形態によっても副業に関する制約が異なります。兼業や複業を行う場合、複数の雇用契約が競合しないように注意しなければなりません。
税金と確定申告
副業で得た収入は年末調整ではカバーされないため、自身で確定申告を行う必要があります。収入の規模によっては、所得税や住民税の追加負担が生じる可能性があるため、事前に税務知識を身につけることが望ましいです。
特に複数の収入源がある場合、税金計算が複雑になることがあります。もし確定申告に不慣れな場合は、税務署や税理士へ相談するのがおすすめです。
ワークライフバランスと過労
本業と副業、または複数の仕事を両立するには、効率的な時間管理が不可欠です。スケジュールをしっかりと管理し、仕事とプライベートのバランスを保ちましょう。
過労を防ぐためには、十分な休息が大切であるのはいうまでもありません。特に複業を行う場合は、それぞれの業務によって疲労が蓄積しやすいため、自身の健康状態を常にチェックし、必要に応じて休息を取ることが大切です。
まとめ
現代のはたらき方は、終身雇用から多様なキャリアパスへと変化しています。副業、兼業、複業は、単に収入源を増やすだけでなく、自己実現やキャリアの多様化を図る手段としても注目されています。しかし、これらのはたらき方を選択する際には、就業規則は必ず前もって確認するようにしましょう。また、生活リズムやライフワークバランスが崩れないように意識することも大切です。
この記事が、自分に合ったはたらき方を知り、可能性を広げるきっかけになれば幸いです。
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