レポートの書き出し方を解説|序論(はじめに)の例文集付き


「レポートの書き出し方をどうすれば良いのかわからない……」と悩んでいる方は、少なくないのではないでしょうか。

本記事では、レポートの書き出し方や序論の目的、書き方について解説しています。「はじめに」の項目をどのように書き出したら良いか、序論をどう書き始めれば良いかなど、レポートの構成について詳しく解説しているほか、書き出しの例文集も載せているのでぜひ参考にしてみてください。

レポートの序論(はじめに)とは?

まずは、「序論」とはどのような役割を持っているのかについてみていきましょう。

レポートは序論・本論・結論の三段構成が一般的

レポートは、「序論」「本論」「結論」の三段構成が一般的です。大まかには、序論でレポートの概要やテーマを伝え、本論でテーマについてを詳しく論じ、結論で要約して復習・解決するという構成です。それぞれの役割を認識し、三段構成に沿ってレポートを書くことで、読みやすく意図を伝えやすい形式にすることができます。

メインとなる本論の中でも、サブタイトルを使ったりテーマを細分化して記述したりするなどで、構成をよりわかりやすいものにできます。三段構成は読みやすくするための原則的なルールであり、さらに細かな工夫でより良いものにすることも可能です。

序論ではレポートの概要を記述する

序論では、レポートの概要やテーマ、レポートを作成するに至った背景などを記述します。これから論じていく内容についての問題提起や、レポート自体の目的などが該当します。問題提起や目的をより分かりやすく伝えるために、社会情勢などの背景や、本論で考察を深めた手段などを用いて記載すると良いでしょう。

序論で重要なのは、レポートの主旨や目的をわかりやすく明確に述べることで、読み手にいち早く理解してもらうことです。

「はじめに」というタイトル付けをすることが多い

序論では、「はじめに」というタイトル付けをするケースが一般的です。自分が何について論じようとしているのか、なぜ論じようとしているのかなど、「はじめに」読み手に対して伝えたいということを示しています。

読み手側にとっても、「はじめに」を読めば、書き手は何を主張したいのかを理解するために読み始めることができます。「はじめに」というタイトルは、双方にメリットがあると言えるでしょう。

なお、序論で「はじめに」とタイトルを付けた場合、結論は「おわりに」で締めると一貫性が出てきます。

序論の書き方

ここからは、序論の具体的な書き方について説明します。

レポートの目的を整理する

通常、読み手があなたのレポートを読むことは初めてです。特に、大学の教授と学生の場合、教授はあなたのことを詳しく知らないというケースが一般的だと考えられます。

以上のことからも、あなたのレポートを初めて読む人に向けて、スムーズに読み進めてもらうことを意識しましょう。具体的には、序論にはレポートの目的やどのような主張を行なっていくのかを簡潔に記述します。

テーマや目的をあらかじめ正しく伝えていなければ、読み手は本論にも興味が湧かないでしょう。また、なぜその主張がしたいのかという背景も読み取れず、説得力も欠けてしまいます。

研究・考察の背景

「背景」とは、レポートのテーマの背後にある事情を説明するものです。

より詳しく説明すると、現状を踏まえたうえで、なぜこのレポートで研究または考察する必要があるのかについて記述する内容が「背景」です。

例えば、「円安と日本製品輸出の関係」についてのレポートを書く場合、序論の背景としては、「現在急速な円安が進んでおり、その裏には米利上げに伴うドル高の存在がある。一般的に円安になると、海外では日本製のものの価格が下がり、売れやすくなるといわれている」という内容を記載します。その後に、自身が課題と認識した問題を提起しながら論述すると良いでしょう。

研究・考察を行う上での手段

研究や考察を行う上での手段の説明も序論で書くべき内容の一つです。レポートでは、さまざまな視点から問題解決に向かって情報を記載します。その中で、どのような手段で研究・考察したのかを明らかにすることで、読み手に対して親切なレポートとなります。「アンケートを用いた」「実験を行った」などを記載して、本論でどのような解説がなされるか道筋を読み手に伝えることが大切です。

研究・考察の意義や目的

レポートの冒頭で、研究・考察の意義や目的を示すことで、レポートの全体像を明確にできるため、導入部分としての目的を果たせるでしょう。

レポートの全体像を明らかにするために、意義や目的はできるだけ具体的に記述しましょう例えば、「年金を何歳で受け取るべきか」というレポートをまとめる場合、「年金について論じる」ではなく、「年金を何歳から受け取れば最も得をするかについて論じる」とした方が、レポートにおける論点を読み手に対して的確に伝えることが可能です。

200文字以内を目安にわかりやすく記述する

レポートの文字数については、講義によって指定されるケースも少なくありませんが、一般的な目安として序論は200文字以内に収まる程度で記載するとよいでしょう。

また、文字数だけでなく、読み手にとって分かりやすい内容である必要があります。レポートは、全体的に読み手に言いたいことがうまく伝わらなければ意味がありません。

中でも、序論はレポートをスムーズに読み始めるための「掴み」の部分です。序論の内容が分かりづらければ、序論以降の文章を読み続けることが困難となってしまいます。序論は適切な分量で、わかりやすく記載するよう意識しましょう。

本論や結論を書いた上で矛盾がないか見直す

序論は本論の予告であり、レポートの背景や目的を表現する必要があります。序論を読むことで本論の全体像が分かりますので、本論や結論と矛盾があってはなりません。序論で述べていることと、本論や結論の内容が異なると、本論で素晴らしい内容が書かれていても、レポート全体としては良い評価を得られないでしょう。

以上のことからも、最初に序論を書いた後にも、本論や結論を書いたうえで改めて序論を確認することが大切です。序論が本論や結論と矛盾点していないか、序論を読むことで全体像がわかるようになっているかどうかなどについて確認しましょう。

序論(はじめに)は最後に仕上げる

先述したとおり、序論は、本論や結論、参考にした資料やあなたが主張しようとした背景について記述する場所です。レポート全体の要約を担っている部分でもあるため、序論を最初に書きあげたとしても、本論結論を書いた後で若干のズレは発生するものです。

本論や結論をあなたの主張したいとおりに記述していれば、全体イメージも頭に入っているため、何を主張したいのかを要約しやすくなるでしょう。序論は、本論と結論を書いた後に、あらためて確認して全体を仕上げましょう。

序論の例文集

ここからは、具体的に序論の例文について見ていきましょう。

1.地球温暖化について

「世界的な問題の一つに地球温暖化がある。温暖化が進むことで大規模な自然災害や気候変動、生態系の変化などといった危険が発生するといわれている。温暖化になる要因としては、大気中の二酸化炭素濃度の増加に伴う温室効果ガスが増え、温室効果が高まっていることが挙げられる。それは化石燃料の大量消費など、人の活動によるところの影響が大きいことも知られている。そこで、温暖化の現状と対策について、温室効果ガスに焦点を当てて論じる。」

2.少子高齢化社会について

「日本はかつてないほどの少子高齢化社会を迎えている。合計特殊出生率は低下の一途をたどっているが、平均寿命の延びにより若年層の割合が低く、高齢者の割合が増加しているのが現状である。そして、少子高齢化社会により年金財政の圧迫が頻繁に叫ばれている。日本の年金制度は現役世代が年金受給者を支える構造のため、少子高齢化のあおりを直に受ける形となっている。このレポートでは少子高齢化の現状と、今後日本の年金制度のあるべき姿について論じる。」

3.ソーシャルディスタンスが大学生へ与える影響について

「2020年以降、コロナ禍によりソーシャルディスタンスが社会全体に広まっている。人同士が直接触れ合う機会は限定され、仕事においてはオンラインツールを使っての在宅勤務が急速に広まった。それは大学生においても例外ではなく、オンライン授業の広まりにより便利になった。一方で、直接会うためには理由が必要となり、授業や人間関係にも変化が起きている。本論では、ソーシャルディスタンスが大学生に与える影響について多角的な研究をもとに検討する。」

序論を書く際のコツ

ここまで、序論の書き方や例文について紹介してきました。最後に、序論を書く際のコツについて解説していきます。

導入文であることを意識する

序論は、あくまでも本論や結論に続く導入文であることを意識しましょう。序論で書くべきことは、レポート全体の概要や目的、本論で述べられる研究や考察の説明です。序論であまりにも中身を詰め込みすぎると、読み手の興味を失わせたり本論で同じ内容が繰り返されてくどくなったりします。

レポート全体の流れを考慮したうえで、導入文として適切な分量、内容を意識しましょう。

何に対して論じるレポートなのかを明示する

レポートの序論では、自分がなぜ本論で研究・考察をすることにしたのかの理由や課題設定が述べられることが一般的です。序論で課題設定が不明確だと、レポートの目的や趣旨が分からなくなってしまいます。

課題設定を述べる際には、課題設定理由や経緯などを簡単に述べると、読み手としてもうまく入り込めるでしょう。あわせて、客観的な事実や社会的な共通認識の提示も必要です。データもなく「個人的には○○が××なのは問題なので、その解決策を探る」などとしても、信頼性は低くなってしまいます。

誰が読んでもわかりやすい文章にする

レポートは、個人的な日記ではありません。必ず、読み手(レポートを評価する人)がいるため、誰が読んでもわかりやすい文章にする必要があります。特に導入である序論は、背景知識がない人でもある程度理解しやすいように、かみ砕いた内容にしましょう。専門用語を多く使ったり、難解な論理展開にしたりするのではなく、誰もが知っている単語で、理解しやすい文法を用いることが大切です。

結論は含まない

序論はあくまで導入であり、問題提起のパートです。結論まで書いてしまうと、序論と結論が同じような中身になってしまいます。序論で問題提起をし、本論で根拠の提示を行い、結論で答えるという流れを意識しましょう。

それぞれのパートでの役割分担をしっかりと考え、意識しながら記述していくことで、全体がまとまった読みやすいレポートを作成できるでしょう。

本論・結論の後に序論を書く

これまで、序論はレポート全体の概要を説明するものや、テーマや背景について記述して読み手の心を掴む役割を持っていることを解説しました。序論はメインである本論と結論を読んでもらうことが目的であり、本論と序論で主張が食い違ったりズレたりしてしまうと中途半端なレポートになります。

ズレや食い違いを解消する効率的な方法は、本論・結論を書いた後に序論を書く方法です。メインの文章を書き上げた後なら、自分の主張や記述したことの大抵は頭に入っていると考えられるため、食い違いもなくスムーズに序論を書き進めることができるはずです。

本論で述べる項目を説明するのもOK

序論では、「こういった内容を論じますよ」といった形で、本論で述べる内容について簡単に触れるのも良いでしょう。本論について軽く触れることで、読み手の関心を引いたり、読み手が読み進めるための心の準備ができたりします。

読み手にとっては、序論で項目が説明されていると、本論で実際に話が出てきた際に、より理解しやすかったり、頭の中に入りやすかったりという効果が期待できます

全体文字数の1割程度となるようにする

序論は200文字以内を目安と説明しましたが、レポートが長くなればなるほど、背景説明も入念にする必要があります。一般的には、序論10~15%、本論70~80%程度、結論10~15%くらいのバランスで書くことが良いとされています。例えば、全体が大体2000文字くらいの場合の序論は200~300文字、4000文字くらいであれば400~600文字くらいを目安とすれば良いでしょう。

まとめ

序論は、読み手が最初に読む部分ですので、序論がまとまっていないとレポート全体としての評価も上がりません。一方で、序論で読み手の心をつかむことができれば、その後の文章についてもスムーズに読んでもらえるので、まとまったレポートだという評価にもつながります。

本記事で解説した書き方やコツを参考に、完成度の高いレポートを作成しましょう。

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