この記事では、サービスデザイナーとはどのような仕事なのかに加え、サービスデザイナーになる方法や必要なスキルセット・資格はあるのか、どのような人が向いているかなどについて解説します。新卒でサービスデザイナーを目指そうとしている方、サービスをデザイン(設計)する仕事にあまりピンとこない、イメージが湧かないという方は、ぜひ最後までお読みください。
そもそもサービスデザインとは?
はじめに、サービスデザインとは何かについて説明していきます。サービスを作ると言っても、世の中にはいろんなサービスがあるため、「よく分からない……」という方も多いでしょう。サービスデザイナーの業務範囲についてもお伝えします。
製品(モノ)ではなく、体験(コト)を作る仕事
サービスデザイナーは、製品(モノ)ではなく、体験(コト)を作ることをミッションにしています。一部、モノの設計をするケースもありますが、あくまでメインはサービスの設計。そのため、サービスを通じたユーザーの顧客体験のすべてを設計する必要があります。目に見えるモノではないため、顧客の反応を想像しにくいですが、まさにここがサービスデザイナーの腕の見せどころです。
「顧客にどのような体験をしてほしいのか」「どのような価値を提供したいのか」を突き詰めて考える必要があります。顧客体験を考える際、サービス設計側の押し付けになってはいけないので、顧客とはインタラクティブなコミュニケーションを取り続ける必要があります。
顧客体験価値を最大化していくことが、サービスデザイナーの役割です。
サービスデザイナーの主な仕事内容
以下では、サービスデザイナーの主な仕事内容について解説していきます。大学生の方にとってはあまり馴染みがなく、イメージしにくいかもしれません。サービスデザイナーを志望している学生の方は、参考にしてみてください。
既存サービスの課題検討と改善提案
1つ目は、ローンチされている既存サービスの課題の洗い出しと改善活動です。サービスデザインと聞くと、「まったく新しいサービスを立ち上げる」というイメージを持っている方が多いかもしれません。世の中には、あらゆるところですでに多くのサービスが存在しています。顧客に選んでもらえず、くすぶっているサービスもあります。そのようなサービスを見直し、ブラッシュアップしていくこともサービスデザイナーの仕事です。改善できる余地のある既存サービスをしっかり見極め、改善していくことが求められます。
新規サービスの企画提案
先ほど述べた既存サービスの改善とは異なり、新規マーケット・顧客に対して新たなサービスを提供するミッションもあります。新規サービスの設計では、「顧客マーケティング→ニーズの見極め→サービス定義→試験的な導入・運用→再設計(修正)」といったPDCAを高速で回しながら作り上げていきます。PDCAを回していく中で、当初の仮説が外れてしまい、うまくいかないこともあるでしょう。
サービスを設計する工程は難しく、諦めたくなるようなシーンに出くわすこともあるかもしれません。そのような試練を乗り越えていくことで、「より顧客のためになるサービス」を提供できるようになるのです。新規サービスの企画提案では、サービスへの情熱や粘り強さが必要になります。
サービスデザイナーに必要なスキル・経験
ここまで、サービスデザインの仕事について大きく分けて2つ、説明してきました。ここまで読んで、「サービスデザイナーに求められるスキルは何か」が気になった大学生の方も多いでしょう。続いては、どんなスキルを持っているとサービスデザイナーとして活躍できるのか、といったスキル面・経験面についてお話しします。
多角的な視点や考え方
サービスデザイナーは、顧客調査や市場動向調査から顧客の行動を予測し、そこから想定ユーザーがどんな課題を持っているかを見極める必要があります。ここで求められるスキルが、多角的な視点や考え方です。顧客・市場を調査し、課題を特定するには、年齢、性別、嗜好が異なるユーザーの気持ちになる必要があります。そうしないと、顧客の本音を理解できないからです。当事者意識を持つには、いろんな立場から物事を見られるようになる必要があります。
多角的な視点がないと、独善的な思考でサービスを作り上げてしまう可能性があります。多角的な視点や考え方は、サービスデザイナーのマストスキルと言えるでしょう。
UXデザインに関する知識
サービスデザイナーは設計を進めていく中で、サービスを通じて顧客が得るUX(ユーザーエクスペリエンス)の分析に多くの時間を割きます。良いUXは、リピーターを増やしたり、ユーザー間でシェアされて利用ユーザーを増やしていったりという形で、次のユーザー行動にもつながります。
そのためサービスデザイナーは、スマートフォンやPCを通して利用されるサービスのUXに関する知識も必要です。
ITデジタルに関する知識
身の回りのサービスを思い浮かべてみると、ITと絡んだサービスが多いことに気が付くかと思います。最近はWebサービスやデジタルデバイスが関係するサービスが非常に多く、実現可能性を探る上ではこれらの技術視点も欠かせません。従来のITスキルだけでなく、AI、DX関連といった最新の知識も必要になります。サービスとITデジタルに関する知識は切っても切れない関係なので、覚えておきましょう。
マーケティングの知識
サービスを作る前に行うマーケティングも、サービスデザイナーには欠かせない知識です。マーケティングを通して、マクロ視点では市場全体の動向、ミクロ視点ではペルソナ分析などを行い、顧客課題を洗い出します。マーケティングは奥が深い領域なので、常日頃から勉強しておく必要があります。サービスを提供するということは、誰かの課題を解決するということ。マーケティングの知識がないと、いくら優れたサービスでも世に広めることは難しいでしょう。
サービスデザイナーに向いている人の特徴
ここまではサービスデザイナーに求められるスキルについて、述べてきました。ここからは「向いている人の特徴」をご説明します。サービスデザイナーも向き・不向きがあるので、自己分析をした上で照らし合わせてみましょう。
人の行動原理に関心がある
サービスは、顧客や社会の課題を解決すべく提供されるものです。そのため、他人の課題、ひいては人(ヒト)そのものに興味がないと、優れたサービスを提供することは難しいでしょう。人が何に喜怒哀楽し、どのような行動を取るのか、また何を課題と感じるのかを注意深く観察する能力が必要です。常に人のことを考えることができ、人の行動原理に興味がある方は、サービスデザイナーに向いていると言えます。
新しい価値を提供することに関心がある
既存・新規サービスにかかわらず、常に課題解決のアンテナを立て、新しい価値を提供していくことが求められます。つまりサービスデザイナーは、顧客のことを徹底的に考え抜き、新たな価値を提供していく必要があるのです。すでに競合が出しているサービスの不足を感じ取り、異なるサービスを練ることができる人は向いていると言えるでしょう。
ロジカルな考え方ができる
ビジネスで重視されるロジカルシンキングは、サービスデザイナーにとっても欠かせないスキルです。顧客の課題解決に対し、ロジカルに分析ができることはもちろんのこと、調査分析から生まれたサービスをビジネスとして成立させるために、多くの関係者や会社の経営陣との連携や調整が必要です。その際には、なぜそのサービスが必要なのか、またそれによって課題解決するユーザーがどのくらいいるか、などをロジカルに、かつ分かりやすく説明する必要があります。
ロジカルシンキングは学生のうちから身に付けられるので、あらかじめ習得しておくことをおすすめします。
ユーザー心理に共感できる
サービスデザイナーは、サービスを提供するユーザーのことをイメージしながら、ブラッシュアップに取り組む必要があります。その工程に欠かせないのが、ユーザー心理への共感です。ユーザーの悩みを想像しつつ、インタビューなどを通してユーザーの真の悩みに共感できなければ、良いサービスを作ることはできません。
サービスデザイナーになる方法
最後に、サービスデザイナーの「なり方」について見ていきましょう。
まずは採用サイトや就活サイトで募集を確認する
新卒からサービスデザイナーの募集をしている企業は、あまり多くありません。しかし、一部の企業では入社した最初の配属を指定する職種別採用(ジョブ型採用)の対象として、サービスデザイナーを募集しています。
まずは各企業の募集情報をよく読み、サービスデザイナー職の採用を行っているか確認しましょう。
特定のキャリアパスは確立されていない
職種別採用があっても採用人数が少ないというケースは多く、いきなりサービスデザイナーになることは難易度が高いでしょう。サービスデザイナーにはさまざまな経験やスキルが求められるため、新卒採用の場合は「別の職種を経験した後にサービスデザイナーを目指す」という流れが一般的です。
プランナーやデザイナーからスタートする
サービスデザイナーからではなく、プランナーやデザイナーからキャリアをスタートさせることも可能です。サービスデザイナーは、プランナーやデザイナーと似たスキルを求められるケースが多いため、関連する仕事に就くことで、間接的にサービスデザイナーに必要なスキルを身に付けることができます。
このように、サービスデザイナーに必要な素養は、別の職種で培える可能性もあります。特にプランナーやデザイナーなどは、ユーザー視点に立つ力を養うことができる職種としておすすめです。
似たような職種を探すのも一つの方法
サービス企画職や新規事業開発に携わってからサービスデザイナーなるというのもひとつの方法です。サービス企画とサービスデザインの仕事はつながっており、サービス企画の仕事を理解しておくことは、サービスデザイナーの仕事を進めるのに有利になります。自身の業務の前工程と後工程を理解しながら仕事を進めると、関係者からの信頼も得やすく、デザイナー業務に引き抜かれる可能性もあるでしょう。
このように、サービス企画職や新規事業立ち上げメンバーに入って新規サービスの開発に携わるのも、サービスデザイナーに近づく選択肢として考えられます。
まとめ
今回はサービスデザイナーの仕事、必要なスキル、向いている人の特徴、方法についてお話ししました。「デザイナー」と聞くとファッションデザイナーやWebデザイナーなどを思い浮かべる方も多いと思いますが、形のないサービスにもデザインがあります。ユーザーのことを考え抜き、本当に喜ばれるサービスを提供していく大変意義のある仕事が、サービスデザイナーです。これからは、社会全体の価値の基準がより「モノ→コト」へのシフトしていくと考えられるため、サービスデザインの重要性はどんどん増していくでしょう。
本記事が大学生の皆さんのキャリア選択の一助になれば幸いです。
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